第3話 入浴
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「ここ、幽霊とか出るのかなぁ…?」
荷ほどきをしながら冬弥の説明でビビり散らかしていた廉は俺にそう聞いてきた。
「さぁ…わからんなぁ」
すっとぼけておく。
この至福の時間を邪魔するとは許せん。化け狐め、一刻も早く駆除してやる。
「もう時間も遅いし、荷ほどきより先に風呂に入ってしまうか。」
春雨寮には大浴場が備えついているが、流石に2人だけの為に水を貯めるのはもったいない、という事で近くの銭湯へと行く事になった。
銭湯へは歩いて5 分程だった。
この銭湯も海代グループが運営しているようだ。
銭湯に入ると海代高校の生徒と思われる生徒が沢山居た。
皆リラックスしながら休憩スペースのような場所で談笑している。
脱衣所で衣服を脱ぐ。
若返り前までは古傷の絶えない体だったがそれも全て綺麗に消えている。良かった。
体を洗い終え、廉と共に露天風呂へと向かう。
海代高校の生徒だろう先客が3人程居た。
浴槽に浸かる。
3人の内1人が話しかけてきた。
「見ない顔だな。新入生?」
にこにこしながら話しかけてくる。
「そうです。先輩ですか?」
答える。
「うん。僕は2年の関口。こっちに居るのが山本。でこっちが佐々木。よろしくね。」
「よろしくお願いします。俺は宇喜田。横のが」
目線をやる。
「佐藤廉です、よろしくお願いします。」
「うんうん。よろしくね。」
にこにことしている。
後ろの山本、佐々木と紹介された2人は浴槽に浸かりながらぼーっとしている。
「2人はどこから来ているの?」
「俺達は今春雨寮で暮らす予定です。」
「えっ」
春雨寮の名前を出した途端、上級生達の顔が引き攣る。
「悪い事は言わないから、早めに転寮した方が良いよ。」
「何でですか?」
状況は既に把握しているが、上級生達の中で共有されている春雨寮のイメージを知るために話を掘り下げる。
「…出るんだ。これが。」
関口が手をぷらぷらとさせて幽霊を表現する。
「春雨寮に元々居た人の殆どが見ているんだ。夜中、廊下を軋ませながら歩くお化けを。」
横で廉が半泣きになりながら「帰りたい…。」と呟いた。
おかしいな。
感知した限りじゃ幽霊の気配はおろか、幻視や召喚系統の術も無かったはずだがな。
見落としたかな。
関口の横で黙っていた山本と紹介された上級生が口を開く。
「俺は元々春雨寮に居た。でも去年の12月頃からかな、最初は一人のルームメイトが〝なにかが居るんじゃないか〟って言い出して。そいつ寺の坊主だから気味が悪くって。」
12月頃か、4ヶ月ほど前になる。
「それからだんだんと〝何かが居る〟って言い出す奴が増えてきて、俺もそのうち誰も居ないはずの場所とかに気配を感じるようになって。」
「3月頃にはほぼ全員が幽霊の姿を一度は見ているような状況になったんだ。俺も見たぞ。2mはある身長に細身の体、和服を着ていてさ。顔の中心に大きな穴が開いているんだ。」
横の廉はぷるぷる震えている。
可愛いなぁ。
「結局皆耐えられなくて春雨寮から逃げ出したよ。一時は春雨寮の一時閉鎖も話題になったけど校長が閉める事を拒んでさ。なんでだろうな。」
廉が希望していたから閉めるに閉められなかったのだろうかとふと思う。
意図せずプレッシャーを与えるようなことになってしまって校長には悪い事をしたなぁ。
「そういえば一年生は何人春雨寮に入った?」
関口が聞く。
「俺達2人だけです。」
「あぁ…。気の毒に……。」
先輩3人組は心底気の毒そうな顔をする。
そんな事無いんですよ。孫とのランデブーだから。
「でもまぁ、1ヶ月住めば転寮願い出せるから、それまで頑張って生き延びてね…。」
「色々教えて下さりありがとうございます。そろそろのぼせそうなので出ますね。」
「あぁ、それじゃ僕らも出ようかな。」
廉を連れ先輩3人組と共に露天風呂から出た。
その後先輩3人組とは休憩スペースでコーヒー牛乳を飲みながら談笑した。
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