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第34話 解析

雨が多くなってきましたね。


 たえは懐から四つ折りにした三枚のメモ用紙を取り出す。




 「それは?」



 「そこの元怨霊の尋問をした時の資料だ。性質の調査の為に色々聞き取りを行わせてみたのさ。怪異自身の自我も色々なのが混ざってる訳だったから厄介だったよ。」



 たえはぼやく。聞くと家の者がまる一日中、交代交代で怨霊の対処に当たったらしい。このメモはその時怨霊が語った内容を纏めた物だという。




 「とりあえず読んでみておくれ。」



 たえはそう言うと俺にメモを手渡した。どれどれ?




 あの男は許さない、遺産を寄こせ、浮気者、殺してやる、返済できない……。



 メモの中には様々なジャンルの負の言葉が書いてあった。様々な人間の怨念が混ぜ込まれただけあって、中々内容がとっちらかっている。




 ふと、メモの中に気になる単語が混ざっていた。




 「吸血鬼。」



 両面三枚からなるこのメモの中に、この吸血鬼、という単語が複数回に渡って語られている。




 「吸血鬼、ねぇ。確か日本のはとうの昔に絶滅しているんだろう?」



 「日本にはもう吸血鬼は居ないね。」



 ありとあらゆる恨みの言葉の中に何度も混ざる〝吸血鬼〟という単語。これはなんか理由があるな。



 「とりあえず、こいつが吸血鬼に接触した可能性があるな。それ周りの事は聞けなかったのか?」




 「残念ながらこいつ自身は何も覚えていなかったよ。残念ながら。でも体に残った痕跡は読み取れた。」




 たえはそう言うと元怨霊の背中を優しく撫でる。そして部屋の外で待機していた家の物に指示を出し、片手に収まるほどの大きさの子瓶を持ってこさせる。




 「これは?」




 「なんと言えば良いか。制御装置、命令を聞かせる為の物だね。この特Aの体から発見した。」



 小瓶の中にはビー玉程の大きさの肉の塊が入っていた。



 「これをアンテナにして命令が出されていたようだね。といっても明確な命令じゃなくって、霊力のある物を取り込み、体を強くしろという行動原理がすり込まれていただけみたいだけどね。」



 そう言ってたえは小瓶を振り、カラカラと音を立てさせる。




 「でもまぁ、とりあえず人格は落ち着かせて、命令装置も解除した。実力も落ちずに特A級だ。処理はばっちりだね。本来こういうのは捕まえてきた人間の物、という事になっているのだが……要るかい?」





 * * *



 某県某所、町外れの洋館。



 館の主リーザ・フェリナは日の光の当たる窓際の席で気分良く紅茶を飲みながら部下と思わしき者に声を掛ける。



 「なぁ、リペよ。そろそろあの男、宇喜田裕一を仕留めようと思うのだがどうだろうか。」



 リペと呼ばれた白髪の青年は頭を垂れながら答える。



 「リーザ様のお好きな時に仕掛けて良いかと。私はリーザ様の命に全力で従うまでです。」



 「そうかそうか。お前は従順で良いのぉ。」




 リーザは笑みを浮かべながら羽をパタパタ動かす。




 「そろそろあの怨霊も力を蓄えたころじゃろう。どれ、奴をけしかけてみるとするか。」



 「リーザ様、怨霊とは?」



 リペが問う。



 「こちらの国に来たときに種を蒔いておいたのじゃ。人々の怨念を喰らい、その怨念を増幅させ己の力とする悪霊じゃ。もう蒔いてから30年程か?あやつを動かせば誰一人として刃向かう事も出来ないまま死を迎えるだろうて。」



 リーザはそう言うと嬉しくて堪らないといった笑みを浮かべ、紅茶のおかわりを取りに台所へ向かった。





 リーザはまだ、己の用意した怨霊が既に裕一達の手によって難無く無害化されてしまった事を知らない。






 



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