第二十七話「重い空気の中で」
カフェで向かい合って座る3人の間にはなんとも言えない重い空気が充満していた。
小一時間話したが、ろくな進展はない。
3/4ほど残っているカフェオレはすでに氷と混ざって薄くなっていた。
市松さんがコップを揺らしながら口を開いた。
「まあつまりさ、花怜みたいな力を持つやつがもう一人いたって解釈で合ってるんだよな?」
「残念ながらそうね」
市松さんは大きなため息をつきながら、手を額に当てて俯く。
「怪力っていうのは百歩譲ってもさ、花怜と同じ力を持ってるだろうっていうのが一番の問題だよな」
怪力も十分やばいと思うが、市松さんがいるのでとりあえずおいておこう。彼の言う通り、権限を持っているということが一番厄介だろう。今の所、砂藤さんの権限については少ししか知らないけれど、今までを思い出すと自由度が高いと言うことだけはわかる。
「しかもどこまで同じかもわからないしね」
「花怜ってさ、やつと同じことできる?」
砂藤さんの表情が一瞬固まった。初めて見た彼女の挙動に少し驚いた。悩んでる、のか?
「テレポートは無理、かな。怪力はやったことないからわからない。メッセージは......遅れるかもしれない」
砂藤さんは「携帯借りるね」と僕のスマホをさらっと奪い、なにやら作業をし始めた。彼女は目を瞑り、頭に手を当てている。少し口を開け息を吸う様はなんだか苦しそうに見えた。
エアコンの作動音と周りの話し声が辺気になり始めた頃、僕のスマホから音が鳴った。
砂藤さんは隠しきれない疲弊の表情を少しばかり浮かべながら、机の上にスマホを置く。
ロックしたまま渡したはずの僕のスマホは最も簡単に解除されていた。
これだけでも十分、権限の自由度がわかった。
そして、画面に映るメッセージアプリには一通の短い新規メッセージが届いていた。
〈てすと〉
画面上部を見ると、差出人欄は空白。昨日送られてきたメッセージととても似ていた。
「つまり、やつは花怜と同等以上の権限を持つのか......」
また一つ現れたやつの恐ろしさに、僕らは再び頭を抱えた。




