第18話 失踪
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「裕一さん!!裕一さん!!おはようございます!!」
朝から何者かがうるさい。
「んぁ?誰だてめぇ。」
寝ぼけ眼で声のする方を見やると、枕元で紫色の肌の筋肉隆々の青年が騒いでいる。
「僕です!!シドです!!」
「はぁ?」
起き上がり騒ぐ青年を見やると確かに昨日ボコボコにした雑魚悪魔シドの面影がある。
何より向かいのベッドで寝ている廉がこれ程の声量で喋っていても起きていないのはこいつが一般人には認識されない霊的存在だからだろう。
んー。けどなんか昨日と見た目が変わってるよな。シドはもっと貧弱そうな見た目をしていた筈なのだが。
「昨日頂いた髪の毛、吸収したらもの凄くって!!一気に体の再構築が始まって終わってみたらびっくり、めちゃくちゃ強くなってたんです!!ありがとうございます!!」
はぁ?
えーーと、ちょっと待て。
体の再構築?髪の毛を吸収?
確かに霊的存在は霊的な力のある物を多く取り込むと強くなっていくが……。
俺の髪の毛一本でここまで?すげぇな。吸収性とかが良かったのかな。
今まで怪異との契約に自分の肉体を使った事は無かったから知らなかった。
「私に第二の人生を与えてくださりありがとうございます!!これからは誠心誠意貴方様に尽くします!!」
シドは強くなれた事が嬉しくてしょうが無いのかもうウッキウキである。
「あーー。良かったねぇ。とりあえずお前俺と廉が学校行ってる間に春雨寮の掃除してろ。」
適当にあしらい雑用を押し付ける。良いのだ、契約の範囲内だし。
ぼーっとしていると突然、異空間の穴が開き中から冬弥が出てくる。
「あーーっ!!裕一さん!!昨日のあの子どうしたんですか!?」
え?昨日のあの子……?
あぁ、市村京子の事か。
「あいつなら校舎の前に置いておいたぞ。」
因みに俺も冬弥も認識阻害術式を使っている為、廉は気付かない。
シドとの戦闘の後、入口前で気絶し続ける市村を置いて行くのも申し訳ない気がし、海代高校校舎前に担いで置いてきたのだ。
「彼女、昨日の夜から寮に帰っていないってんですよ!!何か知りませんか!!?」
「どっか夜遊びにでも行ったんじゃないの?」
「裕一さん何言ってんすか!!昭和じゃないんすから!時代が違うんですよ!!あー!まずい……。」
冬弥はめちゃくちゃに焦っている。
「裕一さん!!お願いします!ちょっと京子さん探すの手伝って下さい!!」
がぁ……。授業行きてぇなぁ。
しかしまぁ、昨日校舎前なんていう適当な位置に放置してきた手前、俺の責任もちょびっと感じる。探すか……。
「……!?え!?裕一さん!!横に居るそれ何ですか!??」
ここでようやく冬弥はシドの存在に気付いたらしい。
「あー、昨日なんか捕まえた。」
「えぇ……。それ何の怪異ですか……?ぱっと見S級前半くらいありそうなのですが……。」
「しらん。」
説明が面倒くさいので適当に受け流す。
「ええと、じゃあ探索術式を広範囲にばらまいて探すわ。」
「今だけはその訳の分からないバケモンみたいな術式出力に感謝します。」
冬弥は既に疲れ切っているのか、息を切らしながら言う。
「お、見つけたぞ。」
「早くないですか!?!?」
探索術式の反応で見た所、ここは……、神奈川県の鎌倉市か。
「鎌倉市といえば……、なんか同業が居たよな。」
冬弥に確認する。
「ええと、橋口家が居ますね。」
市村京子のあの常人とは思えない術式耐性、橋口家と何か関係があるかもしれんな。
「よし、探すだけのつもりだったが俺も付いていこう。市村京子の元へ向かうぞ。」
「っ!はい!!」
そうして俺は転移術式を発動した。
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