表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eternal wish   作者: キッド
72/83

小さな白い髪の女の子


                 → ↓ ← ↑

朝から夢の愚痴をネチネチネチネチネチネチと聞かされ、最終的には各自、自由行動ということになった。

そんな中俺は、特にこれといったことをするわけでもなく、何をするわけでもなく、いつもどおり部屋でただグダグダと寝っころがっていた……マヤから渡された腕輪を見つめながら。


……この三泊四日の旅行に旅立つ日の朝、俺がマヤから刻印の暴走したときのためのものだといわれ受け取ったもの。

あの時は、俺は完璧な遅刻であせっている中、渡されたためあまり気にせず腕にはめたものの……。


俺の右手首を余裕で覆うほどの大きさで金色の腕輪。……本来、俺のような凡人が身につけられるような代物ではないほど、高価なものなのではないのだろうか。

左手首につけているオーラを無効化する腕輪、ゼロ・ブレス(同じような形、大きさで金色だが)とは、まるで違うように見える。


それにこの腕輪、内側と外側に同じような黒い色の紋章が刻まれている。

俺はこれをどこかで……そうか、あのときの黒い紋章か。


そう、あれは陽介の妹さんを助けに行ったときのこと。

俺が陽介に殺されそうになったとき、突然腕に黒い紋章が浮かび上がって俺の体を飲み込もうとしていたんだ。

あん時の黒い紋章そっくりだ。 古代に存在してたような文字のようで多くの黒い線が浮かび上がって、その中の黒い4とのとがった刃物のようなものが伸びていて、それが腕なり体なり顔なりに巻きついていき、その黒くなった箇所は熱くなった。


何よりも忘れてはいけないのはその時に聞こえた声、頭の中から聞こえてきた声だ。


「(俺を抑え込むとはなぁ、見込通りだぜぇ、遊。 ……良いぜぇ。 もっとその力を見せてくれよぉ)」


「(なんだよ。殺らねぇのか?  なら、俺と変われよ。  一思いに殺してやるからよぉ)」


「(あぁ、じゃなきゃ、お前が死ぬんだぜぇ?  友達も何も、関係ねぇ。)」


「(けど、そんな甘っちょろいこと言って生きていける世界じゃないぜぇ?  そんなこと言ってっと、どっちも死んじま)」


「(!?  くぁっはっはっは。  やりゃあできるじゃねぇかよ、遊。  それだよ、その感じ。

  これは期待がでかいぜぇ。  んじゃ、俺は、高みの見物といこうか。

   今はな。  ただ、この先迷うようだったら……覚悟しな。)」


……。

あの時は何故だか解らないが、その誰かが俺の体をのっとろうとして失敗し、あきらめてくれた。

だがその後も黒い刻印は俺の体から消えることはなく、俺の記憶もなかったままだ。

……何なんだ?

昨日のことといい、この刻印のことといい。

俺は何なんだ? 何者なんだ? 


みんな、俺の記憶がないことをいいことに俺の記憶をどんどん作っていこうとしてやがる。

そのくせ核心を突く具体的なことを俺には教えようとはしない。

……なんなんだよ、いったい。

何も解らねぇ、なにも知らねぇ、何もできねぇ。

そんな俺に、何を期待してやがんだ。


俺はただ一人、天井を見上げひねくれていた。

偶然、窓の外を見たそのときだ。


「女、の子?」


白い髪で体長一二〇センチくらいの小さな女の子が窓の外で俺を手招きしている。

まだ外は大雨で、そんな中で傘も差さずに、だ。


「こっちへおいでよ」


「? おい、なにやってんだ? 風邪引くぞ?」


「私があなたを教えてあげるよ」


そういって女の子は、どんどん遠くへと走り去っていく。


「あっ? おい、ちょっと待て! どういうこった!?」


な、に?

俺を教える?

普通なら俺はこのまま無視の体制に入っていただろう。

だがこのときの俺は、俺のこと、過去の俺のことが知りたくてたまらなかった。

意識することもなく立ち上がり、傘も差さず小さな女の子の後を追っていった。


「ちっ、何だってんだよ全く」



                    → ↓ ← ↑


小さな女の子の後をひたすら追っていったものの、海辺についた途端、あの小さな白い髪の女の子は、ふっ、と消えるかのよう(・・・・・・・)にして姿を消した。。


「どこに、いったんだ?」


外が雨で土砂降りの中をただひたすらに追いかけた俺は当然、全身ずぶぬれだった。

だが、それでも俺は諦めきれず、女の子を探そうという気持ちでいっぱいだった。


当然だ。 ようやく自分の事を、過去の俺、土台となる(・・・・・)自分のことを教えてくれる人間が見つかったのだ。

それがどんな小さな事でも、今の俺は知りたい。

だが、冷静に考えてみると、俺の無くした記憶をなくしたのは生後~中学入るあたり……大体今から五年前になんのか。


でも考えると、さっきの女の子は容姿から察するに大体六~七歳前後ってところ。

んで五年前って……。


「最低でもあの子一歳のときなんですけど!?」


……。

おいおい、いくら過去のことが知りたいからって当時一歳の子を当てにするのもどうかと思うぞ、俺よ。

……ったく、俺としたことが柄にもなく目の前のことしか見えてなかったみたいだ。


「あー、せっかく雨もやんできたんだがな」


土砂降りの中、小さな白い髪の女の子を探し回るのにかなり時間がたっていたようで、雨のフリも弱くなっており、今ではやむとまではいかないものの、小ぶりと呼べる程度までになっていた。

それにしても、小降りになっちまったか。


まぁ、嬉しいっちゃ嬉しいけど、このままだと夢のやつ、また海で遊ぼうとか言い出しそうだからなぁ。

それはそれでいいんだが……俺は泳げるのか心配だ。

何年ぶりになるんだろうなぁ、中学ん頃はプールの授業なんかなかったし(当時は頻繁に男子がデモを起こしたもんだ)、泳いだってなると……あるっちゃあるけど、あの時(・・・)は夜ってこともあったし、小さい女の子と二人で、海辺に二人で座っていただけだし……?


あの時? あの時っていつだ? 小さい女の子と夜に二人きり、夜の海辺で二人、子供が二人。

……そういえばさっきの子、あのときの女の子と似ている気がする。小さな身長、声、髪の毛の色……色?

そういえばあの子も白い髪の毛、さっきの小さな女の子も白い髪の毛、……新山もそういえば白い髪だ。


いやまてよ、何でそこで新山が出てくるんだ? なら新山がさっきの小さな女の子か、俺の知る白い髪の女の子かって? そうだとでも言うのか?

……いや、あくまで俺の勘だが違うだろ。


そもそも白い髪の女の子が、さっきの小さな女の子と同一なわけがない。

その白いかもの女の子と会っていたのが俺がガキの頃だったとしたら、十年以上前のこと。

年齢から考えてもまずあわねぇだろ。

それを考えれば新山とさっきの子は同一なわけがない、


新山=小さな女の子=白い髪の女の子


まずその考えは消えるだろ、両端の=が意味を成してないんだから。

なら白い髪の女の子が新山と同一?

確かに年齢は同じであるかもしれない、俺と同い年だから十年前とかでもぴったりだろうし。


でもはっきりと違うと言い切れる部分がある。

それは……胸だ!!

あの白い髪の女の子はぺったんこもいいところ。

さっきの小さな女の子と同じくらいの年齢、つまり六~七歳であるならすでに発達していてもおかしくはない!!


「って、何を言ってんだ!? おれはぁあああ!!??」


「ずぶ濡れの状態で、あんたはなんでそんなニヤニヤしてんのよ」


昨日とまるで同じように、後ろから女の子の声が聞こえる。

だが、これは俺のさがしている女の子の声ではない。

この自信ありげで、上から人を見下すかのような口調の少女は…


「夢」


今回の旅行企画者にして、風紀委員長である服部夢だった。

片手には今もまだ小降りとして降り続いている雨を防ぐための傘を持ち、もう片方の腕は、やはり俺を見下すかのように、腰に手をあてている。


「全く、何をそんなにニヤついていたんだか……はっ!? まさかあんた! 私達のいかがわしい妄想を!? なんてド変態なの!?」


顔を真っ赤にし、まるでゴミを見るかのような眼で、俺を蔑む。


「んなわきゃねぇだろ! 大体、自分でも思ってもないような考えを言うんじゃねえ」


「あら?ばれた?」


バレバレだよ、お前が顔を真っ赤にしたり、表情を無理矢理変えようとしてるときは、ほぼ人をからかって遊んでるときだからな。

ったく、質がわりいにもほどがある。


「まぁ、勘だがな。

それ以上に理由はねぇ。 そういいたいなら言ってくれ、俺は構わない」


まぁ、いかがわしい妄想してないとは否定しきれないが、ここでしてたと言っても面倒だし。そもそも自分から白状するやつなんかいねぇよな、こんな時に。


「いつになく冷たいわね、そんなんじゃ女の子との会話は成立しないわよ?」


「……そんな浮ついたこと考えてるほど、気持ちに余裕が無かったもんでね。

気を悪くさせちまったら悪かった」


初めてかもしれない、俺にとっては。 こんなに考え事をしていて、イライラしていて、なんの整理もついちゃいないまま、女の子と喋るのは。

だからこそ、一番失礼だっただろう、素っ気なく、感じ悪く。


「ふん、まぁいいわ。

それよりも、私の質問に答えなさい。

こんなところで、傘もささず、ずぶ濡れで、何をしていたの?」


それでも夢は気を悪くするでもなく、俺に腹をたてるわけでも無く、ただ純粋に、自分の知りたいことだけを聞いてきた。

……実はこいつ、優しいのかもな。

今のことも、俺の心境の事を考えて……。


「あぁ、あと別にあんたの気持ちを考えて、そのことにノータッチだったわけじゃないから。

勘違いしないでよ? 私は自分の興味に正直なだけなの。 解ったわね!? 絶対よ!?」


さいですか。

まぁ、んな顔真っ赤にして言われても説得力ねぇけど。


「返事は!?」


「はいはい」



「なんかひっかかるけど……まぁ、今はいいわ。

早く本題に入りなさい」


まったく、無茶苦茶だな。そんなに恥ずかしがることねぇのに。


「んー、まぁ、なんつーか、一言でいえば気になる女の子がこっちに走って来たから追っかけて来たってか」


「あんたやっぱりいかがわしい妄想どころか、いかがわしいことしてんじゃないのよ!!」


「ちげぇよ!? 女の子つっても5、6歳で」


「ロリコンだったの!? ペドだったの!?」


ダァーッ、もうなんて説明すりゃいいんだよ。

大事な部分隠して説明すると、ただの変態でロリコン的行動してるようにしか聞こえないよな。

でもこれ以上の説明なんかできねぇし、そもそもいまかんがえれば、俺はそんな変態的行動をしていたんだなって実感した。


……仕方ねぇ、隠し事なしで説明すっか。


どうもキッドです。

お久しぶりの方はお久しぶり、そうじゃない方はおっす!!


物語りもかなり進んできまして、半分行ったところかと思います(この前もこんなこと言ってました)

現在、自分の小説の冒頭部分から見直し、修正中でございます。

それと同時進行でですね、他の執筆者様から得ました、フリートークというものを作品中に入れていこうかと。

私も楽しみでいっぱいです、なにせ自分の作ったキャラが物語に縛られずにしゃべるのですからね!! はっはっはhっは。


執筆者様、鷹野みやび様にはすでに了解を得て行動しておりますので。

これからもやることは山積みであります。

修正、キャラクター紹介(絵は何枚かできていますので、近日中には)、フリートーク、アニメ見たい……。


ということでこれからもよろしくお願いいたします、感想や指摘のほうもよろしければ書いてくださるとうれしいです。(ニコニコのほうもよろしければ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ