第57話 契約
あはー
対策部が国沈の出現直前に二人の吸血鬼。リーザ・フェリナとリペから聞き出す事が出来た情報は非常に重要なものであった。
彼ら吸血鬼いわく、邪神に通常の術式は一切通用しない。邪神に通用するのは神聖魔法や精霊術式、悪魔術等の神性の高い物のみであると。
だとすれば裕一さんは邪神に勝てない。裕一さんであればそれすらひっくり返すという、淡い期待もあるが、可能性は低い。
裕一達、怪異家があの巨大怪異にかつためにはまず、神のような存在と契約を行い、神性の強い力を手に入れる必要があった。
「では、行ってくる。」
「お気を付けて!!」
怪異家達に見守られ、主戦力たる五家の当主達は巨大怪異の元へと飛び立とうとする。
直後、怪異家達の背後から声がする。
「すいません!!助けてください!!」
* * *
氷も炎も水も通らない。空間術式を使ってみても何も影響無しか。じゃあこれは?
数多くの術式を国沈めがけて放ち続けるが、今の所どれもダメージを与えられている感触が一切無い。
もしやそもそもダメージを通せない相手?そんな超生物存在するのか?いや、神と名乗っている。そういう物なのか?だとしたら―。
「ふふふ、悩んでいるのう。しかしまぁ、ここまで動ける奴は本当にあの時には居なかった。素晴らしい。貴様のその実力に免じて一つ、ヒントを与えてやろう。」
国沈は攻撃の手を止め、語り出す。
「は……?ヒント?」
「どんな技にも格がある。貴様の使う技はどれも至高の域に至っているが、人の域を抜け出していない。それでは駄目だ。」
思い掛けない敵からのヒントだ。コイツは俺との戦いを楽しんでいる節がある。楽しんでいるのは奴だけではないが。
しかし、人の域を抜け出していない、ねぇ。神が使うような物しか通用しないって話か?だとしたら現状お手上げだ。
俺は現状その手の術式は使えない。どうするか……。
俺が考え込んでいると、背後から俺を呼ぶ声がする。
「裕一さん!!!」
あれは……、関東の五家と、狐!?
「む?神が来るとはどういう事だ?しかし面白い。」
俺達の元へと飛来する五家を見て、国沈は興味深そうな顔をする。しかし何で狐が居るんだ?
「裕一さん!?何で戦闘が止まっているんですか……!?和解したんですか……?」
五家のうち、いつも割とぼーっとしている奴、谷だったか、そいつがそんなわけ無い事を言う。
「ふふふ、貴様らも我と戦いに来たのか?」
「そう…っ!」
そうだと言おうとした華一の声を俺は手で遮る。国沈と対峙してみて分かったが、五家の筆頭達といえど、戦えば恐らく死ぬ。
「裕一、僕と契約しろ。」
背後に居た狐が語り出す。
「契約?」
「奴には神性の強い術式しか使えない。僕と契約し、一時的にで良い、神性を身に付けろ。」
そう、落ち着いた目で狐は俺へ言う。やはり通用するのはそういう格の術式だけか。こちらとしては願ったり叶ったりである。
「それは助かる。対価は?」
「ラーメンを奢ってくれればそれで良い。」
つまりは無いに等しいと。神との契約としては破格にも程がある。俺は狐に差し伸べられた手を掴む。これで契約完了だ。
「おい、デカブツ。僕の庭をよくも荒らしてくれたな。覚悟しろよ。」
狐はそう啖呵を切ると、不敵な笑みを浮かべ、「じゃ、そういうことでよろしく。」と俺に言った。
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