俺は…。2
「……だめだ、さっぱりわかんねぇ」
考えても解るはずも無い。
結局、当の本人もうろ覚えなうえに、考えてるのは俺だけ。 解るわけがない。
……大体、なんで俺がそんなことしなくちゃいけないんだ?
全く、めんどくさい。
やる気をなくした俺は、無意識に空を見上げる。
「…不思議だ」
今まで、もやもやした気持ちでいっぱいだったはずの俺の心は、星を見ることですっきりしていく、落ち着いていく。
……当たり前なのかもしれないな、普通の人にとっちゃ。
だが、俺はなにか違う。
人とは、こう……なにか。
……。
「《ーーーだね》」
頭の中で声がする。
小さな女の子の声だ。
聴き慣れた声だ。 最近、どこかで……。
そうだ。
唯の家で聴いたものと同じ声だ。
「《ねー、ユーーー。 ーーは、ーーは未ーのーーからーーーーるーかな?》」
またも、うっすらと聴こえる女の子の声。
その声は先程の落ち着いた声と打って変わり、不安げだ。
だが……この声、俺は……。
「《ーー、おーー未ーーーーちまーーいい。俺ーーー、ーーー来ーーーーやる》」
今度は男の子の声。
少々、やる気のなさそうな声だが、女の子を元気づけるためか、頼りがいがあるような、そんな印象だ。
「《…ーら、ユーーー。 私ー未ーーー縛ーらーーーせるかな?》」
そうだ、俺は。
ズキッ!!
……また頭が痛みだす。 この痛みは何なのだろうか?
この声が聴こえると痛みが必ずくる。
星を見ていることとなにか関係があるのか。
それとも、俺の知らない過去、記憶喪失によって失った過去が蘇ろうとしてるのか、それとも妨げているのか。
…。
「……だから、わかんねぇって!! ってか、ガラじゃねぇし」
解らないことだらけのままだったが、明日は休日。 俺はゆっくり休むべく、床に布団を敷き、マヤに自己満足ともいえる最大のデコピンをかまし、満足げに深い眠りについていく。