第76話 思惑
フヘンフヘン不変普遍
廉とたえの模擬戦、練習試合は結局たえが勝利したまま決着となった。
続く第二の組み合わせ、京子と松の対戦は容赦なく攻撃を叩き込んでくる松に京子は手も足も出ず松の勝利で終了となった。
最後のマッチ、孤翁対しぐろの戦いは非常に拮抗した勝負となった。互いにそこそこの戦闘経験を積んでおり、戦闘スタイルにおいてもワンミスを取り合う慎重な試合展開となった故に、前二戦と比べて倍以上の時間がかかる事となった。
長期戦となった結果、一度仕切り直しが執り行われサドンデス形式、要は先に一撃当てた方の勝ちというルールまでもつれ込んだ上で最後、集中力勝ちしたしぐろの勝利となった。
(皆強いなぁ……。)
日陰で涼みつつ、廉達春雨寮組は思う。春雨寮組から見ての先輩達、特に宇喜田家の中では上位の実力を持ち合わせる人達との練習試合は学ぶ物があったようだ。
木陰で涼む廉達をたえは横目で見る。孤翁以外は全くもって手も足も出ないと、そういう状況を初めて体験した彼らには見える物も変わってくるだろうと、たえは密かに期待したまま何処かへと転移していった。
* * *
「何処までやっちゃって良いんですかい?」
畳張りの和室、薄暗い部屋の中で声がする。
「出来る所までやってしまえ。腕の一つでももげるならもぐ。殺せるなら殺す。それで頼むぞ。ただ油断するなよ。奴自身は素人とはいえ、宇喜田のババアも付いている。バレないように頼むぞ。」
「へっ、俺がそんなヘマをするように見えるか?報酬分の働きはしてやるよ。俺にとっちゃ宇喜田の素人坊主一人殺す事など造作もないわ。それじゃあ、栗重さん、朗報を待ってろよ。」
声の主はそう言うと和室から煙のように消え去る。
栗重と呼ばれたこの男、栗重家の当主は交流試合の最中、どさくさに紛れて宇喜田廉の抹殺を狙っていた。
「裕一が死んだ今、ここで跡取りの坊主を殺しておけば次に関西で覇権を取るのはこの栗重家。何としても成功させてもらおうか……。」
栗重の当主はそう言いながら畳から立ち上がり、目の前に置いてあった燭台のろうそくを吹き消した。
こうして宇喜田家、栗重家を含めた様々な家の思惑がまじりあう。そして場面はここから数日後の関西圏某所、実力向上交流試合、本番の日を迎える事となった。
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