第53話 召集
集まってきてます。
空の中心付近から離れるにつれ、空の裂け目の黒色が減っていく。
「くっそ、ノイズが多いな。」
屋根の上を走りつつ、他の人間の気配を探ろうと術式の波長を探ろうとするが、空の渦の影響か、波長にノイズがあるため気配を検知できない。
先程たえに持たされていた通信機を何度か使えるか試してみたが、こちらも何かしらの妨害波長が出ているのか使い物にならなかった。
「うぉっ!」
急に左からS級格が飛び出てくる。体を捻り、爆発術式を当てて事なきを得る。
通常の怪異の気配を探ることもままならなくなっているため、中々厄介である。
そんな時、数㎞先に怪異家の一団が視野に入った。
* * *
渦の直下辺りだろうか。音の出所は分からないが、大砲の轟音のような音が頻繁に聞こえてくる。
「先輩、あの音何ですか?」
「恐らく渦の発生地直下付近に居た裕一さんの戦闘音だろう。」
十人ほどのチームを組み、隊列を維持した状態で渦の下を目指す。
たえさんが召集していたメンバーはほぼ全員がサポート特化。火力も低い為、怪異一体一体を倒すのに時間がかかる。
そして脅威の存在。二、三十体に一匹程の割合でS級格の実力を持つ怪異が発見されている。
本来はバランスの整ったチームかつ、数十人でかなりの時間をかけてようやく倒す事が可能となるようなクラスの怪異である。
発見後即全力の回避を行っていることで、幸いにもまだ死者は出ていないが、一刻も早い裕一との合流が求められた。
「だんだん怪異が増えてきましたね。」
数十分が経った頃、チームの誰かが呟く。
慣れない攻撃系術式と回復を駆使しつつも、ギリギリ死人が出ない。そういうラインの所まで来ていることをチームの誰もが理解しつつあった。
直後、背後から何者かが高速で飛来してくる。
全員がこの敵だらけの空間の中、緊張状態故に身構えた。
何者かは両手を挙げ、敵意が無い事を示す。
そして「驚かせて済まない。神奈川の橋口家当主、橋口吾郎だ。助太刀に参った。」と語った。
* * *
赤谷は既に宇喜田家対策部の本部を離れ、渦の中心付近へと向かっていた。
最早無線機も念話も通用しない空間。彼が最後列に立つ意味は失われていた。
「裕一さん……。今貴方の元に関東圏全域から怪異家を召集してもらっています。どうか、持ちこたえてください。」
赤谷は呟く。
たえを含めた対策部中枢メンバーは全速力で渦中心付近を目指していた。
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