海へ行くわよ!! 3
「貴方、知らないの? 委員会が遠出するとき、学校側から、送迎バスをだしてくれて、その近くの宿もとっておいてくれるの。」
……そんなシステム、知らなかった。 つーか、
「俺は二年間いて、そんなシステム知らないのに、一ヶ月前に来たお前が、なんで知ってんだ」
「だって、生徒手帳に書いてあるじゃないの。」
……そうっすか。
ちなみに、おれは、そんなん読んじゃいない。 ……だるいだろ? 大体、読むほうがおかしいと思うし、覚えてるなんて論外だろ。
「……それで? 行くの? 行かないの? ハイか、イエス、どっち? はっきりしなさい」
……いや、ちょいまてや。
「はっきりしろって、答えが「行く」しかねぇじゃねえか!? 選択肢でこんなのあったら、迷わず「×」ボタン連打だぞ!! ってか、お前もSか? 不知火を超える逸材ですか!?」
「えっ、Sじゃないわよ!? なによ!! 男なんだから、はっきりしなさいよ! 否定してんのはあんただけなんだから」
……なんだって?
「……いや、まてよ。 皆、行くつもりか?」
なんで俺だけいかないみたいになってんだ?
俺は唯と清水に尋ねるように視線を向ける。
すると唯は、元気よく、
「私はもちろん行きますよ」
と、親指を立てて言った。
……唯は考えを改めなさそうだな。
唯は見た目からいってもそうだが、一言でいってしまえば子供だ。
体はちっちゃいし、何か嬉しいことがあれば両手を広げて大喜び。
こういうことに関しては、人一倍興味があるはずだ。
「んじゃ、清水は?」
清水は、興味なさそうだから、行かないんじゃ……。
「私も、もちろん行きますよ」
あれ?
「なんでだ? 一番、興味なさそうにみえるんだが?」
普段、クールな奴ほど、海に行くと、やることがなくて、本とか読んでる……だが、そこがいいんだ……by陽介 って、言ってたんだが?
やることがないからこそ、清水は海にはいかないと思うんだがなぁ。
「なんでって、それは……なたに、水着を……たいから……」
顔を紅くして、清水は何かを呟いた。
その言葉は、本当に何かをつぶやくように、全く聞こえなかった。
「えと、聞こえなかったんだが、何か言ったか?」
「とにかく行くんです!! 絶対、ぜっっったい、行くんです!!」
子供のように、駄々をこねるように清水は言い張る。
……たまに、清水は子供っぽくなるよな まぁ、そこが面白いんだがな。
「……となると、やっぱ俺だけってことか」
「って、ちょっと待ってください!? 私は!? 私、まだどっちか聞かれてませんよ!」
唐突に新山は、自分を指さしながらそう嘆く。
……あえて聞かないでいたんだがなぁ。
「……んじゃ、新山はどっちなんだ?」
……聞くまでもないがな、 相当、ウキウキしてるように見えるんだが。
「そりゃ、行きますよ!」
今度は、ブイサインかよ。
どれだけ楽しみなんだよ。
「ほら、見なさい。 貴女だけじゃない。」
……まさか、全員行く気満々とは思えなかったぞ。
だが、こうなってしまった以上、俺だけいかない訳にもいかないだろう。
……たく、仕方ねぇ。
「……わかったよ。行きゃいいんだろ?」
おれは、仕方なく同意した。
「よし、決まりね! それじゃ、明日の朝、十時に校門に集合よ」
こうして、海へと行くことになった俺達、風紀委員会。 ……嫌な予感しかしないがな。