第三十五話 運命の抗い
『あの、助けてくれてありがとうございます」
ユーキさんがお礼をいい頭を下げる。
『いや、助けるのは当然ですし。それにこちらこそ助けていただきありがとうございます」
私も頭を下げる。
「それよりも、どうしてこんな森にAランク冒険者さんが?」
ガルシアさんがユーキさんに向かっていっている。
「私はこの森が好きなのでここを散歩するために来たのです。
自然をゆったりと散歩するのが好きなんです」
ユーキさんはそう笑顔でガルシアさんに向って言った。
ヘェ~でも少しわかる気がする。
私もアルス村の近くの森を心を落ち着かせるために行ったなぁ。
「私、聞きたいんですけどヤミさん。
あなた、呪い使いでしょ」
ユーキさんは私の方を向き言った。
「はい、そうですけど」
私はそう答える。
「そう。なら始末対象になるわね」
ユーキさんは私達に向って言った。
始末対象?どういうこと?
「ヤミは悪い呪い使いじゃない」
アズが私を守るように言っている。
「そうね、悪いようには見えないけど、それでも始末対象に入ってるわ。
呪い使いは始末されるのよ、理由は危険だから、それだけよ」
ユーキさんは私には向かって言った。
危険?それだけで私の命が狙われてるの?
そんなのひどい。
「危険なのはあんたらも一緒じゃねぇのか?
冒険者の中にも殺戮を楽しんでいるようなやつも居ないか?」
ガルシアさんがユーキさんに向かって言った。
「まぁ、今回は助けられたから良いけど。町に行くのよね。
それなら用心したほうがいいわ。
あなたの命を狙う者が現れるわ。
それに冒険者もあなた達を狙ってくると思うわ。
呪い使いの仲間としてね」
ユーキさんはそう私達に言った。
「どうすれば命を狙われないの?」
私がユーキさんに聞く。
「あなたが死ぬか行方不明かのどちらかよ」
ユーキさんは淡々と答える。
くっ。私は生きたらだめってことなの。
そんなの、そんなの。
私は涙が出てきた。
「泣いてもどうにもならないわ。
でも、あなたがこの運命に抗うのなら、私はあなたのことを報告するけど、どうする?」
抗うか、運命。大きいなぁ。
「何をするんですか?」
私が泣き顔で聞く。
「あなた以外の呪い使いを全滅させること」
ユーキさんはすっと言った。
全滅、人を何人も殺るってこと?そんなの、そんなの。
心が持つかな。
「やれる?それとも逃げ出す?」
ユーキさんが聞いてくる。
「そんなの決められるかよ。何人も殺るってことだろ。
そんなのヤミが辛いだろ」
アズは言う。
「なら、逃げ出していいのよ。
その代わり、地獄を見るだけよ」
ユーキさんはアズに向かって言う。
「でも!」
そうアズが言おうとしたとき、
「アズ、これはヤミが決めることだ。
俺たちはとやかく言う資格なんてない」
ガルシアさんが止める。
「だけど」
アズは不満そう。
「ヤミはどうしたい。この先、逃げながら生きるか、人を殺る人生か」
ガルシアさんが私に聞いてくる。
私は、私は!
「私は生きていたい。だから、呪い使いは全部やるから」
私は涙声でユーキさんに向かって言う。
「そう、なら上にそう報告しとくわ。
一応言っとくけど呪い使いをかくまうなんてことしたら、分かるわよね」
ユーキさんはそう言う。
そうだよね、全滅させないとだめだもんね。
「分かりました」
私はそう言った。
「それではごきげんよう」
ユーキさんはそう言って、どこかに歩いて行った。
「これで決まったな。お前の人生は。まぁ、全滅させた後の人生はどうなるかは分からんがな」
ガルシアさんはそう私に向かって言った。
「いいです、私は運命に抗うし、呪い使いは全滅させる。
それと、父のパーティメンバーの始末ですから」
私は涙を拭き、空を見上げる。
空は青くきれいな青空。
雲ひとつない快晴だ。
「その、父親のパーティメンバーのことなんだけれどよ、一つだけ言っておくことがある。
そいつらはもう死んてるぜ」
ガルシアさんが唐突に私に向かっていってきた。
は?死んでる?
「どういうこと?」
私がガルシアさんに聞く。
「お前の父親のパーティメンバーとは仲良くさせてもらっていたんだ。
それで、ある日のこと。
お前の父親がやってきてこういったんだ。
パーティメンバーが全員やられちまった。
もう、助かる道は無いって。
そのあと、父親は崖から身を投げ出そうだ」
ガルシアさんはそう言う。
崖から身を投げ出した?そんなはずは、仲間に落とされたって。
「嘘だと思ってるだろ。だが、これが本当の真実だ。
お前の父親のパーティメンバーは何もしていない。
自分で身投げしたってことだ」
ガルシアさんは続けて言う。
そんな、そんなの。
「う、うぅ」
私はまた涙を流す。
悲しみの涙が。
「ヤミ、今は辛いと思うがここは森の中だ。
町まで行ってから話そう」
アズがそう言った。
「う、うん」
私はアズの手をつなぎ、歩みを進めた。
この先の運命はいかに。
ヤミの運命は残酷なものなのか?
それとも。
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あと見てくれている人はありがとうございます。
それでは今回のセリフを。
「アズ、これはヤミが決めることだ。
俺たちはとやかく言う資格なんて無い」
です。
深いです。




