プロローグ6
城の門にて男二人が話している。
「なぁ。ホントに来んのか?そのサムライとか言う異国の剣士は。」
「俺が知るかよ。」
「非番の奴も全員叩き起こされたらしいぜ。」
「こんな配置戦時中でもやったことないぜ。」
「うー、寒い。」
「なぁそんなことよりも見たか。あの領主様の所に連れてこられた女。」
「見てない。お前いつ見たんだ?」
「黒騎士様を領主様のもとに送る際にちょっとな。」
「どんな女だった?」
「異国のドレス着ててな、雪のように白い肌で黒髪だったぜ。かなり美人だった。」
「マジかよ。」
「あの美人で娼婦だってよ。俺達も金さえ出せばありつけるんかな?」
「無理だろ。だってあの領主様だぜ。」
「でもよ、おこぼれぐらいはあってもいいだろう?」
そんな下衆な話をしていると右の門番の男の後ろで白く揺らめく物があるのを左の門番が気づく。
「おい。なんか後ろで白い物がゆらゆらとしてたぞ。」
右の門番が槍を構え後ろを振り返る。
「何もないじゃないか。脅かせやがって。」
と、言いながら先程まで話していた相棒の方に向き直るとその相棒は大量の血しぶきを上げながら男のもとに倒れてきた。
この短い時間に何が起こったか分からず、だが現実を目の当たりにした男は悲鳴をあげようとする。
だが声が出ない。
言葉の代わりにわずかなうめき声とともに大量の血が口の中から流れてくる。
男はそこで初めて理解した。
自分の喉元に、背後から刃物が刺さっていることを。
それを理解した瞬間に男の体から熱が消えていく。
体が重くなり手足も動かない。
「すまない。今日、お前達を供養する時間はない。恨んでくれて構わない。」
意識が消える間際に聞いた声。
男か女かも分からない少し幼さのある声。
「あと、最後に言っとくが、あまり人の女を物のように言うのはやめてもらいたいね。」
そう一言伝えると、男の体は音を立てて崩れ落ちる。
だがすでに『彼』はおらず、無造作に屍が2つ転がっていた。