平和な日常の授業 3
「それじゃ、授業を始めますよ。 皆、席についていますか? 立花君は?」
「いるよ、ちゃんと。 先生が残ってろっていったんだろ?」
「大丈夫みたいですね、それでは始めましょうか。
能力の続きのお話になるのですが、能力にはまだまだ解らないことがたくさんあるっていうことは皆知ってるよね?
オーラとの結びつき、オーラをどのように能力に変えているのか、能力と遺伝伝達、能力の起源、その他諸々、今の日本の技術、いえ、どんな科学や技術をもってしても解明されないのかもしれないです。
それもそのはずです。 今や日本の技術はこれ以上成長できないほどにまで高まっているのに、解っているのは単純な事ばかりだしね。
……いろんな学者が嘆き、苦しんだそうですよ。
けどね、最近ようやく進歩があったんですよ」
「進歩?」
「というより、発見ですかね? なんと、私たちの能力には段階があるんですよ」
「……段階?」
「ええ。 オーラを高めれば能力の威力が増幅する、能力を日々使用していれば使い方が上手くなって自由自在に使いこなせるようになる。
けど、それには限度がありますよね? なら、限界までオーラ量と能力を高めたら何が起こるんでしょうか?
その疑問はすぐに実験へと移されました。
……そしてある人が成功させたんですよ。
能力を1段階から2段階に引き上げることにね。
当時の学者達は大喜びしましたよ、だって今までまるで進展のなかった研究に新たな発見があったんですから。 どんなことでもよかったんでしょうね、求めていたのは変化だったんですから」
「なら私たちも段階を上げることが出来るんですか?」
「もちろん可能ですよ、梶原さん。 能力を自在に扱い、オーラを高めればね」
「具体的にはどう変化したんだ? 先生」
「……当時の実験者は放出錬成〔力〕を有する者が〔地震のようなもの〕を獲得しました」
「地震!? 地震を一人で起こせるようになったんですか!?」
「能力が変わってすぐだったので小規模だったのですがね ものの1センチ範囲内にも満たないものでしたし、揺れも小さかったですよ」
「……地震のようなものっていうのは?」
「私たちには解らないことが多くあるという説明はしましたよね? 立花君。
能力者自身が自分の能力を理解しても第3者である私たちにその能力を知るすべはないんですよ」
「……第2段階の能力だからってことか?」
「それもありますが、実験者自ら逃亡してしまったのですよ。
これによって第3段階目を目指そうという計画がなくなってしまって」
「……」
「おっと、関係ない話になってしまいましたね。
まぁ、つまりは努力すれば第2の能力を獲得できるということですよ。
それでは授業はこれくらいにしておきましょう。
立花君、次は2年生の教室で会いましょうね」
「つーことはもう自分の教室に戻っていいのか!?」
「いえ、あと8時間は他の先生の授業をこの教室で受けてもらいますよ」
「はぁああ!? ちょっ、待ってくれ!先生! せめて席を変えてから……って足早と立ち去っていくなぁあ!」
「立花先輩、安心してください。 私が隣で寝ないかちゃんと見張っておきますから」
「お前の見張るは、スキあらば殺す、って意味だろうが! 唯! たすけ」
「ぷくくくくっ、おっ、おなか、イタイ(*´∀`*)」
「イヤダーー!! こんな教室はーーー!!」
ということで説明会は終わりです。
次からは恐らく本編(これも一応本編と全く関係ないという訳ではないですが)に戻るかと。
能力を知り尽くしてる清水が先生に基礎的なことを質問していたり、遊がこんなに能力に対して本気になっているのは一応説明だからです。
若干の違和感はあると思いますが、ご理解頂きますようお願い致します。