第82話 焼き討ち
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廉達が砂漠を抜けようと歩き出してから約一時間が経った頃。ようやく宇喜田家の一団は森へと突入した。
途中術式を使って移動しないのかと廉が聞いた所、チームメンバー間の協力等の練度が低い状態で大人数での移動系術式は事故に繋がる事が多いため避けるとたえは言っていた。
森へと到着した直後、たえは突如火炎術式を森の手前から奥まで放つ。
「えぇ!?えぇ!!!?」
松とリーザ以外の宇喜田家チームの人間は驚愕の声を上げる。声を上げなかっただけで松とリーザも驚きはしただろう。水を求めて炎天下の中森へと歩き続け、ようやく到達したと思ったら何故かたえが森に火を放つのである。理解できない。
「ちょっとちょっと!!何するんですか!!?」
京子がたえへと詰め寄る。
「落ち着きな。足元を見て。」
たえへと詰め寄った京子を見てたえは京子を落ち着くよう指示し、足下の方を指差す。
「あ……。小川……。」
京子達が足元を見ると、そこには川幅約一メートル程の小川が流れていた。
「水源を確保できた。これで最低限の必須資源は確保できたからね。ここからは戦闘の時間だ。おのおの今のうちに水を飲んどきな。」
たえの指示を受け、廉達は全員、小川の水を飲み、喉の渇きを潤す。宇喜田家チームが喉の渇きを潤している最中も、たえは変わらず森へと火炎術式を放ち続ける。
廉は、いくら仮想的に構築された空間とはいえ、森に火を放つとは容赦が無いな。と思った。
しばらくすると、森の奥の方から怒号が聞こえるようになってくる。
「たえさん、あれは?」
廉はたえへ聞く。
「森が焼けて遮蔽物がどんどん減っているからね。接敵しやすくなってあちこちで戦闘が始まっているんだよ。そろそろ行こうかね。」
たえは強化系術式を己へと発動し、その後廉達にも順番に発動していく。
「えっ?まさか突っ込むんですか?待っていれば勝手に戦ってくれるのに?」
まさか現段階で戦おうとするだろうとは思っていなかった松はたえに問う。
「まぁ、今回の目的は生き残る事では無く、廉達に戦闘経験を積ませる事だからね。どんどん戦っていくよ。」
たえはそう言うと今もなお火がつき、所々炎によって木が割れているような森の中へと歩いて行った。
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