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第37話 不具合

不穏?


 東京都某所、深夜。




 「なーんか、いかにも居そうって感じですよね。」



 「そうだな。気引き締めて行けよ。」




 探査に引っかかった怪異の可能性のある物を確認しに、先輩後輩といった雰囲気を持つ二人組は夜道を歩く。



 基本的にどちらかに何かあってもリカバリーが利くよう、怪異家の行動は複数人が原則である。



 暗く細い路地裏。東京都内といえど、繁華街から離れたこの場所に届く光は殆ど無く、辛うじて外灯の明かりが点々と灯されているのみであった。




 「うーん。反応はあるんだけどなぁ。」



 先輩と思われる怪異家は付近の怪異の反応を示すよう作られた板状のレーダーを見ながら呟く。



 先程からずっとレーダーは怪異の存在を伝えるアラートを鳴らしているが、肝心の怪異が見当たらない。



 「壊れたんじゃないですか?それ大分古い道具ですよね。」



 後輩も様々な波長に己の神経を合わせ、怪異を探すが、存在を認識できない。



 「かもなぁ。とりあえず居なかったって上に報告しに行くか。」




 そう言って二人は歩いて本拠地へと戻って行く。





 * * *



埼玉県某所、深夜。



 「どう?居ない?」



 「見当たらないねー。探査機の不具合じゃない?」



 男女二人組の怪異家は探査機の示す反応を探して市街地を歩き回る。



 「まぁ、異常なしって事で?後でこの探査機修理に出しとこ?」



 女の怪異家が面倒くさそうに言う。



 「それ宇喜田家製の探査機でしょ?相当丈夫な筈なんだけどなぁ。」



 男の怪異家は納得行かない様子であるが、実際怪異は見当たらない訳なので何も言えない。



 この二人組も暫しの探査の後、拠点へと帰っていった。





 * * *



 宇喜田家にて。



 「松、そんな顔をしてどうした。」


 たえは書類やネジ、何かの機械のパーツといった物が散乱する部屋に入りながら言う。


 「いやぁ……。少々不可思議な事が起きてまして。」



 松と呼ばれた部屋の主、40代半ばといった年頃に見えるスキンヘッドの男は怪異を対象とした道具を作ることに長けた人間であった。宇喜田家で作られる道具の多くは彼が手掛けている。




 「不可思議な事?」



 「えぇ、怪異の探査機を卸している怪異家から『誤反応を起こす。』と修理の願いが複数件来たんですよね。」



 「それで?」



 たえは話を促す。




 「そんなに壊れる訳がないとは思ったんですが、一応回収して検証してみたんですよ。どれもやっぱり壊れていないんですよね。」




 修理願いで宇喜田家に送られてきた探査機を触りながら松は言う。




 「でも、一個不思議な事があって。どの探査機も解析してみたら同じ波長の怪異に反応していたんですよね。それも並の怪異家じゃ認識できないような波長の……、精霊とか、その辺りに近いやつです。」




 その話を聞き、たえの顔が少し曇る。



 「それ、何処の家から送られてきてるんだい?」



 「ええと……、あれ?関東圏に集中していますね……。」




 たえは暫し思案する。そして、「ちょっと出掛けてくるよ。」そう言ってたえは転移術式を発動させ、ある場所へと向かう。

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