表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eternal wish   作者: キッド
序章:始まりのようで、終わりのようで<始>
26/83

奨学金と書き、せいかつひ、と読む

「はぁ~。 ようやく帰ってきたか」


公園から帰路についてから1時間半、道が分からずに自分の勘だけを頼りに歩き、ようやく家に着いたというわけだ。


おかげでもう歩けねぇし、体は戦いの方でズタボロだし、心はもう……折れそうだ。


決めた。 ぜってぇ今日はめっちゃ寝てやる。

もう、明日は起きねぇぞ。 せっかくの休日なんだ、一日中寝てやる。

……ん? そういや、清水にまた明日、っていっちまったが休日だったな。

まぁ、いいか。


そんなことを思いながら、俺は家のドアを開ける。


「お帰りなさいませ~、ご主人様~」


……。

あるものに目を奪われ、俺は身動きができなくなる。

メイド服を着たマヤの姿に目を奪われ。


「……家を間違えました、すいません」


「ちょっと~!! ちがいますよ~!? あってます!! ここはあなたの家です~!!」


そういって、外に出ようとする俺の腕を引き止めるマヤ。

ってか、前にもこんなことあったよな(汗


「そんで、お前は何やってんだよ?」


いつもなら黒いマントだけ羽織って、宙に浮いてるのに。

……なぜかシンプルな白と黒のメイド服を着ている。


「疲れたお体を癒そうと思いまして~。

日本の文化では、この格好で、ご主人様~、と言えば見たものに所謂、萌え、という癒しを与えられると聞きましたので~。」


いやいやいや、どういうことだよ!?

確かに間違っちゃいねぇけど、そんな感情を抱くのは一部の人間だけだぞ?

例えば、陽介だろ?  あとは……陽介とか?

……陽介……お前ってやつは……。


いや、俺は違うぞ!?  断じて違うぞ!?

ってか、そんなことはどうでもいいんだよ!?

大体、こいつどっからそんな情報仕入れてきやがったんだ?


……ん!? まさか!?


「おい、マヤ!! お前、まさか一日中テレビ見てたんじゃ……」


「? 当然じゃないですか。 他にこの家でやることがあるんですか?」


……最悪だ、コイツ。  なんて事してくれたんだ。


「? 何かいけませんでしたか?」


頭の上からハテナマークが表示されていそうな顔で俺に質問してくる。

……はぁ。


「……俺が貧乏っていうことは知ってるよな?」


呆れたように、俺はマヤの問いに答えていく。


「えぇ。 だから食費、お風呂の水、水道水の使い方、その他もろもろをケチくさく抑えていますよね?」


……せめて節約していると言って欲しい。


仕方ないのだ。


俺には仕送りがなく、学校から送られてくる……というかなんというか、奨学金のようなものだけで生活費をやりくりしている現状なのだ。

普段は何故、特待生なのかと疑心暗鬼なのだが、こういう時ばかりは自信満々に胸を張って、俺が特待生だ、と言ってやりたいほどである。

生活費全てを賄ってもらっている立場なのだから。


……こう考えると、俺って情けないなぁ……。

ん? バイトすればいいって?

……めんどくさいだろ?


「よく解ってんじゃないか。

その物わかりのいいマヤさんが何故、電気を使いたい放題やっちゃってくれてるのかな?」


「……電気ってお金かかるんですか?」


……は?


「ちょっと待て!?  お前そんなことも知らねぇのか!?」


んなこと一般常識だろ?

小学生はもちろん、下手したら3歳のガキですら知ってることだぞ!?


「私、今まで王宮で仕えていまして~。

王宮の電気は、能力者が供給していましたので~」


……コイツが魔王の使い魔てのを忘れてたぜ。

知らないことは罪、だとよく言われるが、叱るとなるとそれも別問題だよな。

俺には怒ることが出来なさそうだ。

……柄でもねぇしな。


「……はぁ~、解った。

今度からは気を付けてくれ」


少々困り顔であったマヤだが、何かを思いついたようで、顔が一気に明るくなり、笑顔で、


「すみません~、ご主人様~。

お詫びに~、私がご奉仕させていただきます~。

ご飯にしますか~? お風呂にしますか~?

それとも~、わ~・た~・」


「だから、それはもういいんだよ!!」


こうして、長く、そして騒がしい一日は幕を閉じようとしていた。

……今日はいいこと、ひとつもなかったな↓

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ