美しき剣士・清水 冷香
唯を助けてから三日。 一向に5人目の風紀委員が見つけられない遊。
身の危険を感じつつも、その背後に影が迫りつつあった。
あれから三日がたった。 が、一向に五人目の風紀委員が見つからず、俺は生命の危機を感じていた。
……仕方ねぇ。最終手段だな。ずばり……陽介しかいねぇ。
まぁ、ノリにのってくれたり、ギャグ言ったり、不真面目に見えるが、普段は真面目な奴だ。 困ってる人を見捨てられなかったり、俺が助けを求めるといつも助けてくれるし。
俺は登校し、教室で陽介を待ったのだが……、その日、陽介は学校に来なかった。
理由は病気だとか。……んー、何かひっかかるなぁ。 熱だすようなやつじゃねぇし……。
……昼休み……
「はぁ~。」
今日は予算オーバーのため、飯も食わず、屋上へ。
大体の生徒は教室で友達と仲良くご飯を食べているため、屋上はすっからかん。つまり、独り占め出来るという訳だ。
しかし、困った。
未だ、解決策が見当たらない。
「……やっぱ、陽介しかねぇよなぁ~。」
堤防から町を見下ろし、どうしようもなく、溜息をつく。
……まぁ、思い詰めても仕方ないな。 寝るか。
俺はそんなことを思いながら、寝っ転がる。
「……ん?」
人の気配を感じ、目を開けると、俺一人かと思っていた屋上にもう一人、生徒が立っていた。
まぁ、特に気にすることはないと思ったんだが。
こっちを見ている。 瞬きすることなくずっと。 ……人にみられていたら寝れる訳が無い。
つか、どっかのホラー映画かなにかか? おい。
「……俺に何か用か?」
少しずつ近づいてくる。 この学校の女子生徒のようだ。
「貴方が……魔王ですね。」
……はぁ~。 最近、この質問が多いな。 魔王、魔王、魔王。 この一週間で、いったいどれだけ聴いたことか……。
「……そうかもしれないな。だとしたら、何だっていうんだ?」
もう、うんざりだ。寝たい時にも眠れず、休む時間さえない。
「……試させてもらいましょう。」
その娘は、いきなり……刀を取り出し、おれにむけた。
ヒュッ。
横に一閃。
俺は間一髪の所で避けれた。
「っおぉ!? 危ねぇ……」
「なるほど。なかなかですね。」
いやいや!!、こっちは殺されそうになったんだが!? なかなかって……。
「……今は屋上で闇討ち、って方法が流行ってんのか?」
この間も、誰かさんにいきなり殺されそうになったな。
全く、とんでもねぇな。
「いいでしょう。合格です。 貴方には、私と一緒に来てもらいましょう。」
はい? かわいい女の子に誘われれば、確かについていきたくもなるが……。
「いや、ちょっとまて!? お母さんに、知らない人にはついていくなと」
「何の話をしてるんですか!? ネタが古いんですよ!!」
なに? 通じなかったか? まさか!?
「……誘拐犯か何かか!? まさか……変態の人か!! 俺になにする気だ!?」
「なっ!? 何を言っているんですか!?貴方は!! 私は真剣な話をしてるんです!!」
真っ赤に頬を染めながら、怒鳴る少女。
……からかいがいのあるやつだ。 態度、反応からみて、俺を殺すのが目的じゃないらしい。
「……んで、真剣な話って何だ? 変態さん。」
「だから、変態さんじゃないと言っているんです。……まぁ、いいです。 私は清水 怜香。 一年です。」
……年下か。 長くて、綺麗な黒髪、おれくらいの長身ですらっとした体型、おしとやかな雰囲気、まさに大和撫子、といっていい感じから年上かと思ったんだが……
「……俺は立花 遊。 君の言ったように、魔王らしいな。」
あまり断言はできない。なぜなら納得がいかないから。 ……ガキみたいな理由だな。
「さて、それでは本題に移りましょう。私について来てください。
「話っていうのは?」
「向かいながらはなっ!?」
その時、薙刀のようなものが清水を一閃。 清水は察知したのか、ぎりぎりの所で横跳びし、攻撃を避けた。
「へぇ、よくよけたじゃない。清水さん。」
……この聞き覚えのある声は!?