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ARCADIA BLUES.  作者: 那樹聖一
ナギア編
46/61

決意とイレギュラー

 ベットに転がった頭が潰された死体たち。顔についた血を手で拭い、なめる。どこか楽しそうだった少女エリュニスはどこかつまらない顔をしていた。まるで遊んでいたおもちゃに飽きた子どものように、貧乏ゆすりをしていた。全身にまかれた包帯は血にまみれ、絞ればバケツ一杯に出てきそうなまでに血にまみれていた。


「おや、エリュニスそっちはもう終わったのかい?」


「終わったも何もつまらなすぎー!本当に私たちと同じアルトゥーム様に愛された宗徒たちなの?」


「快楽に身を任せたものは宗徒じゃありませんよ。さて帰りましょうか。エリュニスの包帯も変えてあげないとですからね」


「はーい。じゃあ、帰ろっか。けどー、あっちから血の匂いがするなあ」


つまらなかった顔は一瞬で笑顔に戻る。


「アーレス!私たちも参加しよ!ね、ね!」


「んもう、エリュニスったら……見るだけですよ」


「はーい!」


戦場は悲しみだけを生む。戦争中もそうだが終戦しても被害を復興させたり、報復心を生んでしまうのだ。戦火の火種は消えることはなく、片方の国が亡ぶまで燃え続けるのだ。俺もその一人だ。小さいころに戦争に巻き込まれ、過去の戦火の炎が心の内で燃え続けている。


「ゼフィス、タイタンが出てこない。まさかもう全機倒されたのか?」


「いや、アロウは4機といった。だから城壁の中に潜んでいる可能性がある。油断はできないさ」


俺が戦争に参加するのはこれで二回目だった。一回目はアドラールでのエルガルド王国と、イドチス帝国に与していた国との戦争に参加した。そこで戦争の悲惨さや、悲しみを知った。だがこの戦争はアドラールのものとは比較にならないほど無常だ。ナギア軍の兵士たちはルナエラに抱く報復心を色欲軍の兵士たちにぶつけていた。だがどうだろうか。色欲軍の兵士たちは動きがおぼつかないのだ。まるで死ぬことを恐れていないようにも感じれば、魂ここにあらずという言葉を吐き捨てたくなるような状況でもあった。とにかく覇気がない。これで兵士たちの心が落ち着くはずがなく、頭に血が上り続けたのだ。


「殺し合いをヒートアップさせている気がする。ガルシアス、なんかおかしいぞこいつら」


「ああ、まるで殺すことばかりに集中させているように感じる。いったん落ち着かせなければ全滅する可能性があるぞ」


しかし、血気にあふれた兵士たちを止めることは難しい。正気を取り戻させようにも俺とガルシアスだけでは制御できない。血走った眼には恐怖を感じる。暴走しているといっても過言ではない。この戦況は悪くはない。ならばこのまま進み続けるしかもう手はない。ガルシアスもそれに気づいているだろう。


「ガルシアス、危険分子が出たら俺たちが戦うしかない」


「そうだな。おそらくルナエラの策略は戦闘に狂った兵士たちの一掃だろう」


戦闘に狂った兵士の一掃。一掃できる方法は広範囲魔法かそれともタイタンによるものか。おそらく後者と見るべきだろう。おれはハザマとの鍛錬で身につけた技を試すいい機会だ。



五神流。ハザマの故郷に伝わる流儀。ハザマの強さを表すものであり、一対一の戦闘から一対多の戦闘を可能とした剣術だ。剣の振り方、体の動かし方など今までベルゼハート団長に教えられてきたものとは全く違うものだった。握り方から指導され、習得は困難を極めていた。


「いいか、この五神流はもとは神々を祀る神楽だったとされている。自然を舞台とし全身で自然を感じるのだ」


「あのー、そんな伝統ありそうなもの教えてもいいのかよ」


「俺は別に構わんよ。だって体得しているのは拙者とその兄者だけだからな」


過疎化しすぎて廃れるぐらいなら他人に教えてでも受け継がれたほうがいいということか。しかしながら鍛錬は難航を極めていた。なにせ動きが複雑すぎる。足の運びに小手先の操作。そして常に全体を把握する観察眼を鍛える必要があった。斬りあっては倒れ、斬りあっては倒れの繰り返し。体の動きがマネできてもハザマの強さは遠くなっていく。なぜ近づけないのか。時間か?それとも応用の質か?


「拙者みたいになれない理由?んなもんなれるわけないじゃないか。剣も体つきも違うのだから」


俺は困惑した。体得できないのなら何が足りないのか。


「たしかに技法は体得できるが、根幹だけは学ぶことはできない。人から学べることは心技体のうち技術のみ。五神流の根幹とはすなわち自然。川や山、大地、木々の一本に至るまでお前の目で見たすべてが心に蓄積され根幹となる」


「自然が根幹になる……」


古来より武術家は自然からインスピレーションを得ていたとされてきた。蟷螂の構え、鶴の動きなど多くの動きを自然から得てきた。ではこの五神流の動きはどうか。ハザマの動きは大河を流れる水のようで、決して同じ動きはない。そして斬りつけるときの威圧は炎のように爆発的なものだった。そして風のような身のこなしは決してとらえることはできない。


「我流五神流……つまり人の数だけ五神流はあると?


「ああ。拙者であれば故郷の風景と神楽の音だ。お前は何だ」


「ベルゼハート団長との鍛錬と旅……」

ハザマは強くうなずいた。自分だけの五神流。たしかベルゼハート団長も言っていたな。「『学』は人の動きをまねること。繰り返しまねる『習』を重ね己で磨く『研』をしなければ意味がない」と。



「五神流、龍の舞。いざ参る」


ベルゼハート団長から学んだ剣技と、ハザマから習得した五神流を合わせた剣技。俺は大河を流れる水をイメージすることはできない。そして俺には自然をイメージする力がなかった。結果、ナリトカさんから中途半端だと言われてしまった。ならば今まで培ってきた団長との鍛錬の日々で補完すればいい。一歩は深く強く。そして殺す瞬間に次の標的に目を向ける。意識を一人に集中させず、一撃で殺す必要がある。


「五神流、龍の舞。バハムート、業火!」


ベルゼハートが12の龍装の一つ魔剣バハムートで見せた技を俺は模倣しようとした。魔剣バハムートの能力は「魔力開放」。剣に内包された魔力を開放し身体強化や、剣からエネルギーの束として放出することができた。俺の剣ムスカリも同じようなことができるんじゃないか?剣からビームとまではいかなくても、魔法を乗せた斬撃による広範囲攻撃を繰り出せばできるはずだ。炎が宿った刃を横一文字に薙ぎ払う。そうすると炎を宿した斬撃が周囲の敵を焼き焦がしていく。


「ガルシアス、ここは俺に任せてくれ!お前は早く場内に!」


「ああ、俺は俺の責務を全うする。死ぬなよゼフィス!」


死ぬ気はないさ。俺は剣を構え、一呼吸する。殺意に吞まれず自分のやるべきことを全うする。今はこの兵士たちを殺し、戦争を終結させる。これ以上俺のような人たちをふやさないために。少しでも平和につながるために。腰のポケットから石を一つ取り出す。ムスカリの柄で強くたたき、アラクレで事象を固定する。


「石破煙幕弾」


石を投擲し、空中で事象を解除する。固定された自称が発動し、石が大小さまざまな破片となり、敵兵の目をつぶしていく。ナリトカさんが観たら怒りそうな戦法だ。だが俺にはまだ多勢を相手できる力はない。ならば怯んだところを刈り取る。それが最善の策といえるだろう。ひるんだ敵を一撃で殺せるように首を狙っていく。遺体を蹴り、複数の人間を巻き込んでひるませる。人の遺体は意外と重い。そのため障害物としてはちょうどいい。


「おまえら、死後の世界にいるお前たちが殺した人たちに謝ってこい」


荒塊のヒートソードを展開し、2本の刃で敵戦力を減らしていく。やはり敵は魔族ということもあり、刃が通らなかったり、魔法の効き目が薄かったりした。そのためムスカリに魔法を宿して斬ったり、アラクレで斬撃の事象を止めて魔法と一緒に繰り出したりと工夫を凝らした。今までであればこの戦法を試すだけでも精いっぱいだった。だがしかしハザマとの鍛錬の日々がこの動きを難なく行う力を与えてくれていた。しかし違和感が2つあった。魔法を使うたびに胸のあたりが痛むことと、目に映る敵の残像だ。この戦争以上に魔法を使ったことはなかった。今まで胸が痛んだことはなかった。だが今回は波打つように胸が痛むんだ。今までの戦いと違う点があるとすれば阿呆を使った回数だろう。もうエネルギーパックを3箱使い切ってしまい、残りあと2箱。もしや魔法をたくさん使うことがこの胸の痛みにつながっているのではないか。本物はまだ後ろにいるはずなのに残像が目の前まで迫ってきている。ハザマと戦った夜や、ヤテベオと戦った時もなったがなんなんだこの違和感は。残像の通りに敵は動く。ならばこの違和感に身を任せるのも悪くはない!残像の通りに身体を動かす。ハザマの時は3方向に残像が分かれることはあったが、この兵士たちはただ一方向に残像が伸びている。残像の動く通りに攻撃のリズムを合わせる。その残像通りに動く敵兵士たち。予測のようで少し慣れないが、敵への対処が楽になった。味方も前線を続けている。これなら押し切れる!


『敵、補足!敵、補足!』


奥のほうから聞こえる電子音声。まさかこのタイミングでタイタンの登場か!だが明らかに見た目が違う。ホバーユニットに5本のカギ爪のついた腕。下半身を切り取ったような見た目は今まで見たことのないほど異形だった。両手の手のひらをこちら側に向ける。そしてエネルギーが収束していた。まずいこのままじゃ焼かれる!


「みんな逃げろー!」


しかし遅かった。収束したエネルギーが射出され、両翼の兵士たちが焼かれていった。圧倒的火力……タイタンは実弾重視の攻撃だった。だがこいつはどうだ。エネルギー兵器を積んだロボット兵器。おそらくあれは魔法の攻撃だろう。腰からはマシンガンを展開し、目の前にいる兵士たちに掃射する。魔力防壁でどうにかなる攻撃だ。だがその奥で準備されたエネルギー兵器を見た瞬間魔力防壁を解除し、回避行動をとった。焼き尽くされていく兵士たち。奴の存在はイレギュラーだ。


「全員撤退してください。ここは俺が……」


手が震える。あの攻撃は多勢の敵を一機で相手するための兵器。そしてあのロボットにはそんな兵器をたくさん積んでいる決戦兵器。もしあいつを倒せるならそれは人間じゃあない。


「しかし、こいつをやらなきゃ押し切られて全滅だ」


無線機に通信が入る。


『あー、あー聞こえるゼフィス?拙者拙者ハザマさんだぞー』


「ハザマか!頼む早く合流してくれ。強化型のタイタンが!」


『強化型のタイタンね。よし、ゼフィスや、レッツゴージャイアントキリング!』


何を言い出すと思えばジャイアントキリングだ!?俺がこいつを倒すだと。


「無理無理無理!勝てない!」


『切ってもないのに諦めんじゃねえ。おまえは目的をそんな鉄屑に踏みつぶされてもいいのか!』


目的を踏みつぶされる……?俺が今諦めれば目的を果たせなくなる。こいつから逃げればみんな死ぬ。この戦争も負ける。負ければティルナシアをティファーナに送る約束を果たせなくなる。ならばやることは一つ。


「ここで引くわけにはいかない。引けば何もかもなくなってしまう!だから……レッツゴーキリング!」


正眼の構えを取り、観察する。兵士たちは撤退を完了している。ここにいるのは数十人の敵兵とタイタンのみ。敵兵たちはタイタンの前に出ようとしない。この状況はタイタンと俺の一対一。勝算はある!タイタンとこの強化型の違いは武器や全体の見た目だけではない。背中に積まれた円柱状のタンク。あれが違和感を醸し出しているのだ。全体的にハニカム構造を取り入れた装甲だが、背負っているタンクはドラム缶のような形状は明らかに変だ。つまりあれは後付けのタンクということになる。もしあれがエネルギータンクだとするならば、あいつを破壊すればタイタンは停止する。しかし魔術防壁がどれだけ硬いのか。これまでの戦法が通じない。考えろ。どうすれば勝てる。エネルギーパックは残り2箱。いや、訂正しよう。やることは変わらないか。タイタンの魔術防壁を破壊した時のように俺の全身全霊で破るしかないのだ。両肩から発射される6発のミサイル。誘導弾か。チャフも壁もない。ならば敵陣に紛れてやり過ごすのが得策か!肩を見るとミサイルを発射した後に大量の水と水蒸気が出てくる。ミサイルを発射する際に発生した衝撃波を水で緩和するってやつか。一回一回の発射に反動やエネルギーを収束させるプロセスが入る。ならばそのプロセスの瞬間に攻撃を仕掛けるのがいい。ミサイルは敵兵士に当たり次々と爆発していく。強化タイタンのエネルギー砲。おそらくあれを打つ時のプロセスは手にエネルギーを収束させるプロセスと、そのほかにあるはずだ。まずは一振り与えてみるとしよう。大型炎魔法《ファストライヤーを乗せたムスカリによる一撃。予想通り防壁に阻まれてしまう。近づいた俺にカギ爪で振り払いに来る。後ろへ下がり、別の策を練る。手に収束されたエネルギー掃射。残像のおかげである程度は回避できた。そして発見が一つ。奴はエネルギー砲を打つ際、防壁が消えるような感覚があった。つまりエネルギー砲を打った時が欠点か!


「五神流、龍の舞。シュガール、流星の稲妻!」


身体強化の魔法でタイタンの周りを走っていく。マシンガンは防壁を張り対処し、ミサイルは近づけば発射できない。奴がとるべき行動は一つ。エネルギー砲の掃射。腕を広げ、高速で回りだすタイタン。収束したエネルギーは360度全体に掃射されていく。まずい、これは予想外だった。前方に防壁を集中させるしかない!防壁は崩れていく。エネルギー砲に焼かれる両手が動けるか確認する。もうアラクレは使えない。けど魔法が使えなければ奴を壊すことができない。昔あった魔族に言われた言葉を思い出した。


「貴様らはそのおもちゃなくして対等になれない」


と。言われてみればそうだ。幻式なくして魔法は使えない。痛む胸を抑え、立ち上がる。タイタンを見つめるほどに胸の痛みが強くなっていく。両手を肩まで上げ、マシンガンを構える。そしてミサイルの発射口を開ける。まさか一斉掃射!?このタイミングはまずい。動け、動け俺の足。死にたくないんだ。ここで死ねないんだ。動け動…。何が起きているんだ。わからない。けど今起こっているのは俺の意識関係なく迫りくる攻撃から逃げていることだ。バク宙し、手をタイタンに向ける。


『サンダー』


心のうちから聞こえる声。その言葉に反応してか両手から雷が発生し、タイタンに一直線に向かっていく。そして次の動作に映る。


『ファイヤー』


タイタンの体が燃えている。何が起きているんだ。俺の体の中に魔力が残っているはずがない。魔力があれば荒塊が停止するはずがない。魔法を使うたびに胸が痛む。俺の体に何が起きているんだ。タイタンは先ほどの恐ろしさがなくなり、ボロボロになっていた。そして最後の一撃を繰り出そうと腰から銃口のようなものが出てくる。俺の体は勝手に銃口を指さした。


『フリーズ』


銃口に氷が張る。そして射出されるエネルギーを妨害し、内側から爆発していった。何が起きたんだ。俺の体が勝手に動いて、魔法が謎の声に反応して発動した。


『これでいいか?小僧』


「お前は誰だ!どこにいるんだ!」


『お前のなかだよ』


声が少しづつ大きくなっていく。


「お前は何故俺の中にいるんだ!」


『知らん。なぜ我がここにいるのか。我は何者なのか。目覚めた理由はただ一つ。謎の力に触れたからだ』


「謎の力?」


「お前の体を乗っ取らせてもらうぞ」


意識が少しづつ薄くなっていく。まるで押し入れの中にしまわれるように。暗く、何もない空間に押し詰められていくように。やめろ……やめてくれ!


「あれー?もうみんな死んじゃってるじゃん」


「そうですねえ。あ、見てくださいエリュニス。あそこに人が!」


立っている男は全身に血を浴びて立ちすくんでいた。


「あの人がやったのかなあ。おーい!そこの血だるまー!」


「血だるま?それは我のことか?われの名は……である」


エリュニス達にはあの男の声が聞き取れなかった。聞こえない声量ではなかった。しかし異形な存在であることだけは確かだった。


「アーレス、あいつ殺そうよ」


「同意見ですが私はパスで」


血によって顔が見えない。だが強いものであることをエリュニスは気づいていた。幻式を起動させ、真っ直ぐ走っていく。両腕につけた幻式で一発殴る。頬にクリーンヒットする。しかし、全く動かない。それどころかこの男に攻撃が聞いていないのだ。


「小娘、我を殴ったのか?その子手で」


「そうよ。私はエリュニス。あんたみたいなやつと戦いたかったの!」


「戦う……我にはやりたいことがあるのだ。小娘の相手などしている場合ではない」


癇に障ったのかエリュニスは幻式を開放する。第2世代型幻式『衝動』は拳に圧力や衝撃を与え、相手を破壊する幻式だ。一発一発の攻撃が骨を砕く一撃だった。しかし男に通じることはなかった。攻撃の手を緩めることはなかった。


「おいおい、人間はこんなに非力だったか。それとも小娘の腹の中にいる者は目覚めていないのか……まあいい。貴様も面白そうだ。そこの小僧、こいつを抱えてはようここから失せろ。ブラッド……」


片腕には男の腰に差した剣や、周りに転がる魔石が液体となって集まる。そして液体はエリュニスの首を絞めた。


「ぐ…苦しい…助け…。…!あなたその顔!」


エリュニスは目を光らせた。見たことのある顔に、特徴的な混じりけのない真っ白な髪。液体を衝動の力で吹き飛ばし、手を広げた。エリュニスの頭に広がった靄のかかった花畑。その花畑に立つ男と同じ白髪の少年がいた。


「どこかで見たことのあるその顔!その髪の毛!まさかあなたは私の運命の人!」


「運命?何を言っているんだ貴様は。いや待て。その顔、どこかで……この男の記憶の断片に似たような奴が…」


男は液体を体の近くに集める。なれ合い体をさするように首を掻き、考え込む。


「まあいい。お前らは去れ。化け物をはらみし者よ」


「そうさせてもらいまーす!」


「ちょ、アーレス!まだ終わってないんですけど!」


「黙ってらっしゃい!あんな化け物に勝てるわけないでしょ!」


アーレスはエリュニスを担ぎ去っていく。それを確認した男は、静かに笑った。


「人は漂白されても変わらぬようだな。まあいい。この黒い魔法を出したもののところへ行くとしようか」


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