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月影のエレメンター

光陰のオルガナイザー〜悲劇の英雄・月影のエレメンター外伝〜

作者: ハイエナ=エレメント

 『月影のエレメンター』本編「五神祭編Ⅱ・第三章Asterisk・Longing」において、主人公・山滉穎がヒロイン・望月月英との前世での関係について思案していたのに関連して、気分転換に妄想して書いたのを載せました。


目次

・『魔境書』「異人伝」(設定)

・『魔境書』「地理志」(地図)

・『悲劇の英雄』「キフの乱」(本文)

・現代(滉穎と月英の会話)

・『魔境書』「史記」(その後)


後書き

・後日譚

『魔境書』「異人伝」


キフ

 クロノス暦前31年頃〜前5年。

 黒髪で、瞳は翡翠色。

 ヤマタ族の巫女クロリエの護衛。

 幼少期に雷に打たれたが、奇跡的に生き還り、その経験からか雷の魔力に覚醒したと言われる。また、身体が磁石の様になっており、鉄であれば魔力を使って吸い寄せることができたと言われている。

 その疾さと雷魔法を認められ、クロリエの護衛となる。

 ナルメナの助力要請に応えたヤマタ族の命に従い、クロリエの護衛としてナルメナに付いて行った。その後、ナルメナと意気投合し、最初で最後の親友となった。

 しかし、皇帝トゥトアンクへの反感を徐々に募らせた人間の一人で、後に「キフの乱」を引き起こした。

 後世では、「悲劇の英雄」と呼ばれる。




クロリエ・ヤマト

 クロノス暦前31年〜前6年。

 黒色の髪に、翡翠色と琥珀色の眼を持つオッドアイの女性だったと言われる。眼帯をしていた。

 山岳に暮らすヤマタ部族の族長の娘で巫女。未来視ギフトの眼を持つが、その制御ができず、幼少期に失明した。

 絶世の美女であったため、皇帝トゥトアンクに見初められて強引に迫られるも、拒絶し、キフと共に逃げ出す。しかし、怒った皇帝によって軍を向けられ、逃亡の最中弓矢で射抜かれて死亡する。彼女の死が、後の「キフの乱」を引き起こしたと言われている。





ナルメナ・ホルス

 クロノス暦前32年〜20年(在位前1年〜20年)。

 赤髪紅眼の眉目秀麗な容姿であったと言われる。

 父にフレイム帝国皇帝スメンク・ホルス、母に水汲みを仕事とする下級平民、ナルミナを持つ皇子であった。

 皇位継承権は持つものの、末っ子かつ母親の身分が最も低いため誰からも注目されず、母が讒言によって後宮を追い出された後も父の厚意によって郊外に屋敷を持った。

 しかし、皇位継承権第3位の皇子に襲撃され、母であるナルミナを焼かれ、その際炎の魔力に覚醒したとされる。

 その後、父である皇帝が何者かに毒殺されたことを知り、復讐を決意し、遊牧民のいる北東方面へと逃れた。

 後に、フレイマー=フェニックスと名前を変えた。

 後世の皇族で彼の血を継いでいない者はいない。




ヴィニュ・ビーナ

 クロノス暦前34年頃〜21年。

 桜色の髪に、紫の瞳を持つ佳人であったと言われている。

 東天紅山脈付近の大高原で遊牧民として生活をしている部族、ビーナ族族長の長女。

 騎乗技術が非常に優れており、騎馬部隊での突撃を得意とし、それによってナルメナを支える。また、風の魔力に覚醒しており、炎魔法を強化したり、追い風を起こしたりして、戦場を自軍の有利にさせた。

 後にナルメナと結婚し第一夫人となり、生涯彼の側を離れなかった。人をあまり信頼しなかったと言われるナルメナが気を許した一人であったとも言われる。

 後の桜家が彼女の血を継いでいることが分かっている。




トゥトアンク・ホルス

 前40年〜1年(在位前13年〜前1年)。

 スメンク・ホルスの次男で、皇位継承権第2

位の皇子だった。

 第3皇子メネナ・ホルスによる同時襲撃事件(メネナの変)を生き抜き、弟であるナルメナと共に皇帝となったメネナを討ち倒した。

 その後、残りの皇子をナルメナ以外全員排除し、皇帝となる。在位の前半は善政を敷き、「アンクの治」と呼ばれる。しかし、後半は徐々にナルメナを遠ぞけ、異民族排他主義者の豪族を側に置いた。その結果、ビーナ族やヤマタ族などの旧くからの味方であった部族の反感を呼び、支配から長く経っていない地域での反乱の起因となった。

 また、その様な情勢下でヤマタ族の巫女であるクロリエ・ヤマトを強引に妻にしようとしたため、クロリエの護衛であるキフを中心にして「キフの乱」が勃発した。




ヤマタ族

 東天紅山脈の麓にある岩山を主な根城にする部族。帝国の中でも有数の規模を持つ狩猟民族。高い身体能力と優れた五感を備えており、それを見込まれてナルメナに協力を要請された。初期からナルメナに力を貸し、その証として巫女クロリエと最強の戦士キフを送り込んだ。

 後に、皇弟派として勢力を築くが、キフの乱によって逃散することになり、優位性を失った。

 後の初代勇者望月春朝はヤマタ族の子孫と言われているが、二千年経過しているため、真偽は不明。




ビーナ族

 大高原を移動して生活する遊牧民族。多くの騎馬兵と優れた軍馬を保有し、長らく帝国を脅かして来た。

 まだ子どもであったナルメナを保護し、その後ろ盾となった。その後、最前線で騎馬部隊として活躍し続け、帝国の内部権力を持つまでに至った。また、族長の娘ヴィニュがナルメナの妻となったことで、ヤマタ族の失権、ナルメナの死後も帝国の権力を握り続けた。

 公爵家である桜家を始めとするフレア帝国北東部の貴族が彼らの血を継いでいる。




覚醒者

 魔力を用いて現象を操作できる存在。事象変化には豊かな心像イメージが必要。一般的に覚醒者であるか否かは遺伝によって決まり、覚醒者の身体能力などは非覚醒者のそれを凌駕する。

 古代の覚醒者は主意主義であり、感情による魔力の暴走や、知恵による魔法の行使よりも、意志の力を重視する。






『魔境書』「地理志」




挿絵(By みてみん)






『悲劇の英雄』第十ニ章「キフの乱」


〜前略〜


 キフはようやく皇帝の目と鼻の先にたどり着いた。


 後ろには大勢の皇帝軍が居るが、その真ん中には空白の道がある。それは、キフが100人もの仲間を犠牲にして創り上げた、皇帝に彼の復讐の刃を届かせるための道であった。


 キフは、仲間に託されてここまで来た。

 犠牲にした仲間のためにも、皇帝をその手で殺さなければならなかった。


 キフは既に満身創痍であるにも関わらず、その勢いは衰えるどころか現在進行系で増していた。




 事態の重さを把握して、ついに皇帝の近衛隊が動き出した。


 キフを四方八方に取り囲み、その逃げ場を塞ぎ、死角から攻撃しようとした。


 だが、キフはまるで背中に目でも付いているかの様にそのことごとくを避け、さらには流麗な剣技でもって近衛隊を斬り伏せた。


 横から斬りかかって来たのを剣を背中に構え、刃を滑らせてその剣をかわした。そして、男の背中に回り込み、その首を一振りに斬り落とした。


 近衛隊とキフとでは、そこまで実力差が開いている訳では無かった。

 剣術は軍最強の覚醒者、ナルメナに教わったキフが一歩秀で、また魔力の扱いに関してもキフに分があるとは言え、大きな差には至っていない。

 とはいえ、戦場の最前線で戦い続けて来たキフと、後方で皇帝を守っていた近衛隊とでは、経験の面で差が開くのは自明であり、それがこの戦いでは現れていた。




 その後、キフは腰から取り出した紐を懐の短剣に括り付けた。


 その紐を振り回し、的確に近衛隊の首を刈っていく。


 剣でそれを防ごうとしても、紐で素早く剣を絡め取られ、落とされた。

 そうして無防備になった男に一気に切迫し、キフは右手の剣によって首と胴体を斬り離した。


 縦横無尽に駆け回るキフの姿をまともに捉えられている近衛隊はいなかった。


 近衛隊を次々と斬り倒すキフの目には強固な意志が宿っていた。


 覚醒者にとって、智慧や感情、意志は力の源。

 キフは皇弟に学び知恵を磨き、また亡き主への揺るぎない敬慕があり、そして帝国に歯向かい、皇帝を殺すという決意があった。

 そんなキフの覚醒者としての能力はこの時、史上類を見ないものとなっていた。




 さらに、正面から斬りかかって来た近衛隊の一人の剣を受け流し、その背後へと回るとその男を拘束した。


 すると、いつの間にか弓矢部隊が移動していたのか、皇帝側から無数の矢が射られた。


 キフは男を盾にし、その全てを回避。


 盾にされた男は文字通り蜂の巣にされ、息絶えた。


 近衛隊の面々と、キフとでは意志の力が決定的に違っていた。

 片やすぐに終わると思っていた反乱が予想外な被害を出して動揺しており、片や想い人を殺された怒り・憎しみ・恨みを決意に昇華させた覚醒者。

 士気も甚だしく差が生じていた両者には、明確な力の差が有った。




 弓矢隊の第一射が終わると見ると、すぐに動き出し、キフを囲んでいた近衛隊に接近するやいなやその心臓に剣を突き刺し、絶命させた。


 さらには、懐から取り出した吹き矢で毒矢を放ち、塗り付けた猛毒の液体によって次々に近衛隊を殺していった。


 キフは巫女であったクロリエを手伝ったことで、数多くの薬草の知識を身に着けていた。その中には当然、毒草も存在した。

 彼はクロリエの力を使い、皇帝の次に憎い近衛隊を殺害していった。




 第二射が放たれる頃には近衛隊はそのほとんどが死に絶えていた。


 彼はその近衛隊の死体を盾にし、矢から逃れようとした。


 しかし、偶然かもしくは狙ったのか、矢の一本が彼の右股に刺さった。


「ぐっ・・・・・・」


 キフは苦悶の声を出し、矢を股から勢い良く引き抜くと、その痛みに耐えながら立ち上がった。


 これをチャンスと見た皇帝軍は第三射を放とうとするも、キフは《身体強化魔法》を用い、弓矢部隊に接敵した。


「うあああああ」


 まさかこんなにも早く近付かれると思っていなかった弓矢部隊は混乱に陥り、その矢は無辺世界へと旅立った。




 キフはスピードを上げ、弓矢隊の中央を兵士を斬り捨てながら進んで行った。


 矢が飛び交う中を猛スピードで突き進み、目の前に来た矢をつかんでは近くの敵の首に突き刺した。

 矢が腕や脚を掠ったとしても、キフはそれを意にも介さなかった。


 幾多の戦場をくぐり抜けたキフにとっては、最愛の人を殺された悲しみを知ったキフにとっては、この程度怪我でもなく、かつて仲間であった者を斬ることなど造作も無かった。




 キフの快進撃は留まるところを知らず、皇帝との距離は残り数メートルとなった。


 皇帝とその側近たちは驚きのあまり動けなかった。

 皇帝を守るべき近衛隊は全滅し、皇帝を守ろうとする存在は一人としていなかった。


 キフは全身から血を流しながら皇帝へと飛びかかった。皇帝は無様にも腰を抜かし、その玉座から飛び退いた。




 しかし、その時だった。


 横から突如として人影が飛び出し、キフの剣を抑えると共にその身体を吹き飛ばした。


 キフは空中で身体を回転させながら、地面へと着地した。


「邪魔をするな! ナルメナ!」


 キフの刃を防いだのはナルメナ、現皇帝の皇弟であり、キフの親友()()()


「お前ならば分かるだろう!? 大切な人を奪われる悲しみを! なぜ邪魔立てする? たとえお前であろうとも、皇帝を守るというのであれば・・・・・・殺す!!!」


 その言葉の迫力に皇帝とその臣下はたじろいだが、唯一ナルメナだけは一歩も退かずに剣をキフに向けた。


「ああ。知っているさ!

だからお前の蛮行を止めるのだ、キフ!

私はもう、()()()()を失いたくないんだ!!」


 ナルメナも幼少期に母と父を殺された。他ならぬ前皇帝の手によって。

 そんなナルメナならば、自分の気持ちを分かってくれる。という期待が、キフの中にはあった。

 だが、親友であったナルメナは皇帝を守る側に付いていた。


「そうか。

そう言えば、俺とお前は本気で斬り合ったことは無かったな。お前の剣技から学ぶことはあっても、お前は決して俺から学ぶことは無かった。それが、いつも悔しかった。

だから、今ここで、お前を越えてやる。

剣を構えろ! ナルメナ!」


「来い! キフ!」




 その瞬間、辺り一帯に甲高い金属音が鳴り響いた。


 皇帝を含めて人々は一瞬何が起きたのか理解できなかった。


 火花が舞い散り、一秒の内に幾多の剣撃が響いていた。


 唯一無二の親友と思っていたナルメナと、キフは壮絶な殺し合いを繰り広げていた。




 しかし、つい先程まで戦いを見物していた五体満足のナルメナと、傷だらけのキフとでは前者が有利なのは明らかだった。


 キフは徐々に追い詰められ、そして剣を弾き飛ばされた。


「くそっ!」


 キフは、悪態をつきながらも、その目に宿った戦意は消えてはいなかった。


「諦めろ。キフ。

お前では私に剣技で勝てない。お前の技は全て私が教えたものだ。私が負ける道理は無い」


 ナルメナは自分が負けるとは、欠片も思っていなかった。


「それは・・・・・・どうかな?」


 しかしキフは、その自信を否定する。


「なにっ!?」




 突如として、黒雲が辺りを覆った。


 それに気を取られたナルメナは一瞬、そうほんの一瞬キフから目を離してしまった。


「《セト(鳴る神)よ》《降臨せよ(来い)》」


 左手を天空に掲げ、右手を前にかざしたキフは声に魔力を込める。


 すると、ピカッと雲が光ったと思うやいなや神威の雷光が地面に放たれ、皇帝軍のど真ん中に落ちた。


 さらには、ナルメナが握っていた剣がキフに吸い取られる様にして彼の手から離れ、キフの右手に収まった。




 キフの特徴的な紋様が刻まれた左腕は青白い輝きを放ち、その手でキフはナルメナの利き手を握った。


 そのまま、彼に電流を流した。


「ぐあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」


 ナルメナは辛うじて生きてはいたが、全身が思う様に動かなかった。


 キフはナルメナを殺すチャンスを得たのにも関わらず、彼を殺しはしなかった。

 それは、唯一キフの攻撃を正面から受けて生き残ったという初めての事態であった。


 しかし、周りにいた者たちはその様な事実には気付かず、ただただ皇帝軍最強のナルメナが敗れたという真実に驚愕するのみだった。




 ついで、キフはその右手に持ったナルメナの剣で皇帝に刃を向けた。


「ぐっ、何をしているか! 《早くそやつを殺せ》!!」


 皇帝はここに来て我を取り戻し、焦燥感に駆られながら叫ぶも、誰もが怯えて動けなかった。

 代々皇族が受け継いだ魔法インペレイターを使ったのにも関わらず。


 それもそのはずだ。現在の皇帝軍でおそらく最も強いと思われていたナルメナが地面に伏せさせられてしまったのだから。

 たとえ、他者を強制的に動かすことを可能にする命令魔法を使ったとしても、恐怖心を無くせる訳ではなかった。加えて、皇帝への不信感もその魔法の威力を弱めていた。




 しかし、そんな状況が見えていないのか、それとも分かっていて受け入れられないのか、皇帝は叫び続けた。


「何をしているのだ! 役立たず共め!」


 側に控えていた豪族に目を向けながら、皇帝は叫んだ。


「黙れ!!!」


「ひっ!」


 そんな皇帝も、キフの怒鳴りによって勢いを完全に削がれ、尻餅をついた。


「止めろ! 《近付くな》! 悪魔!」


 キフに《インペレイター》を使うも、キフはまるでそよ風の様にそれを気にすることもなく、行動を阻害される気配もなかった。既に皇帝を見限っていたキフには、権威で威力が上昇する《インペレイター》も通用しなくなっていた。


 皇帝はキフから遠ざかろうとするも、距離が開くことはなかった。


「ふっ、悪魔か。俺からしたら、彼女を殺したお前達の方がよっぽど悪魔さ。


お前の最後の言葉なんて要らない。


さあ! アメミットに喰われろ(無に還れ)!! 皇帝!!!」


 そう叫んだキフは剣を高く掲げ、一息に振り下ろした。


 皇帝は咄嗟に目を瞑り、手で顔をかばった。




 しかし、剣は中々自身には振り下ろされず、皇帝はおずおずと目を開けると、そこには腕を矢で射抜かれたキフの姿があった。


 キフは剣こそ手放さなかったものの、動きが止まってしまった。


 その隙を突き、近衛隊の中にいた生き残りが彼を背中から襲った。


 男の剣は無防備なキフの背中を斬りつけ、キフは盛大な血飛沫を上げながら前のめりに倒れた。


 皇帝はその隙に後退り、キフから逃げ出した。


 その姿には、もはや皇帝の威厳はなく、ただ怯えるものから逃げ出す子どもの様だった。




 近衛隊の男は再度キフに攻撃を加えようとするも、雷のごとき疾さで肉迫したキフに心臓を抉り取られ、敢え無く絶命した。


 だが、キフも今までに身体にかけた負担は大きく、激しい吐血をした。


「がはっ!」


 左目からは血が流れ出ており、身体のあらゆる箇所が切り傷などで流血していた。


 既に立っていることでさえ不思議な程であった。


 彼にはもうほとんど残っていなかった。

 あったのは、皇帝への憎悪と死に体の自分の身体と、彼女との思い出のみ。

 愛し、護り続けると誓った女性も、自分が命を捧げるべき敬愛する主も、仲間も、名誉も、地位も、誇りも、何もかもを失った。


 だが、キフはそれでも立ち上がった。彼を立ち上がらせていたのは、今まで彼女と紡いだ記憶、思い出だった。





 昨年の秋頃、キフはクロリエを背負い、皇帝軍、特に皇帝直属部隊である近衛隊から逃げていた。


 クロリエは生来身体が弱く、また幼少期の失明もあって山中での行動は不得手であった。未来視ギフトの力を使えば、何とかなる部分もあったが。


 そんなクロリエを護るために護衛となったのがキフであり、キフは巫女であるクロリエを敬愛し、そして女性としてのクロリエを愛していた。故に、キフにとっては彼女を護ることは当然の行為であり、そのことに疑問を抱くことさえ無かった。




 そんなキフに護られるクロリエはある日の朝、背中から彼に尋ねた。


「キフ、あれは何? 真珠?」


 その声は、追われている身にも関わらず、落ち着いており、間延びしていた。厳しい状況に不相応なクロリエの態度にキフは安心感をいだきつつ、彼女の疑問に答えた。


「あれが露、ですよ」


 クロリエは身体の脆弱さから、冬の時期に外に出ることや、また朝早くに起きることはできなかった。さらに、次期巫女ということで大切に大切に育てられた。つまり、箱入り娘であった。

 そして、集落から離れた後もキフが引き続き彼女の健康を守っていた。そして、彼女が外に出る機会はほとんど無かった。




 しかし、しかし。キフは思い直した。


 彼女の行動を制限することで、彼女の世界を狭めていたのではないか、と。


 彼女の体温を背中に感じながら、キフは無邪気な疑問を呈したクロリエに愛おしさとやるせなさを感じていた。


「そう。キフは何でも知っているのね」


 キフは嬉しさが混じりながらも、努めて冷静に返した。


「俺の使命は貴方を護ることと、貴方を支えること。

貴方が知らないことは、俺が教えられる様に学んで来ました。たとえ、世界の果てであろうとも、貴方が望むなら俺は行きますよ」


 ナルメナの女性を口説く姿を見ることが多かったからか、キフは少しキザなセリフを言ってしまった。


「ありがとう。嬉しいわ」


 しかし、そう言ってクロリエはキフに抱きつく力を強めた。





 だが、純粋無垢であったクロリエは死んでしまった。皇帝に仕える近衛隊に射殺された。


 そして、キフだけ生き残った。


 キフは思った。


 自分もあの場で、露の様に消えてしまいたかったと。


 彼女が居ない世界に一人、取り残され、自分で死ぬこともできない。

 彼女はきっと、それを望まないから。


 だから、キフは残った命で皇帝を殺すことに決めた。


 彼女が愛して守ろうとしたヤマタ族を護るために。

 そして、自分の命を燃やし尽くすために。




 キフはおもむろに、後ろへと目を向けた。


 すると、400メートルは軽く超えた場所から、矢を放った人間を見つけた。


 キフは、その人間、いや「覚醒者」が誰なのか見えなくても分かった。

 彼女は、ヴィニュ・ビーナ。皇弟ナルメナの妻であり、また彼の戦友でもあった。


 どちらが弓矢の技量で優れているか、などと競い合った記憶はまだ新しかった。




 キフは、静かに微笑むと視線を皇帝の方向へと向き直した。




「うああああああああ」


 その瞬間、皇帝の側に仕えていた豪族の一人が《インペレイター》の影響か剣を持ってキフに斬りかかった。

 それを皮切りに、縮こもっていた者たちが動き出した。


 もう一般兵の陣は通り過ぎ、本陣にまで迫っていたので、キフの周りには身分の高い者しかいなかった。故に、斬りかかって来た複数人は高貴な身分、つまり豪族であった。


 普段のキフであれば、剣を少ししか握ったことのない人間の攻撃など簡単に避けられた。


 しかし、既に疲労困憊で索敵能力も速度も衰えてしまったキフには、正面からであっても簡単に剣が通ってしまった。


「ぐっ」


 横薙ぎに斬りつけた剣はキフの身体に一直線の切創を刻み付けた。


 だが、キフの筋肉質な身体に致命傷を与えるには、その剣は脆すぎて、その剣術は拙過ぎた。


 キフは数歩後退りながらもその豪族の姿を捉え、そして足をかけた。


 その男は簡単に転び、キフはその無防備となった背中に乗っかると、素手でその身体を貫いた。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」


 男は絶叫するも、死に体の人間とは思えない力で押さえ付けるキフから逃れることはできなかった。


 やがて、ぶちっ! という音と共に背骨を素手でもってへし折ったキフによって、男は絶叫と息の根を止めた。




 そんな悪夢の様な状況の中であっても、キフへの恐怖から徐々に脱却し始めた豪族たちは彼への攻撃を止めなかった。


 豪族たちはこんな中でも、自分の利益を考え始めていた。ここでキフを討ち取れば、皇帝に気に入られ、権力を握れる、と。


 そんな安易な考えを否定する様に、キフは囲む豪族たちを相手に戦い続けた。


 キフは迫り来る剣撃の中で致命傷だけを何とか避け、弾いたが、それ以外はことごとく彼の腕や腿に入ってしまった。


 キフはぼろぼろとなった剣を捨てた。しかし、キフにはそんな武器、もう必要なかった。


 接敵した豪族の首をつかみ、頸椎を破壊した。

 手で男の腹を突き破り、その背骨を破壊した。

 逃げ出した獲物の背中から、心臓を破壊した。




 さらにキフは、逃れた豪族を殺すため、魔法を発動させた。


 手から雷を放ち、豪族たちを遠距離からであっても確実に仕留めていった。


 攻守はいつの間にか逆転し、豪族たちは逃げ惑うはめになっていた。


 だが、それも長くは続かなかった。


 キフは魔力の超過使用により頭痛を起こし、身体のバランスを崩した。




 まさに、その瞬間であった。


 どすっ、という音がキフの下から聞こえた。


 キフが音の発生先を確認すると、自分が痺れさせたはずのナルメナが短剣をキフの横腹に突き刺していた。


 キフはその短剣に見覚えがあった。


 いつだったか、キフが復讐を果たしたナルメナにあげたものだったからだ。


 まだ持っていてくれたのか。


 若干の喜びが込み上がった後、遅れてキフは痛みを感じた。




 この時初めて、キフの身体に幾千幾万と刻まれた切創の中でその刃が彼の臓器へと届いた。


「もういい。もう眠れ。キフ」


 ナルメナは諭す様な口調で言った。


 キフの身体はナルメナに刺されるより前にもうボロボロであり、臓器は短剣に破壊される以前に機能が破綻していた。


 キフは口から大量の血を吐き出しながら、地面へと倒れた。


 ナルメナは地面に彼の身体が付く前に、彼の身体を下から支え、抱き上げた。


 キフは、弱々しい声で言った。


「あ・・・・・・れ? おまえの、はだのいろ、くろかった、か?」


 その言葉に、ナルメナは悲しそうな表情を浮かべ、然る後に笑いながら言った。


「白だよ。お前、男には本当に興味持たないよな。親友の肌の色さえ忘れるとは」


「おまえも、な。

ヴィ、ニュをたいせつに・・・・・・しろ、よ」


「ああ。


・・・・・・もう逝ってしまうのか?」


「ああ。どうせ、かのじょの、いない・・・・・・せかいに、いみなんて、ない・・・・・・」


 口の周りを血で固めて、キフは言った。


「・・・・・・そうか。

どうせ、クロリエ殿はこう言ったのだろうから、私も言わせてもらおう。


願わくば、来世でまた会わんことを」


「ああ。つぎは、おれが・・・・・・おまえにけんを、おしえてやる」


「じゃあ、待っている間、私は楽器でも嗜んでいようか」


「そうして・・・・・・おけ。


いま・・・・・・い、きま、す。くろ、り・・・・・・え」


 そう言うと、ナルメナの腕にのしかかる重量は増加した。


「さよならだ。私の、最初で最後の、親友よ」


 ナルメナは、誰にも聞こえない様な声量で、しかしはっきりと親友に告げた。




 こうして、フレイム帝国で最後で最大の反乱は甚大な被害を出しながら幕を閉じた。


『悲劇の英雄』第十ニ章「キフの乱」完






クロノス暦4097年X月X日


「どうしましたか? 滉穎こうえい様?」


 トイラプス帝国の公爵家、望月家当主の次女である望月月英もちづきげつえいは、『悲劇の英雄』というタイトルの本を読み終わった山滉穎やまこうえいに尋ねた。


「いや、この『悲劇の英雄』のキフ、親近感が何か湧いてね」


「まあ、彼はどことなく貴方様に似ていますからね。私が最初に憧れた英雄も彼ですし」


「はは。そう言ってもらえるのは嬉しいけど、僕は彼ほど高潔でもないよ。闇に近い僕に比べれば、彼は純白な光そのものだ。


まあ、でも。一人の女性のために身命を賭すという姿勢には共感できるよ。僕も、世界と愛する人の命、どちらか選べと言われたら、後者を選択するだろうからね」


「では、殿下と私のどちらかを、と迫られたらどうしますか?」


 月英げつえいはイタズラ顔でそう問いた。


「えっ。いや、それは・・・・・・すまん、選べない」


 月英げつえいはそっと微笑むだけだった。


「今は、それで構いません」


 今は・・・・・・では選択が迫られる時がいつか来るのだろうか?


 そう思った滉穎こうえいだったが、今考えても仕方がないと、思考を隅に追いやった。


 それよりも、彼には気になることがあった。


 このヤマタ族の巫女クロリエ、見た目から性格は・・・・・・そこまででもないが、月英げつえいに非常に似ていたのだ。

 そして、クロリエが死に際に放った言葉が彼はひどく印象的であった。


『生まれ変わったら、私が運命を覆します。

たとえ、来世のあなたが理不尽に襲われ、絶望したとしても私が運命を突き破り、あなたを守ります。

だから、次こそは私を堂々と迎えに来て下さい』


「まさかね・・・・・・」


「何かおっしゃいましたか?」


 滉穎こうえいの様子を訝しんだ月英げつえいが小首をかしげて尋ねた。

 それに対して、滉穎こうえいは微笑を浮かべて応えた。


()()、君を必ず守るよ」


「はい」


 月英げつえいはほんのり頬を染めてそう返した。






『魔境書』「史記」


キフの乱

 クロノス暦前5年


原因

 ヤマタ族の巫女クロリエを皇帝が妻に強引にしようとしたことへの反発

 皇帝への不信感

 異民族排他主義勢力の増長




戦況


ヤマタ族

 戦士約100人




皇帝軍

 総勢一万人


内訳


 皇帝直属

 軽歩兵約3000人

 槍部隊約1500人

 弓矢部隊約2500人

 騎馬部隊(ビーナ族など)約1000人

 近衛隊約70人


 豪族

 私兵約2000人




結果

 皇帝軍の辛勝


 ヤマタ族

 全滅


 皇帝軍

 死者約600人(ヤマタ族による死者は少なく、ほとんどが傷口から入った病原菌によるもの)(近衛隊含む)

 重傷者約30人(重症者の大半は恐怖に顔を歪ませてまもなくして死んだため、数は少ない)

 負傷者約1800人(直接的なものではなく、ヤマタ族、特にキフへの恐怖心から生じた混乱によるものが多い)

 近衛隊全滅(大半がキフによるもの)


 皇帝の側に仕えていた、重用されていた異民族排他主義の豪族がことごとく討ち取られる


 皇帝の負傷(キフから逃げる時に転んだ)




影響

 トゥトアンク皇帝の権威の失墜

 異民族排他主義勢力の減衰(ヤマタ族への恐怖と主義者の豪族が討ち取られたため)


 ヤマタ族の失権

 ヤマタ族は散り散りになったが、キフによってヤマタ族の名は戦鬼の代名詞となり、手出しされることはなくなった(庶民の間でも、良い子にしなければヤマタ族にさらわれるという話が生まれ、長く恐れられ続けた)


 皇弟ナルメナの重用

 ビーナ族の重用(皇弟ナルメナの重用により)


 後に、ナルメナに禅譲するきっかけの事件となる




後世における評価

 皇帝トゥトアンク・ホルスの傍若無人な振る舞いがキフの乱を勃発させたことから、皇帝は狂帝と呼ばれる(皇帝による治世の前半は善政とされたため、愚帝とは呼ばれなかった)。


 当時の情勢ではキフを帝国に反旗を翻した悪としていたが、年を経るにつれ狂帝の暴虐を止めた英雄として崇められる様になる。


 「キフの乱」で討ち取られた豪族の大半が皇帝派に連なる有力な豪族であったため、後に急速に成長した皇弟派が台頭する契機となり、帝国内でナルメナ・ホルスが力を持ち、新王朝(フェニックス朝)の誕生に起因したとされる。


 加えて、フレイマーが行おうとしていた武断政治から文治政治への転換も、この反乱によって有力な軍人や豪族、武に秀でた者が殺されたことによって円滑に進んだ。そのため歴史学者の間では、キフの乱が偶発的なものではなく、フレイマーによって意図されたものではないか、という説がある(フレイマー陰謀論)。

 実際に、禅譲した前皇帝、トゥトアンク・ホルスは隠居先で何者か(当時は盗賊とされた)に殺されている。


 しかし、陰謀論には証拠やそういった記述が歴史書に()()無いため、真相は分からない。

 しかしながら『悲劇の英雄』は、書かれたとされるフェニックス王朝時代ではフレイマーに対する批判は許されなかったため、「悲劇の英雄」と遠回しに批評したと言われている。作者が未詳なのもそれが原因であるとされる。また、反乱者であるにも関わらず、キフと親友であり、フレイマーがその死を悼んだことが強調して書かれていることもその説に真実味を帯びさせている。


 陰謀論が事実であろうとなかろうと、フレイマーがキフの乱の原因の一端であったことは否めない。

 皇帝トゥトアンクの治世、特に「アンクの治」において、軍事・内政の両面で優秀な人材を配下にして活躍していたフレイマーにトゥトアンクは引け目を感じていたと言われている。

 さらに、美男であったフレイマーの元には何人もの美女が訪れ、才色兼備の妻がいた彼に徐々に嫉妬を募らせたとされている。

 故に、フレイマーの協力者であった巫女クロリエへの強引な求婚は彼への当てつけではなかったのではないか、と考察されている。


 しかし、傾城の美女であったクロリエとはナルメナは恋仲にはなっておらず、恋慕の欠片も無かったと言われる。そのため、ナルメナへの当てつけとはならず、ただ彼女の護衛であるキフとヤマタ族の反感を呼ぶだけに終わった。






『悲劇の英雄』と「悲劇の英雄」

 『悲劇の英雄』は成立年、作者共に未詳。全十三章。

 キフの誕生からキフの乱で死亡するクロノス暦前31年〜前5年の間を描き、キフの戦場での活躍やヤマタ族の巫女クロリエとの悲恋が記されている。


 「悲劇の英雄」キフを中心に展開していく軍記物語だが、キフの活躍をやや誇張して描いている。しかし、大筋は歴史書と合致しており、矛盾点や後に出土するものもこれの内容に一致していたため、歴史研究にも役立てられている。そのため、後世のキフを主人公にした作品はほとんどが『悲劇の英雄』をベースにしている。




 『悲劇の英雄』では、キフが200メートル先の鉄剣を引き寄せた・落雷を発生させた・ある戦場で千人を斬り殺した・ヴィニュと競い500メートル先の的を射ったなど、誇大して表現されていると思われる部分が存在する。

 しかし、実際にキフは磁力や電気を操り、戦争で大きな功績を立て、弓術に長けていた。故に、上記のもの程ではないが、似た様な偉業を成したと言われている。




 また、『悲劇の英雄』によってキフのイメージが愛する女性のために命を賭して戦ったエレメンターとなり、同時期に活躍したフレイマー=フェニックスに並ぶ人気度となった。

 それにより、彼を題材にした戯曲が多く世に出たとされている。


 彼を主人公にすれば、実直で仲間思いの人間として描かれることが多く、巫女クロリエを常に想うが、その恋は成就することなく散る最後が多数。


 親友であるフレイマーを主人公にした作品では、一度引き受けたことは必ず成し遂げる人物として彼に篤く用いられる。そして、最前線に出ては必ず敵将の首を討ち取り、親友に勝利をもたらしくれる信頼のおける臣下として登場する。クロリエとの恋愛では、フレイマーの後押しがあっても中々行動に移せない奥手な人間として描かれる。


 フレイマーに対抗した人物を主人公にしたものでは、恐るべき敵として登場し、フレイマーの手先として容赦ない追撃をする覚醒者として描かれる。また、彼を味方にする、または罠にはめるためにクロリエを狙うと、地の果てまでも執拗に追いかけて来る。


 クロリエを主人公にした恋愛物語においては、クロリエの積極的なアピールにも関わらず、護衛としての立場を一貫させることが多い。クロリエの行動に常に振り回され、しかし彼女を主として敬愛している姿が描かれるも、恋愛に奥手過ぎるために恋愛物語ではそこまで人気度は高くない(フレイマーを主人公にした恋愛劇の方が人気は高い)。




 実際のキフは、『悲劇の英雄』で書かれる姿と同様に真面目で正義感が強く、剣術・弓術などに長けた覚醒者であると思われる。

 加えて、巫女クロリエへの愛情も異常な程に強いのは確かの様である。逸話としては、クロリエを侮辱した豪族は次の朝には暗殺されていた・彼女のために真冬の雪の中失くしものを探し続けた・彼女の疑問に答えるために自ら実験体になったなど。


 キフは無神論者であったと言われるが、彼にとってはクロリエが神の様な存在であったと推察される。

 設定編「クロニクル」のリンクアドレスです。魔境の世界の歴史が年表で記されています。


https://ncode.syosetu.com/n6290hd/17/




 設定編「書物」のリンクアドレスです。『魔境書』や『悲劇の英雄』の説明がされています。


https://ncode.syosetu.com/n6290hd/25/




 また、本編は以下のリンクから行けます。


https://ncode.syosetu.com/n7311hd/






後日


イヴァン「珍しく本を読んでいるな? 滉穎」

滉穎「ふん、おまえが観察していないだけで、俺は読書家だぞ」

イヴァン「読書家は自分のことを読書家とは言わん」

滉穎「何だそれは・・・・・・まったく」

イヴァン「それでタイトルは・・・・・・『悲劇の英雄』? ああ、あの初恋をこじらせた"悲劇の英雄"ね」

滉穎「ああ!? 女好きが何を言うかと思えば、初恋すら貫けなかったおまえがよく言うぜ」

イヴァン「・・・・・・何とでも言え。ま、そういう意味では、滉穎とキフは似ているな」

滉穎「そう言うおまえは・・・・・・狂帝だな」

イヴァン「はあ!? どう考えても美男のナメルナだろ!?」

滉穎「やはりおまえはナルシシストだな」




木村捷「またあの二人やってるよ」

松尾冬輝「でも気付いてないのかな? ナルメナとキフだと親友になるの」

月英「心の底では、いえ、魂はもう親友と認めているんだと思いますよ」

捷「それはどういう意味?」

月英「さあ? どういう意味でしょうね?」






 やはり、月英は謎が深い人物です。


 ちなみに、滉穎こうえいとキフの名前の由来は古代中国から来ているのですが、まあ気付いた人がいたらその人はかなり戦国時代や楚漢戦争が好きな人ですね。

 基本的に悪い評価が無い人たちから取りました。






 また、「月影のエレメンター」は山滉穎を、「悲劇の英雄」は滉穎の前世キフを示していますが、「光陰のオルガナイザー」というのは、イヴァンの前世ナルメナ・ホルス(フレイマー=フェニックス)のことを言っています。ついでに言うと、「Absolute elementer」は虎武龍麒です。

 なぜキフの乱が起こったのか、その経緯と動機、皇帝トゥトアンクや皇弟ナルメナがそれぞれ取っていた行動については、来年以降に投稿予定の外伝『光陰のオルガナイザー』で書くつもりです。

 時間は開きますが、連載を始めましたらどうぞよろしくお願い申し上げます。






 下記のリンクテキストは設定編「山滉穎」のものです。


https://ncode.syosetu.com/n6290hd/14/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定が丁寧で、しかし長たらしくないのでわかりやすい。人物関係も(部分的な章だからかもしれないが)端的でわかりやすい。 情景描写によって脳内でイメージができた文章だった。アニメなどになっても…
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