第88話 絶大
ちょーつよい!
(クソがよ……。)
隠匿術式を看破する狐翁という存在によって、一気にヒキヤは窮地へと立たされる。
もはやヒキヤは黙っていたとしても回避の手は無い。すぐにでも狐翁は宇喜田の仲間と連携を取りヒキヤを追い詰めようとしてくるだろう。何かしら術式を当てられてしまえばヒキヤの隠匿術式は除去されてしまう。そうなれば四方八方からヒキヤは蜂の巣とされる事だろう。
(おい……、助けろ……!!)
ヒキヤは高地で待機しているチームメンバーへと願う。この場では念話も使えない。どうせ誰かしらが念話を察知し波長を読み取りヒキヤ達のチャンネルへと侵入してくるだろうからだ。
「使えない奴だな。お前は一個ダメになったら全部ダメになるのかよ。だから次の手を用意すべきと……。」
拮抗し合う怪異家たちの中心部、ヒキヤのそばへと何者かが飛び降りてくる。
飛び降りた何者かは隠匿術式も何も小細工を使っていない。飛び降りた瞬間、四方八方から怪異家たちによって多種多様の術式がヒキヤ達の元へと到達する。
いや、したかのように見えた。
「無駄だ。お前達の使う術式では私を傷付ける事は出来ない。」
ヒキヤ達の元へと到達したかのように見えた大量の術式はどれも到達の数メートル手前で何か不思議な力のような物によってかき消された。
深いフードのような物を被っている為顔が見えないが、長身。男の声である。人間の大会参加者は規定のユニフォームの着用が求められている為、恐らく怪異枠での参加者なのだろう。
「撤収!撤収!!」
瞬時に実力差を察知した強豪の怪異家たちは体制を整えようと、一度距離を取ろうとする。
「鬱陶しい。」
男はそう呟くと空気を撫でるかのように撤収しようとする怪異家達へと手を翳す。
直後、空間が抉れたかのように光が屈折し、手を翳された怪異家達は皆、全身に切り傷が作り出され、戦闘不能となる。
「あれば神だ。非常に不味いね……。」
木を遮蔽物に男から術式の射線を切っていたたえは言う。たえは補助系術式を切らさぬよう、周囲の仲間にも向けて術式を詠唱する。
「おい、宇喜田の人間よ。お前達に用があるんだ。」
男は悠然とそう言うと廉達、宇喜田家の方向へと歩き出した。
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