第52話 跳躍
タイトルはいつも気分で決めてます。
海代高校、職員室内。
冬弥は担任している生徒達の小テストを採点していた。既に日は沈み、窓から外を見れば綺麗な夜景が見えた。
「くぅ……。目がしょぼしょぼする……。」
冬弥は採点作業で疲れた目を癒やすように眉間に手を添える。
ふと、ガヤガヤとあちこちで作業をしていた筈の職員達の声がぱたりと止む。
「えっ?」
冬弥が閉じていた眼を開き、視線を周囲に送ると職員室からは己以外の全ての人間が消え去っていた。
そして壁に映る光の色に違和感を感じ、冬弥は窓の外に目をやる。
「何ですかこれは……。空が赤くなっている……。」
* * *
春雨寮 寮の前。
「えぇ!?何これ!!?」
突如真っ赤に染まった空を見て海代之孤翁、狐が叫ぶ。
「えっ、何!?こわ!!」
狐の背後で似たような反応を示すのは市村京子と精霊。
「何かとてつもない力を感じます。」
二人の背後へ、春雨寮の中から出て来た悪魔、シドが言う。
「ていうか私達以外誰も居なくない!?」
京子がビビりながら叫ぶ。
「確かに霊的な存在感が一定数以下の一般人の気配が軒並み消えていますね。どういう事なのでしょうか。」
シドの口調は裕一の教育によって非常に丁寧なものとなっている。
「あー。これ、あれかぁ。」
ようやく状況が飲み込めてきた狐が言う。
「あれって?」
「神様だけが使える、結界の中、みたいな物だね。見た感じ相当広い範囲に広がっているみたいだ。霊的な力の無い一般人はそもそもこの神域に入れないんだろう。」
狐と京子と精霊、そしてシドは冷や汗をかく。
そんなに広い結界を張れるような神なのであれば、それは敵だった場合危険じゃないか?と。
「とりあえず危険だし、何処か結界から出られる場所を探そうか。」
狐が言う。
「ちょっと皆!!ごめん!!待って待って待って!?何!?空が赤い!??」
春雨寮の門から一人の人間が飛び出してくる。
皆が驚き、視線を声のする方にやると、そこにはビビり散らかし、半泣きになった廉が居た。
* * *
左に着地した怪異はキック。一歩踏み出して飛んでから遠距離に爆発術式。
渦のほぼ直下。最も沢山の渦怪異が降り立つスポットのド真ん中で裕一は怪異の処理を行っていた。
裕一自身が霊力の塊とも言える程の力を持つ為、本来は術式を通してしか触れられない怪異達を素手で処理する事が可能になっている。
「きりねぇなぁ。」
際限なく降り立つ怪異に怒りを感じつつも、裕一は冷静に状況を見ていた。
現状の裕一であれば、C級から特A級までであれば素手でのワンパンが可能。S級格も爆発術式を用いれば一撃で沈める事が可能であった。
爆発術式を怪異の群れの中に叩き込む。
一撃で爆発四散していく怪異達を見て裕一は思考する。
普段見る怪異達よりも耐久力は無いが術式の出力自体は高い故に油断は出来ないと。
渦から出て来る怪異達はどれも今まで殆ど見なかったような形態の怪異達である。
羊の頭に熊の胴体かと思ったら上半身はトカゲに下半身がムカデなんていうゲテモノも居る。
「うーむ。状況が知りたいなぁ。」
裕一は悩む。ここを一度離れこの空間がどうなっているのかの把握をしたいが、一度ここを離れれば戦線は下がってしまう。
現状、裕一は市街地に人が一人も居ない状況を見てここが隔離された世界である事は理解しているが、対策部の人間達の存在を確認出来ていない。
今後の指針の為にも、一度状況を把握するべきであると裕一は思う。
「あーーばよっ!!」
裕一は怪異達から距離を取り、状況確認の為に市街地の家屋の屋根を走りだした。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価をよろしくお願いします! していただけたら狂喜乱舞します。宜しくお願いします!




