平和な日常の授業 2
前回と同じでキャラクターの会話だけでの説明となっています。
「さーてと、今日も授業を始めるわよ、1年生のみんな」
「江里ちゃんせんせーい、質問、しつもーん」
「はいはい、どうしたの、梶原 唯さん?」
「なんで1年生の教室に遊兄さ……立花先輩が居るんですか?」
「それはね、梶原さん。 授業中にも関わらず居眠りしていたからよ、それも一日中ね。
だから、補習としてこの授業に参加してもらったの」
「はぁ、全く貴方という人は。 何をしているんですか?」
「……せんせーい、俺も質問だ」
「なに? 立花君」
「なんで俺の席、清水さんの隣にしたんですか?」
「それはね、立花君」
「……清水さん? この首筋で鋭く光ったものはなんですか?」
「見ればわかるじゃないですか。 刀ですよ?」
「そういう意味じゃねぇー!! 先生!! あんた、これが目的だったな!?」
「清水さん、立花君が寝ようとしたら容赦なしに」
「承知いたしました、先生。 今日こそ息の根を止めてみせますよ」
「趣旨が違うだろ、趣旨がー!! 授業中に刀なんか出すんじゃねぇ!!」
「種子!? 貴方はなんていうことを叫んでいるのですか!? この変態が!!」
「そっちじゃねぇ! 会話の流れで解るだろうが!!」
「……ま、まぁ授業に入りましょう。
いいですか? 今日は能力についてです。
能力とはその名のとおり、能力者たちが有する特殊な力のこと。
ただ能力とは言っても、放出錬成、武具錬成、定義錬成の三つの種類があります。
基本的な放出練成から説明していくとしましょう。
放出練成というのは、体のあらゆるところからオーラを消費して自分の能力を放出することです。
自分の能力が火であるならば、手にオーラを集中させ、火を放出させることはもちろん。
体全体のオーラを消費させ、体に火を纏うことも、私たちは放出錬成と呼びます。
ただ、なんでも使えるというわけではありません。
みなさんも知ってのとおり、能力にはそれぞれ個性があり、使える能力は違います。
今説明した能力者で言うと、火を自在に扱うことはできますが、
逆に水を錬成したり、雷を練成といったことはできません。
ここまでは大丈夫ですか?」
「はーい♪」
「……へいよ」
「はい」
「いいお返事です、立花君もちゃんと聞いてますね。
では続きに行きますよ。
次は武具錬成についてです。
まぁ、名前からも解るようにオーラを消費して武具を錬成する能力のことですね。
この武具錬成も放出とは違い、武器の形を自分のイメージで決めることができるんです。
例えば自分が刀にしたいなと思えば、それを頭の中でイメージしてオーラを消費する。
それで武具は空間から呼び出されます。
ただ、イメージできるのは形や外見だけで基本性能や特性をイメージすることはできません。
先程も説明しましたが、火の能力者がイメージした武器には、火の属性やそれに伴った特性、基本性能がプラスされるだけで、水の武器やその他の属性をイメージしても特性は変わることはありません。
何か質問はありますか?」
「はい、先生」
「清水さん、どうしました?」
「単純な質問なのですが、放出練成が可能な能力者は武具錬成や定義練成は可能なのですか?」
「うん、いい質問ですよ。
先ほどもでてきましたが、火の能力者。
この能力者が放出練成が使えるからといって、武具錬成も使えるという保証はありません。
言いましたが、能力には限りがないのです。
私の知る限り、靴を錬成する能力という元々の能力が武具錬成しかできない生徒もいましたし、
放出練成しかできない生徒もいました。
つまり、はっきり言ってしまえば練成と能力は才能なんです。
元々生まれ持ってきた能力を変えることはできないし、捨てることもできないんですよ。
どんなに弱い能力でも。 どんなに強い能力でもね」
「なら、定義能力も?」
「定義能力こそ、まさに才能の塊みたいなものですよ。
まぁ、これから説明しますが」
「……俺も質問していいか?」
「どうぞ、立花君」
「能力は才能って言ったよな? なら、弱い能力を生まれ持ってきた能力者たちは、いつまでたっても強い能力を生まれ持ってきた能力者たちには勝てないっていうことか?」
「……ふふっ、立花君。 起きていれば貴方、いいこと言うじゃないですか。
確かに。 弱い能力では強い能力や二つの錬成を有する能力者には、正直言って勝てません。
……オーラ量が同じならね。
前にも話したとは思いますが、オーラを思い出してみてください。
オーラは攻撃力や防御力に直結しているんですよ?
なら、能力も同じです。
オーラの量を増やせば、靴を錬成する能力を有する能力者だって、同じく靴でも紙と鋼位違う硬度の変化が起きます。
逆に火の能力者が鍛錬を怠り、オーラの量をどんどん減らしていけば、ライターの火くらいにもなります。
能力を才能とするならオーラ量は努力。 努力すればするほど強くなるし、努力しない者は宝の持ち腐れとなるわけで、努力するものが勝つ熱血の世界になっているわけですね!!」
「……なるほどな」
「まぁ、武具錬成はこれくらいにして……定義練成にいきましょうか。
定義練成とはですね……はっきり言ってしまえば未確認の能力なんです。
自分の有する能力の定義、それを自分のエリアで絶対ルールとする、……みたいな」
「……どういうことなんだよ(-_-;)」
「私も解らないんです。 先生がこんなことを言ったらダメなんですけど。
単純に説明できるなら、未来予知、絶対服従、絶対神、そういった類の能力を学者のみなさんは定義能力と言っているようです。
……まぁ、古代の神々が使った能力なので、これはあまり覚えなくても大丈夫ですよ。
では、次の授業もここの教室で私担当なのでそのままでいてください。
……もちろん立花君も」
「俺もかよ!?」
「それでは休み時間です」