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第84話 二枠

あわあわあわあわあわ


 「廉!!横横横!!」



 狐が戦闘中、意識がおろそかになった廉を見て叫ぶ。廉も狐も必死に戦っている故に互いに余裕が無い。




 「はっ!!ぬっ!!」



 狐の声を聞いて廉は身をよじり、横から突っ込んできた怪異家の攻撃を躱す。




 たえが森に火を放ち、同時多発的に森の各地で戦闘が起こり始めてから約三時間。戦闘音に惹かれてやってきた怪異家達が絶え間なく森に補充される為、休憩を取る間もない戦いとなっていた。




 「あんたら!!東の方からもう一団が来たよ!!葛家だ!!強豪だから気を付けな!!」




 たえは焼け落ちつつある木の枝を手で伝って飛び回りながら廉達宇喜田家の面々に言う。




 たえは宇喜田家の面々の戦闘を補助しつつ、広範囲に広げた索敵術式を用い敵をいち早く察知。長年の経験で得た他の怪異家の情報を用い、的確に最適な戦い方をし続ける。




 この場では完全にたえが場を制していた。とはいえ、彼女の目的は廉達、裕一奪還戦に参加する予定の三名に戦闘経験を積ませる事。たえとしての最適な動きから一歩引いた戦い方であった。力をセーブして戦った状態でもこの場で頭一つ抜けた実力。長年最強の座を守り続けていた宇喜田家の主戦力として恥ずかしくない力を発揮していた。





 * * *



 運営席




 「なんだかんだ言ってやっぱ宇喜田家が優勝候補ですかねぇ。」




 会場アナウンス等の役目のある運営メンバーの一人が、背もたれが曲がるタイプの椅子に座りながらぼそっと言う。




 「どうだろうなぁ。確かに宇喜田家の主力は強いけど、何故だか今回は新人が二人も居るじゃん。フル戦力で来ている強豪とぶつかっちゃったら流石にキツいんじゃないかなぁ。」




 運営メンバーの一人が持論を展開する。




 「ていうか宇喜田家さんは色々常識から外れているんですよね。何故だか裕一さんに続いてたえさんが若返ってますし。こんな場に後任の育成の場を取ってますし。怪異枠は異常だし。」



 登録メンバーの書類をめくりながら運営メンバーは言う。

 


 「そうなんですよね。急に海代之狐翁なんて謎な怪異を連れてきますし。見た感じあの怪異、普通にS級格の出力出せると思いますよ。逆に今あんまり活躍出来てないのが謎ですね。しかも西洋吸血鬼のリーザさんですよね。あの死刑にされそうになった。」




 「そもそも指示が必要無い自立した怪異って段階でかなり珍しいのに二枠とも人間以上のスペックしてるんですよねぇ。常識から外れてますよね。」




 そんな話を運営メンバーは続ける。





 「あ。今回自立して動ける怪異連れてきている家、他に一家だけありますね。」




 「え?どこどこ。」




 「栗重家ですね~。あそこも強豪ですからね。宇喜田家とぶつかった時が楽しみですね。」

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