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Eternal wish   作者: キッド
序章:始まりのようで、終わりのようで<始>
3/83

新山美由でしゅ


     →↓←↑



「死_ ̄‥…¨え、化‥…∩≡…」


なんだ?これは?


「お前が…≡∩‥¨…から、世界…¨ 、。,。」


夢なのか? 男の子がいじめられている。

だが、何故反撃しない? ちゃんとオーラをまとっているのに・・・


「僕は・・・。」


ジリリリリリ‼


「……」


いつのまにか朝になっていた。 やはり夢だったのか。

「……まぁ、いいか。」


あまり気にすることもなく、俺は学校に向かった。

俺の横でいびきをかいていたマヤを無視して。

 

                  

                   →↓←↑



外は相変わらずの快晴。  気持ちがいい。

……どうやら俺は、今の状況を嬉しがっているようだ。

自分が魔王だったから? 能力が使えるようになったから? 退屈せずにすみそうだから? ・・・どれも違う気がする。


「……まぁいい。面倒だ。」


重要であることがわかっていながら、俺は考えるのをやめた。



                     →↓←↑



教室につき、自席に座ると、不知火が突っ掛かってきた。


「立花、貴方やっぱり普段手を抜いていたのね。」


不知火が俺の机の前に立つ。

……


「俺には何のことだかさっぱりわからないんだが?」


俺は両手で、「さぁ?」のジェスチャーを作る。


「白を切るつもり!? じゃあ、あの事故の時、あれほど早く動けたのは何故!? あれは尋常じゃなかった。」


不知火は身を乗り出してくる。

事故の時? あぁ、そういえばこいつは俺の後をつけていたみたいだったな。 本当について来るとはおもわなかったが そもそも当の本人が事故の記憶がない。


医者から聞いた話によると、偽善者みたいなまね事をして、またありえないほどの力をみせてしまったらしい。


……まぁ、かくしていたわけじゃないし、自分は超人だとか、アニメみたいな設定があるわけでもないが、どうしようもないな、俺は。


「普段から身体を動かすのが好きなんだ。 だから一般人よりは早く動けたりするんだ・・・てのは納得いかないか?」


「・・・さい。」


「なんだって?きこえなかった。」


不知火は下を向いてプルプルしながら、なにかをいった。


「私と勝負しなさい‼」


「はぁ!?」


いきなり何を言い出すんだ? こいつは?

多分勝負とは、能力を使ってタイマンで喧嘩しようって言ってるんだろう。


「あんた、何か隠してると思ってたけど・・・やっぱり、私の見立てに間違いはなかったみたいね。」


「……一つきいておきたいんだが、それは戦闘的なもので間違いないのか?」


「?。もちろんよ。勝負って言って他になにかあるの?」


「……はぁ。ツッコミ所満載だな。 新手の漫才かなんかか? 大体、何で俺みたいな無能力者と戦いたいんだよ?」


「なんでって、そりゃあ……面白そうだから?」


「疑問形を疑問形でかえすなよ!? なんだこれは?新手のいじめか?いや、いじめに違いない。 この人はSとみて間違いない。」


「ちょっ!?なんでそうなるのよ‼ 大体、これには正当な理由があるわ。」


「正当な理由?」


そんなものが存在するのか? どこからどうみたっていじめそのものだ。


「これは、風紀委員の委員長と副委員長を決める、大事な儀式よ。」


……?


「……えーと、全然状況が理解できないんですが?不知火さん。」


「だから、私と貴方で戦って委員長を決めるの。 わかった?」


「わかるか 大体なんで俺が風紀委員になってるんだよ。 あれは学校全体で五人、しかも立候補か推薦で決めるもんだろ」


「昨日決めたのよ。 あんた、昨日いなかったし。

形式上、立候補ってことになってるから、放棄は出来ないわよ。」


そう言って不知火は笑顔で、親指を突き出してくる。


「……その輝かしい笑顔と突き立てた親指をおろせ。」


何故、俺がこんなことに。


「んじゃ、今日の放課後、特別室9ー16にしゅうごうね。」


……こいつもやる気まんまんだし。  ん?待てよ?


「そもそも、俺ら二人だけできめていいのか?」


風紀委員は俺達を含めて、あと三人はいるはずだ。


「今年は二人しかいなかったから、私達で集めろ。って白石先生が。」


……なんて適当な学校だ。 全く。生徒の自主性、自立を重視するとはこのことをいうのだろう。 他の高校に自慢してやりたいくらいだ。


ところで一つ、気になってたことがあるんだが。


「なんで俺の後ろに机があるんだ?」


一番後ろの席は俺のはずだ。 なのに俺の後ろには、一つの机が存在していた。


「あぁ。それは、……」


「ユウくんっ‼」


ちょうどその時、ドアを開けて、白い髪の女の子が入ってきて、俺の名前を呼んだ。


「……?」


「あのっ、その、一昨日はどうもありがとうございました それと、ごめんなさっ……きゃっあゃー‼‼‼。」


……俺に頭をさげようとした時、……女の子は、盛大にコケた。

顔面から盛大にこけるなんて……この娘もついてないな……ってか大丈夫か!?


「立花‼ あんた、女の子に手を出すなんて、」


「違ぇよ!? どうみたって、今のは事故だろうが!?……大丈夫か?」


「いててて、あっ、その、はひっ。大丈夫でしゅ。……噛んじゃった」


……。


「……まぁ、怪我が無くてよかったな。」


さすがの俺も動揺していたようだ。 女の子に手を差し延べ、引き上げる。


「あう~~~。すみません。何度も助けてもらって。」


何度も? 今日初めてあったはずなんだが……。

「あっ、申し遅れました。 私は新山 美由といいましゅ。……また噛んじゃった。」


……やっぱ聞いたことないな。  新山 美由といった少女の髪は美しく、白銀{雪のよう}で腰くらいのロング。  顔立ちは綺麗というより、可愛いに入るんだろう。  そして、何と言っても、豊満な胸。  クラスにいた、数人の男子が、「すごい胸だぁ。」と、沸き立っている。 ……D?Fあるんじゃないか?


「みゆっちは昨日転校してきたばかりなの。 って、もう二人とも顔見知りなのよね。」



「いや、今日初めてあったが?」


「えっ!?……覚えてないんですか?」


「なにいってんの?あんた。 一昨日、あんたが助けた女の子じゃないの。」


この子が? 俺は確かにおぼえていないが、話は医師から聞いている。 ぬいぐるみを拾おうとした女の子を俺が助けたらしい。


「あのっ、本当にありがとうございました。」


「……別に。身体が勝手に動いただけだ。」


……実感はないが。


「……挨拶は終わった? んじゃみゆっち。話があるんだけど、いい?」


「はい?なんでしょう。」


「風紀委員に入らない?」


……早速始まった。


「風紀委員ですか?」


「えぇ。いいわよね? いいに決まってるわよね? むしろ自分から入りたいわよね?」


「えっあのっ、しょの、」


……動揺が隠せてないぞ、新山さん。


新山さんは俺に期待の眼差しを向けてきた。助けてほしいのか?


「あのっ、一個聞いてもいいでしゅか?」


「なに? 言っとくけど、拒否権なら無いわよ。」


ないんかい!?


「そのっ、立花君は風紀委員なんですか?」


……新山さんは喜びの顔を隠そうとしているが、バレバレだ。 よっぽど平仮名の「す」を言えたことが嬉しいらしい。


「……不本意ではあるが、俺も風紀委員だ。」


「それで、みゆっちははいるでしょ?」


「……はい。わかりました。」


……半ば強引に引き入れられた新山さん。

その後、すぐに鐘がなり、授業となった。



                 →↓←↑




……今は、歴史の授業中。


「世間でいう吸血鬼、ゾンビ、鬼等といった卑劣で愚かな生物達を率いて反乱を起こした魔王だったが、聖騎士達は神の力をつかい、反乱を食い止めたんだ。よくおぼえておけよ。」


今聞くと、やはりおかしく聞こえてしまう。 あの悪魔、マヤの言ってることの方が正しく感じてしまう。 吸血鬼、ゾンビ、鬼といった種族は確かに存在していたのかもしれない。

だが、悪魔や天使は存在しても、数的に10位。  その中に吸血鬼だの、何だのが含まれる。  大体、そんなもんが存在していたら、この人間の世界なんて、とうに滅んでる。


……まぁ、数的に言ってもおかしいが、何よりそういった種族は、神話より語られているもの

……明らかにおかしい。


だが、ひとつだけ納得できるのは、いつも、歴史は勝った方が正義となり、話をいくらでも書き換えられる、ということだな。

……そう思うと気分が悪いな。

同時に席を立ち、教室のドアへと向かって歩く。


「おい、立花。何処に行くんだ!? 授業中だぞ!?」


「……トイレっすよ」


教師に呼び止められたが、俺は構わず、教室を出て、いつもの場所へと向かった。

いつもの場所……それは、屋上。

まぁ、定番といえば定番だし、理由も風が気持ち良くて寝やすいから、という普通の理由だ。 それにひろいしな。


「……」


暖かい太陽の日差し、 自然の香りを運ぶやさしい風、心を癒す鳥の声。  この平穏な時間がいつまでも続けばいい。

そんなことを考えながら俺は、屋上の真ん中あたりに寝転ぶ。

だが、その平穏な時間は、ドアの音によって終わりをむかえる。


……ぎぃ~ 。

屋上のドアが開く音がした。


「やはりここにいたわね。 手間が省けたわ。」


……不知火? なんでここに?

不知火は仁王立ちで立ち、右手を俺へと向ける。


「さぁ、立花。私と戦いなさい!」


そう叫んだ不知火の掌から炎が放たれる。


「うぉ~~~!?」


俺は、神回避とも言える横っ飛びで、火に当たる寸前で避けることに成功したが、かすった服は少し焦げ臭く、直撃したフェンスは丸い円形の穴がポッカリと開いていた。

待てよ!? 鉄が溶けてるぞ!?  あんなもん当たったら、俺の体なんか骨ひとつ残らねぇ!!


「殺す気か!?」


「えぇ。」


「えぇ、っじゃねえよ!?  あほか!!???」


「それくらいでやらないとつまらないでしょ? それに、貴方がオーラを隠していることには気づいてるわ。 その程度では死なないはずよ。」


つまらないって、そんな言葉で済む威力じゃなかっただろ。

だが、まぁ……完璧にオーラを消していたと思っていたんだが……まだうまく扱えてないみたいだな。


「だが、俺は闘いたくない。」


「なんで? 自分の力を試そうとは思わないの?」


不知火は不思議そうに首を傾げる。  いや、不思議でもないだろ。



「……闘ったってめんどくさくなるだけだ。」


「呆れた。……なら死ぬしか無いわね。」


この学校では、戦闘になった場合、生死に関して学校側は干渉しないらしい。

つまり、生きたいなら自分でなんとかしろ。ということだ。

だからといって、俺は闘いたくない。 かといって死にたくもない。 なら、適当に闘って負ければいいか。


「……。」


「あくまでも本気を出さない気なのね。 ……なら殺す」


屋上であるということで、遠距離攻撃は出来ないのだろう。おそらく、遠距離のような能力を使えば、下の校舎にいる生徒たちにまで被害が出てしまう可能性もある。

……こういうところはやさしいくせにさ。


不知火は、右手を横に構えると、空間を歪め、そこから自身の身長くらいある、薙刀をを取りだした。


「炎槍グランオルグ。刺されば、その箇所から徐々に体温を上昇させる。一定温度を超えれば……解るわよね。」


人間は、42度を超えれば死……なんて現実的な武器だよ。

……マジで殺す気か?

不知火は、ひたすらに、的確に俺の身体目掛けて薙刀を振ってる。


何とかかわせてはいるものの、時間の問題というものだろう。

そして先程の言葉、脅しの言葉ではないようだ、槍をかすらせてみたが、 かすった場所は確かに熱くなり、全身に広がっていく、軽い熱のような症状だ。 


……本気みたいだな。 ……仕方ない。 まだ死にたくはないしな。……めんどくさいな。


全てをさらけ出す……。

手を顔の前に、目を押さえるように。

そして俺は、ようやくオーラとディバインレリックを解放した。


「やはりオーラを……っ!? なんなのこのオーラ量とその眼は!?」


不知火は驚きの表情を見せ、一歩後ろに飛んだ。


マヤの話では、イメージすることで能力がだせるらしい。

かといって、遠距離は使えない。

なら……不知火のをイメージする。

俺は、右手を横に構え、空間を歪め、そこから剣を取り出した。


能力も名前もわからない。  不知火の武器にも能力があった。  人を殺めるほどの。

なら・・・やたらにこの剣を使うわけにはいかないな。


「私は……そんな力に屈したりはっ!!」


不知火は今までで一番早いスピードでこちらに向かってきたが、すでに俺は見切っていた。 ディバインレリックのおかげで。

双方が剣と薙刀を交差させる。


……






「……俺の負けだな。」


結果、不知火の薙刀は俺の剣を弾き、俺の顔の前で止まっていた。

そこで授業終了の鐘がなった。  同時に不知火は、薙刀を一瞬で消す。  ……一瞬で消すこともできるのか。

普通の眼に戻し、俺は遠くに弾かれた、名も知れない剣を消すことに成功し、立ち上がった。


そして、そのまま屋上を出ようと階段へと向かったのだが、


「何故本気を出さなかったの?」


不知火に呼び止められた。 何故?……確かに俺は、不知火の動きを見切っていた。確かに勝てた。だが、俺は勝とうとしなかった。


何故だろう? めんどくさかった? 委員長になりたくなかった? 女の子を傷付けたくなかった?

……最後のは当たり前だろうが、他にも理由があるような気がする。 自分でもわからなかった。

「何故なの!?」


不知火は怒鳴る。


「……俺はこの能力、オーラを得てからまだ一日くらいだ。 いくらオーラ量で勝っていても操作能力、戦闘能力ではお前が上だったんじゃないか? だから負けるのは必然だった……と俺ならそう解釈するけどな。   だから、だれがどこから見たってお前の勝ちだよ。  誇っていいんじゃないか?」


そう言って俺は教室へと向かった。  ……ちょっとかっこつけみたいだったな。


……

不知火は完璧に負けたと思い、そのまま屋上でねっころがっていた。


「……陽介の眼に狂いはなかった……ってことかしらね」


立花 遊。 人とは思えないほどの身体能力、オーラ。 それでいて、力を過信しない。

周りを思うやさしさ。


「……力強い味方……いえ、仲間と知り合った、か……いつもすぐに騙されるから、今回もそうなんじゃないかと思っていたけど……大丈夫そうね。」


不知火京子は、やさしく微笑む。

これから起こる、出来事に対して、不知火は希望を見つけた。


「順調……かもしれないわね。」


私たちにはまだ解らない。  だが、おのずと見えてくるだろう。  物語が進めば。




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