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ケガレナキアイ  作者: 秋栗実
13/17

VS機械人形メイド



 「お前は、〈祝福(ギフト)発現者(ホルダー)〉で間違い無さそうじゃの。」


 「祝福(ギフト)のことまで知られてんのかよ。まぁいいや。」


 「ソウヤ様。あまりこちらの情報は伝えないほうが」


 ここで騎兵(ゴーレム)の男が口を開く。


 「うるせぇんだよ!!人形の癖に俺に指図するんじゃねぇ!!」


 そう言われると騎兵(ゴーレム)は口を閉ざす。


 「ちっ、騎兵(ゴーレム)になってもうぜぇ奴。

 あ~、どこまで話したか、そうそう、俺の祝福(ギフト)は『創造(トリス)(メギストス)』って言ってな生き物以外ならば武器でも何でも作れる力さ。

 作るには材料と、ある程度のイメージは必要だがな。

 要するに、こいつらは俺が作った兵隊ってことさ。」


 (……自分の能力をペラペラと………)

 

 「お主、生き物は作れんと言っておったがお前のその兵隊たちには魂がある。それはどういうことだ?」


 「そんなことも分かるのかよ。だが、教えてやんねぇ。せービスはここまでだ。

 今度はこっちが聞く番だぜ。お前らは何もんだ?」


 「さてのぅ?まぁ強いて言うなら、お前たちのせいでだいぶ迷惑をしている者たちとでも言っておこうかの。」


「は?なんだそりゃ……」


 言い終わる前にソウヤと呼ばれた者にミツハが斬りかかる。だが、メイドの一人がミツハの刀を受け、ソウヤを守る。そのスキにもう一人のメイドが左から蹴りを、金髪の男が右から拳でミツハを狙う。見事なコンビネーションでミツハは顔面に拳、脇腹に蹴りをもらう。


 「ふぎゃ」と、思い切り顔面に一発入りながら吹き飛ばされ後ろに転げる。


 「なっさけないのぉ。」


 足元に吹き飛ばされて来たミツハにも相手にも聞こえるように真緒は言う。


 「鼻が痛いです。」


 「(で、食らってどうじゃった?)」


 今度は心言で話しかけてくる。


 「(あのメイド、刀で斬られても服に傷すらついてないですね。繊維も特注っぽいです。弾力はありましたから外側は人間みたいな皮膚構造だと思いますけど中身はめちゃくちゃ機械ですね。)」


 「(なるほど。なるべく無傷で生け捕りにすることは出来るか?)」


 「(なかなか難しいですね。)」


 「(難しいということは出来るということで良いかの?)」


 「(……)」


 心言で話していると今度は無数の銃弾が飛んでくる。

 それを、真緒が手から出した黒炎で燃やし尽くす。


 「(どうなんじゃ?まぁさぁかぁ〜天下の白竜のクラミツハさんが出来ないなんて言わんじゃろな?)」


 心言の中でだいぶ煽られている。


 「(……ソンナコトナイヨ。デキルヨ)」


 「(じゃあ決まりじゃ。なんせ相手は数が多い一人ずつでいいから確実に動きを止めるかの。誰から潰すかは我が指示を出す。三対一を六回的確にな。)」


 「(かしこまりました。)」


 「(分かりました。)」


 重い腰を上げ鼻をさすりながら刀を構え直す。


 先に動いたのは向こうだ。メイドAが銃を乱射し、メイドBがメイスを振りかざし接近してくる。

 銃弾はソプラが〈鳴音(ハウリング)〉という音波で弾き落とし、降りかかるメイスは避け、地面にめり込む。

 すぐさまメイスを足で押さえ、メイドBの横に剣撃(峰打ち)を叩き込む。メイドBは吹き飛ばされるがその影からメイドCが巨大な剣を振りかぶってくる。

 剣撃がミツハに当たる前に真緒がメイドCを蹴り飛ばす。


 「(真緒さん接近戦も出来るんじゃん。)」


 「(出来ないとは一言も言ってないじゃろ。)」


 どうやらメイドDとメイドEと騎兵(ゴーレム)はとりあえず様子を見ながらソウヤを守る戦法にしたようだ。


 バランスを崩したメイドCミツハは追撃する。

 メイドCが体制を立て直し正面を見ようと顔を上げた時にはもうすでに剣撃はメイドCの頭上にあった。


 上段からの渾身の一振りがメイドCの脳天にヒットし、鈍い音と共に地面にめり込む。


 「よし!!まずは一人。」


 一息つく暇も無く、無数の銃弾が撃たれる中、ソプラが音波で弾き落とす。


 「(ちょっとそこの二人足止めお願いします。)」


 と、ミツハは言うと自分の髪の毛を伸ばす。伸びた髪は白い本来の色となっておりそれで倒れているメイドCを簀巻きにする。

 鋼以上の強度をもつその髪で簀巻きにされた彼女は到底身動きが取れなくなっていた。最も、脳天に渾身の一撃をもらっている以上、いくら機械でも直ぐには復活しそうにはなかった。


 「(よし、残り六人じゃの。)」


 連携はとれているが動きはだいぶ単調で一か所を崩せばなんとか行けそうだった。


 「クソが!!」


 ソウヤはだいぶイライラしていた。その気持ちを察してか残りのメイドも出てくる。

 四体で一斉に攻撃しようとした時だった。空から轟音が響き落雷が降り注ぐ。その落雷は四体のメイドにめがけて落ちる。


 「ふむ、これで残り二人じゃな。」


 黒焦げになって倒れているメイドたちを見て真緒は一言言う。


 「嘘だ、俺が作った機械人形(オートマタ)が……」


 ソウヤは震えながら言う。


 「そんな技あるなら最初から使ってくださいよ。」


 「奥の手は取っておくものじゃよ。かなりセーブしたがまぁまぁの威力じゃろ?」


 と言いながら魔術でメイドたちを拘束する。


 「その拘束するやつも使えるなら最初に使ってもらえませんか?」


 「奥の手は取っておくものじゃよ。」


 「これがデジャブってやつですかね。」



 そんな会話をしている中、騎兵(ゴーレム)が右手にメイス、左手に巨大な剣を両手で振りながら勢いよく迫ってくる。

 メイスの攻撃を避け、刀と剣の鍔迫り合いをしながら、


 「真緒さん!!さっきのもう一発お願いします。」


 と、叫ぶが


 「すまんの、今魔術で拘束してるから動けんのじゃ。」


 と言いながら、いつの間にかソプラに抱きかかえられながら捉えたメイドと共に後方に退避していた。

 そして、


 「後は、頼んだ」


 という一言と舌を出しながらウインクをした。


 これが俗に言う「てへぺろ」と言うやつであった。


 

 


 

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