↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の修復作業は死にたい僕に託された  作者: 佐々木 杳
第一章「間違い探しの始まり」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/42

第二十二話「鼓動」

「林道くん。あれがバグか? 聞いてたのと違うんだけど」

 

「いや......違います。いつもはあんなのじゃないです」

 

「困ったな....」

 

 そう言っている間に僕たちの瞬きがかぶってしまった一瞬の隙にじわじわとそれは近づいてくる。

 

「市松さんっ......!」

 

「花怜を呼ぶか?」

 

 砂藤さんを呼ぶのも確かにいいのかもしれない。だけど普段の感じを見るにおそらく砂藤さんはバグに慣れていない。

 

 いや、呼んだ方がいいのか? 砂藤さんじゃないと対処できないのか? くっそう......。震える足を必死で押さえながら本心を隠すように頭をフル回転させて考える。だめだ。どうにかなるはずない。今まで人型のバグなんて遭遇しなかったじゃないか。砂藤さんも何も言っていなかったじゃないか。情報があまりにもなさすぎる。

 

 こんなのどうすればいいって言うんだ。

 

 一歩後ずさる。すでに僕の半分は強烈な本能で満たされていた。

 

 ”死にたくない”

 

「光輝!!!!」

 

 市松さんの一声ではっと現実に戻された。だめだ......こんな時こそしっかりしないと。僕は砂藤さんに頼られているんだから......。

 

「市松さん。あいつを倒せますか」

 

 市松さんの顔が目を向こうへ固定したままほんの少しこちらへ傾いた。

 

「できる限りのことはするよ」

 

 その瞬間、人影が消えた。

 

「まずい!」

 

 どこだ?? 必死に見渡すがそれらしき姿はない。どこを見ても人、人、人。こんな人混みの中でどうやって見つけたらいいんだ。


 ヒュッ


 風を切る音が聞こえたと思ったその直後、パンッと衝撃音が耳に届く。

 僕の目と鼻の先には市松さんの腕があった。その先には——さっきのあいつ!

 

 さっきまでは遠くて見えなかったが、今ははっきりと視認できる。

 全身黒で統一されたシンプルな服。上はカッターシャツ、下のズボンはベルトで閉められておりやけに綺麗な服装をしている。

 

 大きく開かれた目に光は微塵もない。そこに並ぶ口や眉も絵の具で書かれているかのように微動だにせず、速く振りかぶったはずなのに髪型は一糸乱れず揃っている。

 タンッという着地音と共にそいつは着地する。

 

「大丈夫か」

 

「大丈夫です......」

 

 苦しさで息を止めていたことに気づいた僕は慌てて肺に酸素を流し込む。

 それと同時に胸から重くうるさい心拍が体から響いて伝わってくる。

 

 ようやく現実が飲み込めてきた。僕は今殴られたのか? そして市松さんに助けられた?

 横にいる市松さんも僕と同様に息を切らしている。

 

 そして、右腕で押さえている左腕は小刻みに震えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。