邂逅。だがなかなか戦闘にならず
そんな話が終わると、風が吹き始め、木々がざわめき始める。彼らもそれに気付き会話をやめる。
広場が光り始め見たことも無い文字で作られた円形の陣が形成されていく。
完全に陣が出来上がると一層強い光と轟音が鳴り響く。光が止み、土煙が立ち込める余波が帯電している。
土煙が晴れると陣の上に人影が複数立っていた。
余波が残っているうちに人数を確認する。男が二人、女が五人。そして男一人は黒髪でもう一人は金髪というのは確認できる。
女五人はメイドの姿をしており、金髪の男はスーツを着ており、金髪の男と女五人はお揃いのサングラスのようなものをしておいる。そして黒髪の男を囲うように立っている。
「(奇襲かけますか?)」
「(いや、まだ様子見じゃな。)」
心言で話して、様子を伺おうとした時に動きがある。
五人の女のうち一人が銃を引き抜いて真緒のいる方に連射する。そして、銃を撃った女ではなく金髪の男が答える。
「敵は三人」
「ま、マジかよ。」
サングラスをつけている全員はそれを察知していたようだが真ん中の男は分からなかったようだ。
「お、おい。出て来い!!」
待ち伏せは予想していなかったようで男が少し動揺している。だが他の六人は的確に隠れている場所に視線を向け、いつでも戦闘を行えるように構えている。
「いや〜、バレちまったかの。」
真緒が敵に聞こえる声を出しながら木陰から出て行き、続けてソプラ、ミツハと続く。
「こんな暗い中サングラスしてるのによく分かったの?」
と、サングラスをしている男に話しかける。
しかし、金髪の男は答えず変わりに黒髪の男が答える。
「サングラスじゃねぇ!!バイザーっていうんだよバカが!!
そんなことよりお前らは何もんだ!!どうして待ち伏せしてやがる。」
怒りと同様が交じる口調で話す。真緒はそれを見て少し閃いた様に、
「(少しカマかけてみるからお前たちは奴らが攻撃してくるまでは動くな。
だが、いつでも戦えるように気は抜くな。)」
「(了解。)」
「(分かりました。)」
と、心言での会話が終わると真緒は黒髪の男がまるで眼中に無い様に金髪の男に話しかける。
「なぁ、我はお前に話しかけとるんじゃが。無視は良くないの。」
金髪の男は答えずまた黒髪の男が答える。
「お前こそ無視すんな!!俺の話を聞け!!どうして待ち伏せしていた。」
「おい、金髪の。お前さっき口きいていたじゃろ?子どもの質問には答えるもんじゃ。答えてくれんか?」
「お前、いい加減にしろよ!!俺の話聞けよ!!」
「そっちの女たちでもいいぞ?答えてくれんか?」
バイザーをつけている者たちは一切微動だにしない。だが黒髪の男は無視されていることがだいぶイライラしているらしくこのやり取りがこの後もしばらく続く中でどんどん声が大きくなってくる。
「はぁ、こんないたいけな幼女の話をここまで無視するなんてひどい話じゃ……」
そしてとうとう、
「そいつらに話しかけても無駄だぞ!!男は騎兵、女は機械人形だからな、主人である俺の言葉にしか反応しない!!」
「(ちょろい)」
「(ちょろい)」
「(ちょろい)」
三人は同時に思った。そして真央はそこでようやく気づいたとばかりにニヤニヤと、
「そうなのか?スマンのこちらも状況が飲み込めてなくての。」
「このクソガキが!!」
「それならば、お前に聞くとしよう。」
「ちょっと待て!!お前、俺の質問には答えないくせに俺には質問してくるのか?」
「いや、なんせあっという間に我ら三人の隠れている場所も見つかってしまったし、人数はそちらの方が多い上に異世界召喚者が一緒ときている。この状況明らかに我らの方が不利じゃろ?
そう、冥土の土産というやつじゃ。教えてくれんかの?
ここで万が一死んだら死んでも死にきれん。」
「ち、だからガキは嫌いなんだよ。」
異世界召喚者という情報が出ているにも関わらず、渋々ながらもこちらの声に耳を傾けている。
あまりにも危機管理能力がガバガバ過ぎている。
※引き続き「()」での会話は仲間内での心の中の会話としてお読み下さい。