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第20話 対峙

頑張ります。


 side冬弥



さして広くない、中心部に四角形の足の低いテーブルが置かれた客室内に三人の男が顔を合わせる。




宇喜田家現当主、宇喜田裕一。

橋口家現当主、橋口吾郎。




大物二人が顔を合わせる緊張感漂う空間に同席しているという事実に胃がキリキリと痛む。





先に口を開いたのは裕一さんだった。





 「突然の訪問失礼した。出来れば早急に確認したかった事があった故出向いた。市村京子との関係を教えて頂きたい。」





市村京子の名を聞いた橋口の顔が曇る。




 「市村京子は、私の孫です。」



怪異家は同業や敵対存在から身を隠す為、偽名を使う事が多い。

家が割れれば使っている術式の傾向など対策を取られやすいからだ。


まぁ一部対策を取られようと何だろうと関係なくゴリ押しで相手を捻じ伏せる事が出来る自信から本名を常に名乗る人も居るんだけど……。




裕一さん、貴方の事です。




現代化の波及を受けて、親や家の者から教えられず、偽名を使っているという事を知らぬまま大人になりそのまま一般人として生きていく怪異家出身の者も最近は増えてきたと聞く。




確か現状裕一さんの孫、佐藤廉君も偽名である。見た感じ廉君も自分が偽名であるという事は知らないみたいだ。




今回の市村京子、彼女も恐らく橋口家を名乗っていない以上偽名。

本人は偽名だという事を知っているのだろうか。




 「そうか。」





 「京子が……何か無礼を?」




 「いや、まぁ無礼は無礼だったがあれは仕方ない。聞きたいのは市村京子本人についてだ。訳あって奴相手に術式を使う機会があったのだが、非常に高い術式抵抗力でブロックされた。あそこまで素で高い抵抗力を持つ人間は中々居ない。何をした?」




裕一さんは素で煽ってるのだろうか。めちゃくちゃ正直に相手の孫相手に術式を使った事をポロリした。






貴方それ廉さんが誰かにやられたりしたらブチギレて地の果てまで相手を追いかけますよね……。





案の定橋口家現当主さんはちょっと青筋を立てている。





万が一ここで戦闘が始まりなんかした日には僕が巻き添えを食らって即死する。勘弁してくれ。



あと裕一さん、聞くべきは何で市村さんは学校を無断で休んだのですか?です。途中から全部裕一さんの興味の質問になってますよ。




なんてそんな事を言える訳もなく僕は空気に徹する。認識された瞬間僕なら死ねる。





 「高い術式抵抗力……。京子にそんな力が備わっていたとは初耳です……。良ければ本人を呼んできましょうか?」




橋口吾郎さんは顔を引き攣らせながらもキレ対応はしない。さらに市村さん本人を呼び出すカードまで切った。大人だな。

裕一さんなら間違いなく暴れ出している。これが背負う物のある人間の背中なのだなと思った。




 「おぉ、助かる。」



裕一さんはノータイムで返事をする。裕一さん、朝だからってもしかして眠くなってきてます?




橋口吾郎さんが襖の奥の人に声を掛けた後、程なくして襖が開く。




 「冬弥先生……、何で……?」




奥から出て来た市村さんは戸惑いの声を見せる。





あれ?これ僕失踪直後に失踪先特定して超速で凸ってきたヤバい教師にされる流れな気がするな。勘弁してくれ。






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