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冬の童話祭2022 『流れ星』

星のひとかけら

作者: 佐藤そら
掲載日:2022/01/04

 流れ星に願い事をすると叶うと言われている。


 僕は、これまで、そんなことを気にもとめていなかった。

 それはきっと、どうしても叶えたいほどの願い事が、これといってなかったからだ。


 でも、その年の冬、僕は初めて流れ星に願い事をしたいと思った。



 春が来たら、僕はこの街を離れる。

 パパのお仕事の都合で、僕はこの小学校を転校することになった。

 もうすぐ、サラちゃんに会えなくなる。


 サラちゃんは、隣の家に住む同い年の女の子だ。

 幼稚園の頃からいつも一緒だった。

 一緒に遊んで、一緒に帰って、それが当たり前になっていた。



 ある日、僕はパパとママに連れられて、東京の街に行った。

 そこにあったのは、春から僕が新しく住む家だった。

 僕はベランダに出て、夜空を見上げた。

 東京の夜空は、晴れているはずなのに、何故だか星が見えなかった。

 それは、僕が住む街の夜空と、同じ夜空だとは思えなかった。



 僕の家の近くには星が沢山見える丘がある。

 春が近づくある夜、僕はひとり、丘に向かった。

 夜空には、無数に星があって、今にも落ちてきそうだった。

 それは少し怖いくらいだった。

 僕は思わず夜空から顔をそむけた。


「どうして、東京の空には星がなかったんだろう……」


「それは、東京の街の明かりが眩しすぎるからさ」


「え? 誰?」


「おいらだよ」


「え?」


「顔を上げてごらん」


「え? まさか、お星様!?」


「姿が見えなくても、星はそこにあるってもんさ」


「そうなの!?」


「君は、浮かない顔をしているね?」


「僕、もうすぐこの街を離れなきゃいけないんだ。そしたら、サラちゃんにはもう会えない」


「どこにいたって、空は繋がっている。流れ星は、願いを叶えるために流れるのさ」


「願い?」


「君の願い事はなんだい?」



 夜空を流れ星が流れはじめた。


 願い事……。

 それは、ひとつしかなかった。


『サラちゃんと、また会えますように』


 僕は、願い事を3回口にした。

 すると、流れ星のひとかけらが、僕のもとへ落ちてきた。

 それはキラキラしていて、とても綺麗だった。



「その星のかけらを、サラちゃんに渡してごらん」


 お星様は、そう僕に言った。



 春が来た。さよならの日だ。

 僕はサラちゃんに、星のひとかけらをあげた。

 サラちゃんは嬉しそうに、キラキラした星のかけらを、自分の宝箱に入れていた。


 さよならは、きっと、さよならじゃない。

 大きくなったら、あの丘で一緒に流れ星を見よう。

 僕らはそう約束をして、お別れをした。




 今夜は、どうやらとても寒い。

 僕は10年ぶりに、あの丘を目指す。


 丘に着くと、そこには誰かの後ろ姿があった。

 振り返った彼女の手には、あの日の星のひとかけらがあった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 願いが叶って良かった☆ 素敵なお話ですね!
[一言] 良い話でした。 お星さまがかっこいいです!
[良い点] わ~ん! 良かったよ~! [一言] 幼いころから、幼馴染の女の子に対する想いをこじらせずにいた男の子。希少です! (しみじみ……)
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