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第43話 索敵

手を繋ぎながら下校する高校生カップルを見ると心臓が痛くなります。何かしらの病気かもしれない。


 たえの招集によって結成された特殊怪異対策部。様々な家からたえの指定の元、メンバーが集められている。




 裕一の対応をひとまず置き、先程まで見ていた構成メンバーのリストチェックを続ける。




 そんな中、赤谷はある共通点に気付く。




 「得意な術式、今までの実績を見るに全員攻撃役では無いな……。」と。




 リストに載っている怪異家は裕一を除き、誰もが主に索敵、補助系術式、治癒を得意とする怪異家であった。




 赤谷は既にたえから国沈クラス、想定される強さとしては特Aから特S級までの振れ幅の怪異である可能性が高いとの情報を得ている。




 特A級以降の怪異となってくると並の怪異家一人では与える損傷よりも怪異自身の治癒力が上回る為、攻撃役は最低でも3人以上欲しいというのがセオリーであった。




 しかし裕一さんなら……と赤谷が思っていたのも束の間、彼は現状原因は知らないが爆発術式しかまともに使えないという状態。





 正直言って心許ないにも程がある。しかしたえの決定に逆らう気は起きない。赤谷は自分よりもたえのほうが多くを考えているだろうという確信めいた物があった。






 「とはいえこの補助系一辺倒の人員配置、攻撃役は爆発術式しか使えない裕一さん一人。一体どういう意図なんじゃろうか……。せめてそこは知りたかったのう。」




 そう言って赤谷はぼやく。





 * * *




 裕一招集から一晩。




 赤谷の配慮によって一晩寝かせて状態の回復を狙ったがほぼ変化は無く、裕一は馬鹿なままであった。




 「まぁ……やむを得んか。」



 

 寝室に来た赤谷は裕一の状態を見てから苦い表情で呟く。




 「裕一さん。ここの近辺で特殊な波長を持つ怪異を探してくれませんか。」



 赤谷は言う。返答は無い。寝ぼけたような表情のまま裕一は寝室であぐらを掻いている。



 「それじゃ聞こえとらんよ。」



 背後から声がする。たえであった。




 「裕一!!特殊な波長を出す怪異を探せ!!」




 まるで雷が落ちたかと錯覚する程の迫力、空間が震えるような声量でたえは裕一に命令をする。




 瞬間、それまで寝ぼけていたような表情をしたままの裕一の目がカッと開き飛び起きる。そのまま裕一は「了解!」と叫びどこかへと走り抜けていった。




 シチュエーション的にはボケた夫に活を入れる嫁のそれであったが、夫の姿は十代、嫁の声量はまるで雷と色々常識離れした光景であった。





 赤谷は憧れていた裕一の新たな姿を知り、複雑な心境となる。





 * * *



 裕一は東京の町中をうろうろと歩く。



 たえに一度は目を覚まさせられた裕一ではあるが、結局廉ロスという原因が解消されていない故に、時間が経つにつれ裕一の知能は下がっていった。



 しかしギリギリ正気と言語野は保っているようで幸運にも道行く一般人に通報はされていない。





 裕一は東京の町をひたすら歩く。持ち前のフィジカルの高さ故に、競歩かと思えるほどの速度ではあるが、それでも広大な関東圏全域はカバー出来ない。




 裕一お得意の長距離索敵等の高等テクニ

ックもこの知能では使えない。そもそも今の裕一はその術式の存在すら思い出せるか怪しい。


 裕一は目視で怪異を探すという、普段からは考えられない最悪の効率を誇る探し方で怪異を探していた。

 




 「……?」




 裕一は違和感を感じる。今まで生きてきた数十年間の経験から来る違和感であった。




 違和感の正体を探して裕一はキョロキョロと周囲を見る。そしてその違和感の正体を見つける。




 「あれ?」





 裕一の視線の先に映っていた物、それは亜空間へと繋がる穴。赤黒く裂けた空であった。





 




 




 




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