召喚!攻撃無効系女子推参! その4
この世界は地球じゃないらしい。
ルファラって言うんだって。神様の名前だとか。
「今この世界は魔王によって滅ぼされかけています。三年前に光の勇者が命を賭して魔族の勢力を封印したのですが、それが一年前に破られました。これまでにない勢いで人間界に再進行を始め、危機に瀕しています」
それは大変だなぁ。魔族とかマジウケるんですけど。
あれっしょ、怪獣みたいなやつ。あ、妖怪? わかんねー。
「魔王による世界への攻撃は大昔にもありました。しかしその時現れた勇者の力で撃退し、それにともなって魔物の活動性は抑えられ、平和になりました」
へー。こう言うの何て言うっけ、弱肉強食?
「それ以降もたびたび魔王は現れたのですが、魔界から出てくることはありませんでした。まれに突発的に現れる魔物による脅威はありますが、手に負えないようなランクSSと言われる魔物は人間に興味がないのか、世界を危機に陥れるような存在は五百年前の魔王だけでした」
あー、ランクとか出てきた。これマジでゲームの話だわ。これアレっしょ? 魔法とかあるんじゃね?
「人間も様々な魔法の技術を発達させ、日々進歩してきました。騎士のレベルも洗練されていき、かつてのようではありません」
わ、出たやっぱし! アタシすごくね?
「しかし、進歩を続けて人間もかつてよりも強くなっているはずなのですが、今回の魔王は桁外れに強いのです。史上最高と言われた光の勇者でさえ倒すことはできず、封印に留まりました」
それってヤバくね? 世界終わってんじゃん。あ、なんかそんな歌あったっけ。
「私達には残された時間はほとんどありません! そのため、勇者様にお頼みするしかないのです!」
え?
「私達ルファラ教徒は世界を救う勇者様を世界中から探しました。ですがあの光の勇者を上回る方はおりませんでした。その時、本山の禁書からかつての魔王を打ち倒した勇者は異世界からお呼びされた事実が見つかり、それに倣ってこの度召喚の儀式を執り行ったのです。そして貴女が光の中からお出でになられました」
ちょ、ちょっと待って。ねぇ、とんでもないことになってる気がするから!
「お願いいたします、勇者様! この世界をお救いください!」
「待って! アタシ勇者とか超能力者とかそんなんじゃないから! ダチとプリクラ撮ってたらここに来てただけだし!」
いや、マジで! ピカーッ! てスゲー長く光ったと思ったらここに来てただけだし!
「プリ……クラ?」
「写真よ写真! ちっさい写真!」
「写真?」
「これよこれ!」
カバンの中から取り出して見せる。
「勇者様の…… 姿絵ですか? こんな小さなのがたくさん……。腕の良い画家様がいらっしゃ……」
あ、止まった。
「……お返し、します」
れ? こっち見ないようにしてる。
「勇者様に失礼かもしれませんが、この様な場面を描かせるのは…… ちょっと……」
は? 何言ってんの? 帰ってきたプリクラ手帳を見てみると、チュー写真のページだった。……あ、トシとのヤツがある。ソッコー剥がした。
「その…… 勇者様は男女問わず広く慈愛の心をお持ちなのです、ね……?」
やーん、純情!
こんなん超フツーなのに照れちゃって!
このちょっぴり軽蔑したような感じ、たまらんわぁ!