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3 「プレゼントには名前と花。」

3話目でsう。

親指の爪が伸びてきていたい*・・。

あしたは雨降っちゃやーよ・。。*

 3



 ダイア魔法学校上級校『図書室‐第二分館』。


 約三千二百㎡の敷地面積に四階建てに造られたこの建物には、さまざまな魔術書や儀式書、錬金術書、治療書などがある。大体の異能関連の書物はここに揃っており……と、言ってみたが要するに。馬鹿でかい図書室なのだ。(ちなみに第一分館は学校授業で習う異能関連の授業以外で使う参考書があり、本館は普通の大衆向けの本がある。どれにせよ、施設が馬鹿でかいのもこの手の物語に良く見られる光景だ。)


 先ほどの授業が物体空間移動の実習だったため、それのまとめ活動として僕はある本を探している。


 しかし、校舎も広ければ施設も広いと言う事で。


 お目当ての本を探すのはかなりの重労働だ。


 究極的に言えば僕は細かい作業が嫌いなのだ。もう、こんな大量な本の中で一冊を見つけると言うムズゲーにリタイア寸前の僕は、気晴らしに一冊の本を取ると。


「うん?」

 と、誰かと取る本が被ってしまったらしい。誰だろうか。男子である確率はゼロ%で決まりなので、女子であることは確かなのだが。


「あぁあ。ウィズリー君じゃないか。これ、読むのか?」


「いやっ。お構いなく、どうぞ。…………って」

 誰?


 なんか、スミマセン。ほんとに。


「誰?」

 ブロンドのショートカットに赤いリボン。整った顔と男勝りな口調と、……誰?


「あぁあ。すまない。確かに、名前の知らない奴に自分の名前を呼ばれたら不思議に思ってしまうだろうな。私にはそのような経験がないからなんとも言えないが……。気分を悪くしたなら謝ろう。ごめんなさい」


「スポーツ系ショートカットが居ないとこういう物語って進まないのか?」


「? ははっ。ウィズリー君は面白いな。まぁ、覚えていないのなら仕方ない。自己紹介する」


「あ、今の独り言だから」

 一応、断っておく。変な目で見られてたからな。


 そんな僕の無意味なフォローは、あっさりと「なるほど」の一言で消されてしまい、こ

の謎の女子は自己紹介を始めた。


「私はO型でふたご座。誕生日は六月十日で生まれはヘルシンキだが育ちはベルリンだ。好きな食べ物はクッキーとビスケット。最近は日本の食文化にも興味を持っているな。特にセンベイとか言う奴が大好きなんだ」

 淡々と説明していく。しかし、好きな食べ物偏りすぎだろ。なんでアメリカ・イングランド・日本の微妙に似てる食べ物なんだよ。どれかに統一しろよ。


「あとは、スポーツも大好きだ。特にサッカーやフットサルが得意だな。ちなみに、スポーツの後のサウナ→シャワーの流れは最高だな! 身も心も洗われるぞ!」

 目をきらきらして語ってくる辺り、よっぽど好きなんだろうな。子供みたいに無邪気なキャラだぜ。


 とは、言っても。結局コイツが何者かは分かっていないのだが。


「――で、名前何て言うの?」

 コイツ自体は知っている。同じ教室だから何度か見かけているので、顔は覚えていたのだ。


 ただ、名前を知らない。聞いた事もないだろう。


 そして、目の前の女子は意外な事を言った。


「うん? 妙な事を聞くなウィズリー君は。相手に自分の名前を言ったら婚約するんじゃないのか?」


「しねーよ。お前この十六年何を学んできたんだよ」


「まぁ、好きな授業は体育だったな。それがどうしたんだ?」


「体育から婚約にはつながらねーだろ。名前なんていうんだよ?」


「体育というか、保健の方だな。スポーツも好きだが保健の授業もかなり勉強になった」


「あ、何? お前そういうキャラなの?」


「そうだ。そろそろ、欲求不満に目覚めてきたからトイレに行って……」


「待て。お前がこれからする事に口を挟むつもりもないが。とりあえず質問に答えてくれ。」


「と、言うと?」


「今の会話の流れで察せよ! なんかアホみたいじゃないか僕たち!」


「思い出した! 好きな食べ物か!」


「断じて違う」


「私の好きな食べ物はミッキーとクリケットと先生だ!」


「全部近いけど意味合い的には真反対の物体言ったなお前。『これは食べられません』すら書いてない固有名詞ばっかりじゃねえか」


「おっと、厳しい突っ込みを入れられてしまったな。真面目に答えよう」

 そして、彼女はまっすぐにこちらを向いた。


「実は私は名前がないのだ」

 衝撃の事実。全視聴者(この場合の僕のみ)が驚いた。


「マジか?」


「マジだ」


「――じゃあ、何か呼び名でも決めるか。クッキーとビスケットだったらどっちがいい?」


「えっ!?」

 無名の彼女は少し戸惑ったような顔をする。


「えっ!? って、何驚いてんだよ。名前がないなら名前を決めようじゃないかってだけだよ。何をそんな驚く必要があるんだ」

 僕は若干あきれつつ言った。


「いや、初めてだからな。つい、嬉しくなったのだ……」


「初めて?」


「あぁあ。私は今のウィズリー君みたいに名前を尋ねられてしまったら、一応言わずにその場から離れることが多いんだ。名前がないと、親から見離された子供見たいらしいから。中には逃げ切れず答えてしまうときもあるのだが、答えたら答えたでいやな目にあうからね」


「いやな目?」


「言った通りだよ。いやな目で言ってくるんだ。「コイツとは関わりたくない」とか「コイツは気味が悪い」とか。目は口ほどにも物を言うんだよ」


「視線だけで分かるのか?」


「いや、厳密に言うとそうじゃない。視線もあるけれど会話中の動作や発汗の様子、声の調子とかを総合して相手の心の声を読み取るんだ。」


「それがお前の異能か。なんて名前なんだ?」


「あぁあ。ウィズリー君、これは異能じゃないよ。普通に、何十回、何百回とこんな会話をしていたら自然と身につくものだ」


「……お前、すげえな」


「うん? あははっ! いや、ウィズリー君の方こそすごいよ」

 なぜか笑われた。僕の方がすごい、だって? 一体何の根拠があってそんな事を――。


「根拠はあるよ」

 ……まだ何も喋ってないが。どうやら心をホントに読んでるようだ。


「だって、普通すごいなっていう人は、嫉妬や怒りや謙遜の感情が読めるんだけど、ウィズリー君はホントに、心からすごいって思ってたんだ。それに」

 静かに持っていた本を棚に戻して言った。


 あ、読まねえなら僕に貸してよ。


「名前の提案って、初めてで。なんだか温かくなった、と言うか。なんと言うか。妙な気分になってしまっているのだ」

 そんな事を恥じも臆面もなく言う彼女に僕は。


「――じゃあ、どうするんだ?」


「ふぇ?」

 ふぇ? て。そんな声も出せるのか、お前。


「名前だよ。クッキーにするのか、ビスケットにするのか」


「それ以外の選択肢は?」


「ない。それ以外はお前に何一つ関連していないからな」


「じゃあ、センベイ……」


「そんなフィンランド人がいるかっ!」


「なんで、クッキーとビスケットは良くて、センベイはダメなのだ?」

 うっ。そういわれると全く言い返せない!


「とりあえずっ! どっちにするんだ? クッキー・ビスケットなのか、ビスケット・クッキーなのか。」


「センベイ・センベイがいい」


「こら、同じ言葉を繰り返し使うとアホらしくなるからやめろ。もう、強制で決めるぞ?」


「いや、選択肢が二つの時点で強制だと思うのだが」


「黙ってろ。じゃあ、語呂の良さ的にビスケット・クッキーで決定す……」


「やったぁ! 初めての名前が出来た! 嬉しい……。私はビスケット! ビスケット・クッキー!」

ビスケットは決定した瞬間飛び上がって大いに喜んだ。


「順応早っ!」

 その順応さも目を張るが、彼女の喜び加減に一番驚いた。


「ありがとう、ウィリー。君は私なんかに名前を与えてくれた! 感謝するよ!」


「いや、いいよ、礼なんか。そんな好きな食べ物並べた僕の安直なネーミングセンスでよく喜べるな、お前」

 僕がある意味感心していると、


「お前じゃないぞ。私は……」


「あー、はいはい。そんな好きな食べ物並べただけの僕の安直なネーミングセンスでよく喜べるな、ビスケット」


「えへへ。褒められてるみたいで、嬉しいなぁ!」


「ほう、今のが褒められていると勘違いしているのならば、僕の紹介する即刻脳外科医に直行しろ」

 しかも、段々キャラ変わってきてるし。


「いや、行きつけの脳外科医があるからそこに行きたい」


「行きつけあるの!?」


「週に一回は行く」


「あっそ。じゃあ、いってらっしゃーい」


「うっそぴょん☆」

 ビスケットは手を耳の上に当てて、ウサギの耳まねをした。ウィンクも一緒になってキモさ百倍やがな。


「だから、キャラ変えんなっつーの」


「うん? 地の文で急に関西弁を使い出す人に言われても、直そうという気には全くなれないな」


「……ごもっともで」

 そんな、会話を続けていると。僕の耳が自動的にシャットダウンのプログラムを組み上げそうな、聞き覚えはあるが忘れて居たい声が聞こえてきた。


「ウィリー! さっきはよくも逃げてくれたわね!」

 出たよ。アルヴィーナ・ブックマン。今回は一人か。さっきので友達に裏切られたのか?悲しい奴だ。当然と言えば当然の報いだが……。まぁ多少哀れに思う位だがな。


「ウィリー、他人に対する説明酷いな」

 というビスケットの突っ込み(だから、地の文を読むな)を無視して、


「あ? いつの話だよ。昔のことばっか気にしてたら大きな人間になれないぞ」


「愚問ね」

 そして、「CUMON行くもんね。」と、ブックマンは背筋が凍りつくぐらいの低レベルなギャグを言ってこう答えた。ちなみにビスケットは若干笑いそうになっている。なんだこの低レベルな奴らは。早く帰りたい。


「私の胸の大きさは既に全ての女性の平均より二段階上なのよっ!」


「あぁあ。身長が二メートルもあればそのぐらい普通だな」

 訳の分からん謎の突っ込みを入れるビスケットにブックマンは、


「はぁ? あんた誰よ? 同じクラス? 何? その胸、ホントに女子なの? そして私の身長は173cmよ?」


「私の名前はビスケット・クッキー。まぁ、私の名前を知らないのも無理はないな。ちなみにおっぱいは家に置いて来た。運動するときはかなり邪魔だからな。ちなみに私の身長は168センチだ」


 こいつら、頭大丈夫か? とりあえず、僕の身長は166センチ……あれ? 一番低いじゃん。


「ビスケット・クッキー? あははははっ! 変なネーミングセンスね。ただすきなたべ物並べただけじゃないの! 一体誰がそんな名前考えたのかしら? そいつの親の顔が見たみたいわ!」

 ……親の顔でいいのかよ。


「馬鹿にするなよ、アルヴィーナ。名前を付けてくれたのはウィリーだぞ……? いくらお前の脂肪だらけの頭とおっぱいでどれほど思考を巡らせたとしても、ウィリーのネーミングセンスには勝てないんだぞ?」

 おい、胸に知的能力はないぞ。それに早速ばらしやがった。言うなよ、ビスケット。結局馬鹿にされるの僕なんだからな?


「え? そうなの?」

 ブックマンはおそらく僕を馬鹿にしまくった挙句、笑い死にそうになるな、と思ったら意外と驚いたような顔で僕を見た。


 そして、顔を背けたブックマンはちょっと赤くなりながら。


「……い、いい名前じゃないの……」

 と言った。いや、だから頭おかしいって。好きな食べ物並べただけなんだって、ホントに。


「じゃなくて」

 ブックマンはそう前振ってもう一度僕を見た。


「あんた、その能力一体なんなのよ?」


「そのってどの? いきなり指示語を出されても前文にそれらしい該当する語が無いから、僕にはよく分からないな」

 しらばっくれる僕。聞かれている事は分かってるけど、なるべく秘密にしておきたい。


 そしたら、ブックマンはむくれて、


「む~! だから! あんたの能力ってなんなのよ!? さっき私に廊下で使用した奴よ!」


「ろ……廊下で使用…………? ウィリーとアルヴィーナはそんな関係なのか?」


「ちょっと口を閉じて鼻だけで呼吸してろ、妄想ガール。――あれは、だな」

 僕は一度回りを見て状況を確認して――誰も居ない。……まぁ、このアホ二人には言っても問題ないだろう。ちらっとビスケットを見ると僕の心を読んだのか、若干不機嫌そうな顔をしている。何か文句でもあんのか。アホなのは事実だろうが。


「えー……と」

 いや、やっぱり言うのはやめて置こう。


 そもそも、僕はこんな異能に頼らずに生きて行きたいのだ。だから、普通はあんな場面

で依存症は使うべきじゃなかったんだけど……。なんとなく、使いたかった。なぜか、ブックマンを懲らしめてやりたかった。


 ……? 何でだ?


 理由が、見つからない。


「いや、やっぱ言えねえな。こればっかりは」


「ふーん。なら、いいんだけどね」

 そんな、答えても無い僕の答えに。ブックマンは咎めもせず、素直にうなずいた。


「まぁ。ウィリーにもいろいろあるもんな! よく身を引いたなアルヴィーナ。お前の脂肪だらけの脳みそとおっぱいにも、多少の人間的なスキルが備わっていたとは。いやはや、私は安心したぞ!」


「言ってろ貧乳腐れ売人が」


「やんのか爆乳下品牛が」


「極貧淫乳クソビッチ」


「汚乳牛ホルスタイン」

 お……おい。急に口ケンカし出したぞ。


「死ね」


「逝け」


「ずっと死ね」


「メッチャ逝け」


「ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス」


「ドベドベドベドベドベドベドベドベドベドベドベドベドベドベ」


「うっさい! あんたなんかただのカス! ブス! 貧乳クソファッキンビッチ!」


「おやおや。どうやらそれ程度の悪口しかたたけないようだな? まるで子供のケンカでちゅねー? 自分のおっぱい飲みたいんでちゅか?」


「~~~~~~~~~~! 言わせておけばグチグチとぉ……! あんたなんか床を一生舐めればいいのよ! 自分の唾液で学校でも洗えばいいわ!」


「いや、それちょっと汚い。発想が汚い。気持ち悪い。近寄るな。キモイキモイキモイ」


「そして、あたしにこう許しを乞うのよ! 『ごめんなさい許してくださいもうしませんすみません。私は卑しいメス豚です。メスのクセにおっぱい小さくてごめんなさい。何でもします。トイレの床も舐めますから許してください』って言いなさい!」


「いやだ。それを言うなら『おい? 許せよ? 許さねーんならマイサンぶち込むぞ? てめーみてーなメス豚でも可愛がってやるんだから感謝しろよこの牛女!』と、ウィリーが言うべきだ」


「僕なの!? いやだよ、絶対言わないよってブックマン! なに変な顔してんだ!」


「え、え。えっ、ええぇえ!? ちちち……違うわよ! 初めてだから中がいいとかっ、そんな事全然考えてないわよ! 何期待してんのよ!」


「あぁあ。そうかアルヴィーナ。実はお前ウィ」


「言・わ・な・く・て! いいからっ! それ以前にそんな訳無いから!」

 ブックマンはビスケットの口を塞いだ。口っつーか、首の気道塞いでる感じだ。


「く! 首しま……って! ん、んんんっんはぁ! いいいいぃっ! イクっ! イクぅぅぅぅぅぅぅ――――!! イっちゃうの――――!!」


「気持ち悪い声を出すな! 首を締められてんのにイクって何だよ! 普通首は落ちるだよ!」

 なんか、もうダメな気がするぞお前! 完全にR‐指定だぞ!


「あぁあ。そう言えばそうだった。間違えてしまったぞ。鋭い指摘、感謝するウィリー!」

 しかし、僕の指摘を受けた直後にビスケットは素に戻っていた。切り替え早えーな……。


「ちょっ!? 全然締まってないじゃない!? なに言ってんのよ、逝っちゃってんのよ!」

 そんなビスケットの態度の急変に驚いて、ブックマンは絞める力を緩めてしまい――。


「――え?」

 その僅かな隙を逃さずビスケットはブックマンの腕をすり抜け、そのままブックマンの

腕を引き、頭を押さえて。


「締まってるのは、どっちだアルヴィーナ!」


「――裸締め!?」

 こいつらっ! 堂々と図書室で暴れやがって!


「かっ!? く……くる……じい…………」

 しかも、なんかやばそうだ。ブックマンがホントに死にそうな顔してる。


「はははっ! なんとも醜いメス豚だ! そのアヘ顔、滑稽だ! さぁ、乳牛! 許しを乞え! 『ごめんなさい。これからは自分のおっぱいで生計立てます』と言うがいい!」

 何そのよく分からない罰ゲーム。


「ごっ……ごめんなさ…………イ…………。コレ……か……」


「うん? 何々? 『もっと、締めてください。気持ちいです』? はははっ! このド変態が。誰がお前のご要望に答えるかっ!」

 鬼です。ビスケットさん。


「はははははっ! さぁ! 悶えろ、苦しめ、喘ぐがいい! その身をかいか……っ痛い!」


「その辺にしとけ。ブックマンが死んでる」

 僕はビスケットの頭を叩いてブックマンを地獄から開放してあげた。いや、なんか地獄に落ちきってるな。脱出不可能だ。そして、ブックマンから手を離しているビスケットが、「なるほど。意識が落ちると地獄に落ちるをかけているんだな。さすがウィリーだ。考える事が違う」などとほざいているがシカト。僕はブックマンの緊急措置を始めるために彼女に顔を近づけようとした。


 いや。待てよ。


 展開早くねえか?


「流れ来た――――――――――――――!!!」


「あ、ブックマン目が覚めたか。良かったなぁ。大事に至らなくて」


「はぁう!! しまった! まだしてなかったのにテンション上がって地獄から上がってしまったわ!」


「……? 何言ってんだお前」


「うん? なるほど。テンションが上がるのと落ちていた地獄のそこから上がって来たをかけているのか。やるなホルスタイン」


「よし。なんか思いのほか元気だし、保健室には行かなくて大丈夫だな。」


「あ、ちょっとウィリー。無視しないでくれるか?」


「え? ほ……保健室? だ! ダメよ! まだ早すぎるわ! ちゅーならともかくソレはまだダメ!」

 かなり慌てるブックマン。


「ちゅーもダメに決まってんじゃねーか。話が飛躍しすぎだっ!」

 というか、何の飛躍かも分からんのだが……。


「はははっ! そうか。私の目の付け所が良すぎてコメントに困っているのか! それならばそう言えばいいものを!」

 すると、ブックマンはまたも意外な反応を見せた。


「あらそう。ならいいわ。まぁ、そこまで期待してなかったしね。しね」


「最後の二文字を繰り返すな。危ない奴だろお前」

 とりあえず、突っ込むべき所に突っ込みを入れつつ、僕は時計を見た。すると、ブックマンもそれに反応して同じように時計を見た。


「よし、分かった。二人にも分かるように私が面白い一発ギャグを言ってやろう! いいか? 笑いすぎで死にそうになっても私に責任は無いからな?」


「あ、そろそろ授業が終わりそうね。あーいやだわ。こんなアホコンビに付き合ってあげたこの一時間が勿体無いわ」

 なんだよ。若干楽しそうにしてたくせに。あの、お前の周りにいた女子たちと話してる時とは全然違う顔だったぞ?


「むかつくなー、お前。よし、じゃあ……」


「率直に言われた! そうね。そろそろだわ」

 僕とブックマンは顔を見合わせ、二人で頷いた。


「いくぞ、ウィリー、アルヴィーナ! せーの、布団が……!」

「「とりあえず! お前はいいから吹っ飛んでろ!!」」

 僕とブックマンはタイミング良く、足を突き上げビスケットを蹴り飛ばした。


「ぎゃす!」

 ビスケットは他の反応は取れなかったのか、面白くもなんとも無い妙な悲鳴を上げて本

棚を一つ、通り越す。


 とりあえず、その時を表す語句が見当たらないので適当に擬音語をつけよう。



 ドッカーン。




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