第5話 狐の神様
海代之狐翁。うみしろのこおうと読みます。
Chu!読みにくくてごめん
喧嘩の舞台は海代グループ構内の運動場。
サッカーコートの外周に陸上競技のコースが張られている形であり、十分な広さを持つ。
生徒に見られないよう念の為コート全体に認識阻害の結界を貼る。
「さぁかかってこいよ人間!!」
自称神の化け狐はかっかしている。
相当に怒りの沸点が低いらしい。
「じゃあ行くぞー。」
向こうから攻撃する気配が無さそうなので、こちらが先手を取る。
手始めに対象を追尾する火球を3発放つ。
「うりゃ!!」
化け狐は尻尾を用いて火球の術式を掻き消した。
多少の知識はあるようだ。
「なんだ、こんな物か!所詮人間じゃったのう!!こちらから行くぞ!!」
そう言うと化け狐は幻術を貼る。
目くらまし系統の幻術かな?
幻覚作用のある術も複合させているなぁ。
相手が混乱している間にタコ殴りにする作戦のようだが相手が悪い。
常に精神操作系の術をガードしている為俺に一切の幻術は通用しない。
そうとは知らずまっすぐ化け狐が突っ込んでくる。
「もらったあぁあぁ!!!」
化け狐が叫びながら俺の喉元に飛びかかろうとしたその瞬間、俺は奴の頭を掴む。
「んなぁあわあ!!??なんで!???」
悲鳴を上げる。
頭を掴まれ逃げる事も攻撃の回避も出来なくなった狐は手足をバタバタさせる。
2度と俺に逆らえないよう心をへし折っておくか。
という事で0距離で出来るだけド派手な術を見せつける事にする。
見せるだけだ。
抵抗できない動物を痛めつける趣味は無いからな。
何にするかー。
西洋伝来の術式は見た目が派手な物が多いから丁度良いかもなぁ。
少しの思案ののち術式を貼り始める。
時空間魔法。光魔法。氷結魔法。火炎魔法。爆裂魔法。光線魔法。黒魔術。超転移。
術式の相性等一切考えずに全ての術式を同時展開していく。
結界により外からは一切感知されないが、この中はさながら世界の終わりのような光景となっている。
「全部当てたらどうなっちゃうんだろうなぁ?」
狐の恐怖心を煽るように呟く。
「ひ…わ…わかった!!降参!!降参!!ごめんなさい!!!!!」
俺の一言で耐えられなくなったのか、化け狐は一切の抵抗を諦め降参を宣言した。
「まさか僕が手も足も出ないとは…。」
コート横のベンチに座りながら化け狐は若干しょぼんとした様子で言う。
術式でぐちゃぐちゃにしてしまったコートは直しておいた。
「お前そんな大した事ねぇだろ。」
「君が非常識に強いだけだよ!なんだよ!!見た事無いぞ!?あれだけの出力の術式を同時に何個も展開するなんて…。」
バカ狐だとしても褒められるのは良い気分だなぁ。
「それに、僕が神様だってのは本当だよ?僕の名前は海代之狐翁。れっきとしたこの地域一帯を納める神様なんだぞ。」
こいつ虚言癖あるんだろうなぁ…。
見た目がもふもふしてて可愛いから愛嬌あるけどこれで普通の人間の見た目だったら誰も相手してくれないだろうな。
「今は力を失ってしまっているけど…。」
すると突然、俯いていた狐が顔を上げる。
「君!僕が力を取り戻す手伝いをしてくれよ!!」
何言ってんだこいつ。
「そうだよ、そもそもそれを頼もうと寮で待ってたのに何でこうなったんだよ!!」
「嫌だ。」
「見返りはやる!僕が力を取り戻したら願いを何でも叶えてやるぞ!お金も沢山手に入るし女の子にだってモテモテだ!!」
「どっちも間に合っている。」
「何か願いは無いのかよぉおぉ!!」
「強いて言えば孫との平穏な日常。」
「えっ!?孫!??」
あ、そうか言ってなかったか。
口滑らしたなぁ。
「分かったぞ!お前妖怪の類いだな!!それで人の孫が…。」
狐の推測が変な方向に曲がっていく。
「分かった!君見た感じ若者の流行に疎いだろ!僕が孫ともっと仲良くなる手伝いをしてやる!!」
「お前は流行を追えてるのかよ。」
「僕は何年も人の子を見守り続けているんだぞ!最新型のiPhoneだって持ってる!」
「iPhoneね…?それくらい知っている。」
「今のがマウントに感じる時点で中々やばいぞ!!」
うーむ。
しかしこいつの言う事も一理あるかもなぁ。
流行を知れば孫との距離も縮められるかもしれん。
何よりこいつにはうっかり俺の秘密を知られてしまった。
口封じに始末してしまうのは気分が悪いから近くに置いて管理する方が良いかもしれん。
「分かった。お前の提案を受け入れてやるよ。」
「ホントか!?途中で辞めるとか言うなよ!!」
「言うかも」
「やだーーーっ!!」
こうして俺は厄介な化け狐を抱える事になった。
正直神が力を取り戻す方法とか聞いていないが多分出来るだろ。
「あっ」
廉をずっと放置しちゃってる……
バカ狐のせいだ。
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