昼下がり唐突な電話
伊勢じい宅にて。
真緒は寝転がりながらテレビを観ており、伊勢じいはお茶をすすっている。
ソプラは膝の上でたま吉を撫でており、テバサキ、ミノは庭で日向ぼっこをしている。
晴れた昼下がりとても穏やかな時間。
その穏やかな時間は騒音と共に消え去る。
ジリリリリリリリリリ!!と、鳴り響く音。
その音の主は昭和に使われていたレトロな電話で決して鳴るはずのない電話。
だが、今日はその電話がうるさく鳴っている。
その音が鳴ったことでその場にいた者たちの表情が強ばる。
そして受話器をとる。
「魔王様ね?」
若い女の声。
「やめろ!!お前のような得体の知れない奴に様付けされると馬鹿にされてるみたいでイライラする。」
「あら?随分と連れないわね。」
「お前の情報は正確すぎて胡散臭いんじゃ。クラミツハのこともそうじゃ。タイミングが良すぎるしの。」
「正確な情報は嫌いかしら?」
「無駄話が多いってことはすぐにどうこうなる話ではな無いってことでいいかの?」
「ええ。今回は少し時間に余裕があるわ。
そちらの日付で一週間後、時間は十九時頃ね。
山道と広場の繋がっている所ね。」
「何が起こる?」
「どうやら彼らはとうとう『そっち』に手を出すことに決めたようでね、敵が送られて来るわ。」
「何故そこまで分かる?お前が糸を引いてるということは?」
「私が黒幕だとしたらあなたたちに止めさせるのほど無駄な労力は無いわ。」
「どうだかの?我がここに来た時といいお前は何もかも見透かしてるからの。」
「まぁ、信じる信じないかは貴方たちで決めれば良いわ。まぁ今回は先兵みたいだけど結構厄介なのが行くと思うから『彼』にも出てもらったほうがいいんじゃないのかしら。」
「分かった。このまま喋ってても埒が明かん。対処はする。」
「あら、聞き分け良い人は好きよ。」
「その代わり、次連絡する時までに『こっち側』のメンバーへの有益な情報をよこせ!!」
普段はひょうひょうとしている真緒だが次第に口調に怒りが、受話器を持つ手には力が入る。
「ええ。いい報告が出来るように私も頑張るわ。じゃあね。」
そこで電話は切れる。
「クソ!!女狐が!!」
怒りに身を任せ受話器を乱暴に置く。置くというよりも投げつける感じだった。
その真緒のことを心配そうに全員が見守っている。
「スマン。」
その一言の後にはすぐに怒りを消し、
「一週間後、時間は十九時、場所は山道の広場じゃ。『あっち側』がとうとう『こっち側』に興味を持った。先兵が攻めてくるらしい。人数はわからんが少数精鋭で行く。ミツハも連れて行く。」
「「了解」」
一同が返事を返す。