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世界の修復作業は死にたい僕に託された  作者: きくずれ
第一章

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第二十五話「もう一人の権限者」

「あいつが"製作者"......?」


 砂藤さんは「ん〜」と唸っている。


「そうかも。でも何か違う気がする」


 そういえば砂藤さんは製作者と会ったことがないと言っていた。どうして製作者がいると思ったんだろうなと僕は少し疑問に思う。


「製作者じゃないとしたら誰なんだろうな......」


「砂藤さん。いつもみたいにあいつのデータ見られないの?」


「そんなに万能なものじゃないよ。個体を識別しないと確認できないの」


「そっか......」と僕は落胆する。砂藤さんならなんとかできるかと思ったけど彼女でも厳しいみたいだ。


「お見舞いに来てくれてありがとう」


「気にしないで。死なれたら困るから生きてるか確認しに来ただけよ」


 そう言うと砂藤さんはカバンをとってさっと立ち上がった。


「もう元気みたいね。早く立って」


「はい」と僕は言ってゆっくりとベットから立ち上がる。


 僕は彼女に支えられてばっかりだ。彼女の下手くそな照れ隠しはとても嬉しかった。



 * * *



 家に帰ってネットサーフィンをしていると突如見慣れない番号から通知が来た。


 僕は少し不審がりながら通知をタップしてメッセージを見る。


 ”こんばんは。世界の修復者。あなたは現在この世界の規律を乱している。このまま行動を続けるのであれば制裁を受けてもらうことになる”


 思わずスマホが手からこぼれ落ちる。一体誰なんだ。こんな悪趣味ないたずらをするのは。


 砂藤さんも一松さんもするわけがない。となると......あいつか。


 今日襲ってきたのは警告のため? そもそもどうして僕の電話番号を知っているんだ?


 僕は跳ねる心臓を宥めつつ確かめるためにその不審な電話番号にかけてみることにした。


 心の準備をしてボタンを押す。すると「おかけになった電話番号は現在使用されておりません」と聞こえてきた。どういうことだ? 使われていない電話番号からのメッセージ?


 やはりあいつはただものではないらしい。


 今の所考えられる可能性としては、砂藤さんと同じような権限を持っていること。


 もしそうならば僕らの居場所を特定してきたのも納得がいくし異常な速度や喧騒が消えたことについても説明がつく。


 もし本当にそうならば結構やっかいだな......。


 バグではないから砂藤さんは直せないし、また襲われたら市松さん一人では対抗できるか怪しい。何か対策を考えないと。


 僕はメモアプリを起動して考えられる対策を羅列していった。

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