革命軍始動!! まずは
□ □ 天草 陽介 □ □
あの言葉がひっかかり、暗黒騎士軍本部から逃げるように出てきた俺に出来ることといえば、そのあしどりを革命軍本部に向けることだけだった。
「(チャンスは今だけだぞ?)」
「(多くの〔犠牲〕が出るぞ……下手をすればあの女も妹も)」
何度、脳裏をよぎったことか。
その言葉に俺は未だ、翻弄されていた。
チャンスは今だけ。
現在、奴を止められるのは俺だけ。
……そうなのかもしれない。
今、奴を止めなくては本当に戦争が起こってしまう。
奴、グランド・ヒーロー・デルマ(通称:グランツ)ならばやりかねない。
そういうやつなのだ、アイツは。
しかし、本当に戦争が起これば多くの〔犠牲〕がでる。
あの時のように。
……今度はその対象が京子や鮮になる?
させてたまるものか!!
もう繰り返させないと決めたんだ!!
あの日、すべてを失った日から。
「お帰りなさい、陽介」
京子と鮮はなにがなんでも守り抜いてみせる。
たとえ、どんなてをつかおうとも。
「陽介?」
「ん? あぁ、ただいま」
どうやら考え事をしているあいだに、我が家についていたらしい。
遊から見れば、大豪邸ともいえるこの家、別名、革命軍本部。
本部とはいえ、俺の家だから、俺と京子と鮮の三人しか住んでいないけどな。
学校に通っていた時も、この家から通ってたし(アメリカ南部にある家だが、フライトゲートのおかげで距離を無視して登校出来ていた)あまり懐かしみを感じないけど。
各メンバーには、送り主の解らないメール、通称:非通知メールで指令をだすため、本部に呼ぶ必要がないというわけだ。
「どうかしたの?
珍しく真剣な顔してるわよ?」
「俺はいつだって真剣だよ? 京子ちゃーん」
そういう、やり取りをしながら、俺達は家の扉をあけ、靴からスリッパへと履きかえる。
「……それで?
これからの動きは?
今まで通り?」
「いや、俺達も本格的に動く」
「……なら、ついに会いに行くのね」
「あぁ、……少々、危険な目にあわせてしまうかもしれないんだけど」
「大丈夫よ、タイマンじゃ負ける気がしないもの」
「……女の子なんだから、もう少し言葉を選ぼうよ、京子ちゃん」
「うるさいわね!! ほら、行くんでしょ」
「行くさ、この国の救世主となりうる女性、リリーにな」
「でもこんな昼間に行くの? 夜を待ったほうがいいんじゃない?」
「いや、あの人には昼間しか会えない」
「?」
「まぁ、行けば解るさ
鮮を呼んできてくれ」