第95話 再顕現
あぱ
フードを被った男が廉の手を取り何かの術式を発動した直後、焼けた森の中心部、廉と男を中心に眩い光が辺りへと広がる。
「やはり!やはり生きているのだな!!」
男の表情はフードによって隠され見えないが、その声色は興奮しているように思えた。
「吉と出るか、凶と出るかね……。」
たえは眩い光を放つ廉達を薄目で見ながら呟く。
たえはこの先、理想型の複数の展開パターンを予測していた。
第一のパターンが裕一の即復帰、かつ国沈と男を共に撃破する物。これが最大の理想であるが、裕一は一度国沈に敗れている上、長期間国沈によって拘束されている。その上男の方の実力は底が見えない。性質的に男に神の気配がある為、裕一をもってしても敵わない可能性がある。状況を加味してみてもあまり期待は出来ないと思われる。
第二で裕一が即復帰し、とりあえず国沈もしくは男を撃破してくれるパターン。一般の怪異家達では討伐がほぼ不可能な二つの存在のうち、どちらかをへし折ってくれればかなり戦況が楽になるように思えた。
他にも複数の展開パターンをたえは予測していたが、いずれにせよ裕一が国沈の拘束下から即座に脱却してくれなければ叶わないものが殆どであった。
ちなみにたえの予測した理想型以外の予測パターンは大体全滅の未来である。良くてたえとリーザがギリギリ逃走出来るくらい。たえとしても孫を置いて逃げるつもりは無いので、良い方に事が進まなければ恐らく皆死んでしまうだろうとたえは思った。
たえ達宇喜田家チームのメンバーが見守る中、廉と男を中心に広がっていた光は次第に明るさを失い、赤黒く、ドロドロとした気配のような物へと移りゆく。
直後、廉と男の繋いだ手の中心部から垂直に上空へと鈍く、赤黒く光る何かが飛び上がったかと思いきや即座に赤黒い光は廉達を中心にドーム状に広がる。
「あぁ、あの時の空間か……。」
側で見ていた市村京子は呟く。赤黒く光る何かが形成したドーム状の空間は非常に彩りを携え、辺りは裕一が居なくなる原因となった国沈戦、あの時と同じ気配を持つ空間へと変貌していた。
「がっはっはっは!!!ついに出て来たぞ!!」
ふと上からそんな声がした。
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