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第2話 入寮

Twitter始めました。

@esevn20です。

フォローして頂けると超喜びます。

よろしくお願いします。



 「俺がこの高校に来た目的は……。」





冬弥と校長がごくりとつばを飲む。





「俺の孫、佐藤 廉の護衛だ。」





 「あいつはこの先順当に行けば宇喜田家の当主。少し知恵のある物の怪ならあいつが力を付ける前になんとかして無力化しようと考えるだろう。」






宇喜田家は古来より物の怪を討伐し続けてきた一家だ。

物の怪の恨みを買うことは多い。





 「そこで、あいつが高校を卒業するまでの間正体を隠しながらあいつの護衛を行う。」






 「人一人の護衛にしては過剰戦力過ぎませんか…」

冬弥がぼそっと呟く。




無視して話を続ける。






 「しかし、あいつも家柄を抜きにしたらただの少年だ。あいつには普通の高校生らしい生活を送ってもらいたい。よって俺の正体を明らかにする事は許さん。」





担任を冬弥に指定した理由。

身内を担任にする事で動き回りやすくする為だ。





校長が口を開く。

 「わかりました。冬弥君以外の教師にはこの事は…?」




 「伝えるな。伝える必要が無い。」





 「そうですか、分かりました。他には何かありますか?」





「いや、今の所は無い。」





 「分かりました。何かあれば遠慮無く我々までお伝え下さい。出来るだけのサポートは致します。」




 「助かる。」





こうして校長、冬弥、俺の三者面談は幕を閉じた。








校長達には〝護衛〟と説明したが実の所そんな物は建前だ。




俺の真の目的、それは孫との青春キャッキャウフフライフだ。





俺が忙しくしている間にいつの間にか生まれたばかりの赤ちゃんだった廉は高校一年生に。




まともに話した事すら無いまま孫は高校生に。失った時は大きかった。






しかし孫と共に高校に通うためだけに様々な術を習得し若返る事に成功した。





そう、これは失った孫とのハッピーライフを取り戻す機会。






3年間孫と共にキラッキラの青春を過ごすのだ。





 「絶対に誰にも邪魔はさせない……!」





そう俺は決意した。






side廉




入学式が終わった。




入学式後、自宅から通う生徒はその場で解散。

寮へと入寮する生徒はその案内となった。






荷物は既に業者によって運び込まれているらしい。





廉は入寮予定なので先導していく教師について行く事となった。





現在海代高校には寮棟が3つある。

どこの寮に住みたいか希望を出す事が出来るが、希望者多数の場合は抽選となる。






廉は校舎から最も近い春雨寮を希望した。





教師の指示に従って学校HPで自分の割り振られた寮を確認する。





廉は春雨寮に割り振られていた。

希望が通ったようだ。





ふと背後に気配を感じる。




 「お前も春雨寮なのか?よろしくな。」





と話しかけられた。




 「あっ!うん!よろしくね!!」




振り返った先に居たのは高身長イケメンだった。




声が通るというか、何かがにじみ出ているような、なんだか変なプレッシャーのある人だなぁという印象を受ける。




 「お前、名前は?」




 「あっ、佐藤廉です。」




「良いねぇ、俺は宇喜田裕一。よろしく~。タメ口で良いよ。」



どこに良さを感じたかはピンと来ないけど、優しそうな人だ。良かった。




後で聞いたらクラスも一緒だったらしい。仲良くなれると良いなぁ。




僕たちを春雨寮に案内してくれたのは丁度僕らの担任になった山田冬弥先生だ。





春雨寮の寮棟は木造である。

日が沈みかけている為、寮棟の中は暖色系の蛍光灯のようなもので照らされていた。




「雰囲気あって良いねぇ。気に入ったなぁ。」




後ろで宇喜田君がにこにこしている。




「そういえば先生、僕ら以外の生徒はどこですか?」




すると山田先生は苦い顔をする。




 「今年、春雨寮の希望者は君たちだけなんだ。他の寮であぶれた子も居なくてね。何でか分からないけど前まで居た2,3年生の人達も転寮希望を出して他の寮に行っちゃって…。」




 「それって何か出たりするんですか……!?」




早速怖い。帰りたいなぁ。





side裕一


廉と共に春雨寮の寮棟に入ると直ぐに何かの気配を感じる。




これは…動物。




何だ?狐?狸…?




寮棟全体に術式が張り巡らされているな。

敵意は感じない。術式の内容もこけおどしのイタズラ染みた物。




夜中に誰かの声が聞こえたり、物の位置が勝手に移動するようになるような物だ。




多分狐だな。




そんな問題も無いだろ。




冬弥に俺達以外は現在寮に居ないと聞いた廉はビビり出している。

かわいい。





冬弥が耳打ちしてくる。

「裕一さん、何かしました??」





「何かって?」





「2,3年生全員が心霊的な物を原因とした転寮願いに加えて1年生はあなた達以外希望者無し。これで何かしてないと思う方がおかしいでしょう…。護衛の邪魔とか言って廉さん以外の人をどかしたんですか?」





「何もしていない。そもそも気付かんか?」





「〝何かある〟というのは理解しています。しかし私には感知できない。こんなに知覚が難しい術を貼るなんて芸当が出来るのは少なくとも私が知る限りではあなただけです。」





こんな芸当なんてなぁ…。

多分化け狐辺りが適当に組んだ術式だぞ?




冬弥も教師家業を長く続けたせいで勘が鈍ったらしい。

しょうがないなぁ。





「棟全体にイタズラみたいな仕掛けの術が貼られている。こんなもんなら、まぁ近いうちにパパッと駆除してやれる。」




冬弥は目を丸くする。

「このクオリティの術を発見どころかメカニズムの看破まで。とことん非常識ですね…。」




冬弥の持ち上げ具合にそんな事は無いんじゃない?と思う。気分は良いけど。





多分ポテンシャル的には冬弥でも全然このレベルなら貼れるはずだ。





非常識ってのも不本意だ。

この手の事に関しては誰にも負ける気はしないけど、良い勝負が出来るくらいの奴なら何人か居るはず。





冬弥はもうジト目でこっちを見てくるくらいしかしない。

なんだお前。




そんなこんなで冬弥に設備の説明を受け、孫と仲良く荷ほどきを始めるのだった。


幸せ。










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