第54話 続々
野球を見てきました。
【状況整理】
渦が開いて以降、宇喜田裕一はしばらくは渦直下で怪異の処理を行っていたが、状況の把握を求め渦中心部分を離れる。
当初対策部に召集された怪異家達はほぼ全員がサポート特化である故の火力不足により、渦外縁部で厳しい戦いを強いられていた。ある一グループは橋口吾郎が助太刀に訪れた事で状況が好転しつつある。
対策部の怪異家のチームは渦外縁付近に複数存在する。彼らには一刻も早い火力不足を補える攻撃系の怪異家との合流が求められる。
対策部所属の中でも移動系に優れた怪異家は現在、関東圏全域の怪異家達に協力を要請する為移動中。中には既に交渉が終わり、渦へと向かう怪異家も居る。
依然として渦は怪異を撒き散らしている。それ以上の動きは現在見られない。
* * *
「居た居た。」
視線の先に怪異家の一団を見つけた裕一は呟く。
ふと、怪異家達の更に後ろを見ると何かがかなりの早さで飛来している事に気付く。
「あ?あー。」
飛来している存在の正体が橋口吾郎である事に裕一は気付く。彼とは一度共闘している故に、裕一はこれ以上の戦力は必要ないであろう事を理解した。
「あいつが居るなら大丈夫か。」
戦場に身を置く事で、段々と己の集中力が戻ってきている事に気付く。
これなら戦闘中に爆発術式以外を使ってみても良いかもしれない。
正直渦怪異くらいであれば被弾を避ける意識さえ持っていれば脅威ではない。
無尽蔵に湧いて出て来る分、練習台にぴったりかもしれんな。
ふとそんな事を思う。
一声橋口達に声を掛けるか迷ったが、一応あまり脅威でないとはいえ油断はならない。無尽蔵に湧く海尉達の処理を優先した。
この判断が、後々裕一を苦しめる事となる。
* * *
「オラオラオラオラァ!!貧弱じゃのう!!」
孤立していた対策部怪異家達と合流した赤谷は、両腕に纏わせた炎系の術式を用い、渦怪異を驚異的なスピードで処理していく。
本来の赤谷であれば、これ程のスピードで怪異を処理する事は不可能である。しかしそこはサポートに特化した怪異家の一団。対策部怪異家の補助系術式により、赤谷は信じられない程のパワーを手にしていた。
あり得ない程の瞬間出力!早さに耐久力!!信じられない。A級の怪異ですら三十秒と保たずに溶けていく!!
赤谷は一種の全能感のような物すら感じながらにじりにじりと、渦の中心部へと歩みを進めていた。
* * *
渦発生から数時間後。対策部怪異家の呼びかけにより関東圏全域より優秀な怪異家達が続々と渦の付近へと集合しつつあった。
中でも関東圏有数の実力を誇る五家の存在感は戦場において一際目立った輝きを見せていた。
空間系術式を得意とする千与家の当主、華一。
怪異を対象とした機械工学で力を付けた工藤家の谷。
海外から渡来してきた怪異家としては新参者ではあるものの、圧倒的な戦闘センスを持つサン家のリン。
遠距離戦闘のノウハウとセンスに優れたに新妻家の若頭、マコト。
腰を据えた術式研究に裏打ちされた安定感の高さを持つ橋口家の吾郎。
彼ら五人は、対策部怪異家の補助も相まってとてつもない早さで怪異の殲滅を行う事が可能となっていた。
いつしか渦が怪異を吐き出す早さよりも殲滅速度が上回り、徐々にではあるが怪異が減っていく。
そして、事態は次のステージへと動いた。
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