表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の修復作業は死にたい僕に託された  作者: きくずれ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/27

第二十話「悪寒」

 この店のハンバーグはとてもおいしかった。だが元々会話が苦手ということと初対面の市松さんも同席しているということもあり、あまり会話は弾まなかった。


 会計はなんと市松さんが全て払ってくれた。最近出かけることが多く財布が軽くなりつつあったのでとても助かった。あとで何かお礼をしようと思った。


 その後、砂藤さんは用事があるから、といいなんと僕と市松さんだけが残された。


 両者沈黙。カラスの鳴き声と遠くで小学生のはしゃぐ声が聞こえる。


「林道くんはさ、どうやって砂藤さんと出会ったんだ?」


 市松さんは前を向いたまま言った。


 僕は悩む。正直にいうのは嫌だ。何か適当に誤魔化そうか。


 でも、普段普通の会話すらしない僕に適当な嘘などつけるだろうか?


 とにかく、まずは返事をしないといけない。


 僕はなんとか嘘を取り繕って返事を返した。


「えーっと......横断歩道で轢かれそうになったのを砂藤さんに助けてもらったんです」


「それは災難だったね......」


 市松さんはとても悲しそうな、同情するような表情を浮かべていう。


 僕の嘘はばれていないだろうか? ある程度本当のことを混ぜたのだけれど。


「そこで何か砂藤さんの権限を見たのかい?」


「はい。タイムリープを」


「すごいなぁ。本当に花怜はタイムリープを使えるのか」


「市松さんは見たことないんですか?」


「そうなんだよね」


「どうやって砂藤さんと会ったんですか?」


 市松さんは「ああそれね」といい数秒目線を上に向けて何かを思い出した。


「いつも通り研究所にいたら突然やってきたんだよ。普段来訪者なんて来ないからさ、驚いたさ。しかも来訪者は変な服をきた少女だよ?」


 はは、と僕は下手くそな薄ら笑いを浮かべる。


「まあ、そこからは多分林道と一緒。状況を説明されて、手伝ってくれって」


「市松さんも大変ですよね。休日連れ回されて」


 市松さんは「え?」と疑問の表情を浮かべこちらを振り向いた。


「振り回される? 俺はいつも研究所で花怜と話すよ。違うのか?」


「あー......僕はいつもどこかしらに連れて行かれるんです。ショッピングモールやら、学校やら」


「そっか。君はバグを視認できるんだもんな。大変だな。忙しくて」


 ほんとですよ、と返事をしようとした時。また何か強烈な違和感を感じた。


 咄嗟に当たりを見渡す。道、電柱、店、どれも異常はないように見える。


 行き交う人々も、特に——いや、わかった。


 目線を感じる。確実に何かに見られている。その瞬間背筋を強烈な悪寒が走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ