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座敷わらしとの出会い

どもども! 物語もあと半分を切ってどこか寂しさがあるサトマロです

今回は遂に座敷わらしとご対面!

それではお楽しみください!

その日は大空に灰色の雲がかかり、強めの雨が激しい音を立てて降っていた。


 信夫は傘を忘れて散歩に出掛けてしまった為、里芋の葉っぱを傘代わりにして雨をしのいでいた。


 「ちゃんと言うこと聞いて傘持ってくるんだったなぁ……」


 肩を濡らして歩く信夫を牛カエルが嘲笑うかのように鳴く。信夫は葉っぱの傘を差すのがバカらしくなった。雨を待ち望む動物や草木、東京での雨は気持ちを暗くする。正直マラソンの日以外は降らないで欲しいと思っていた、しかし宮城の雨は気持ちが暗くなるどころか風流で音や匂いをいつまでも楽しみたくなる。


 信夫は葉っぱの傘を地面にそっと置き、雨に打たれてみる。するとどうだろう、冷たい雨水が汗と共に体から流れ落ちる。緑豊かな宮城の新鮮な空気が雨でさらに新鮮になったと言うのだろうか、ふかーく深呼吸をすると肺に爽やかな空気が流れ込むのがしっかりと解った。


 「雨って結構いいな」


 そんなことを言っていると前方から千尋が傘を持って歩いてくる。


 「あんたバカね、師匠に傘持って行けって言われたでしょ?」


 言い訳も思い付かない信夫


 「すみません」


 としか言えなかった。


 「はい、傘持ってきたから」


 傘を開くと勢いよく受け骨が折れてしまう……


 二人で分け合う傘、信夫の理想は女性側が男性の肩を濡れている事に気付き、傘を男性側に押し戻す、そして男性もそれを繰り返す恋愛のお決まりの様な事。


しかし現実は……


 「何でこの傘所々破れてるんですか」


 「これしか無かったんだよ、破れてないやつ渡してあげようとしてあげたんだから文句言わないでよ」


 互いが少しでも雨に濡れないように相手を押し退けてでも傘に収まろうとする。


 自宅に戻り、シャワーを浴びて温まる、その時、時計は11時を刺していた。


 香ばしい香りが廊下に漂う、信夫が食堂に行くと祖母が焼鮭を焼いていた。


 「もうすぐお昼出来るからじいさん呼んできて」


 信夫は「わかった」と、返事をして祖父の部屋に向かう。


 「おじいちゃーん、ご飯」


 祖父の姿は無かった。トイレにでも行ったのだろうか、そんなことを考えながら部屋を出ると祖父の部屋の隣に一つのドアがあることに気がついた。


 「こんな部屋あったかなぁ」


 信夫は溢れる好奇心を止めることが出来なかった。その部屋はホコリ一つ無くて他のどの部屋より掃除が行き届いていた。


 手作りの本棚には色褪せて茶色くなった無数の本、そして机には木製組み立て式の飛行機、そして所々破けて継ぎはぎがしてあるぬいぐるみ。この部屋は一体誰の部屋だろう…… そんなことを思っていると一冊のアルバムが目に写る。開くととても仲が良さそうな幼い男の子と女の子二人が写っている白黒であろう変色した写真、その二人の写真はアルバムの七割を占めており、他の三割は家族写真らしき物だった。


 「この着物……」


 その女の子の着物は以前夜中に祖父の部屋の前で鞠付き(まりつき)をしていた子供の着物と同じ物だった。


 「信夫や」


 「うわ!?」


 そこには祖父が居た。祖父にこの写真の二人は誰なのかを聞くと


 「これがワシ、そしてその女の子は幸子ちゃん、ワシの幼なじみじゃよ、5歳の時に一家心中してしまったがの」


 信夫はゾッとした。しかし幸子ちゃんを見たと言うことは何故か祖父には話さなかった。

 

 そして夜中、怪奇現象は三度(みたび)起こる。 廊下を走る足音、またまた本棚から落ちるよいこの妖怪図鑑、流石に慣れてきた信夫は気にせず目を瞑り、眠りに着こうとする、すると次の瞬間


 「ヴッ!?」


 何かが腹を踏みつける、千尋の部屋に急いだがやはり閉め出される、信夫は一つの決意をする。


 「戦おう、生死をかけて」


 ホウキを持って身構える信夫、すると女の子の歌い声が聞こえてくる……


 「かーごめかーごめー」


 信夫は歌い声のする方に歩き出す。すると祖父の部屋の前でちょこんと座ってキモチ良さそうに歌っている女の子。


 「やっぱり写真の子と同じだ……」


 その言葉が聞こえたのだろうか、女の子と目が合う信夫、その目はどこか寂しそうで、どこか嬉しそうで……


 「こんばんわ」


 と、女の子が話しかけてくる。


 「こ、こんばんわ」


 と、信夫も返す。


 「さ、幸子ちゃんかな?おじいちゃんの幼なじみの」


 「そうだよ、しのぶくん」


 信夫は幸子ちゃんに何をしているのかと訪ねると


 「昔一緒に歌っていた歌を歌っているの」


 と、恐怖は感じない、信夫は幸子ちゃんを部屋に招く。


 「なんか食う?」


 その言葉を聞いた幸子ちゃんは嬉しそうに


 「うん!」


 と、二文字返事、信夫は自宅から持ってきたカロリーメイトのビニールを破って中身を渡す。


 「今のお菓子ってこんななんだぁ」


 「お菓子じゃ無いんだけど…… まあいいや」


 カロリーメイトを平らげると幸子ちゃんは


 「ごちそうさまでした! 美味しかった!」


 満足そうな笑顔を見た信夫も自然と笑顔が溢れていた。


 「そう言えばさっきの歌、あれなんて歌?」


 「かごめかごめだよ」


 聞いたことはあるが良くは知らない、しかし今流行りのボーカロイドやJポップ等の曲とは正反対の曲だ。すると幸子ちゃんが


 「かーごめかーごめ」


 と、歌い出す、聞いていると懐かしい様な感情が出てくる。歌い終わった幸子ちゃんが


 「最近はどんな歌があるの?」


 「俺が好きなのはボーカロイド系かな」


 頭から大きな?マークを浮かべる幸子ちゃん、試しに聞かせてみよう、スマートフォンでお気に入りのボカロ曲を流す


 「何これ、変な曲と声」


 そう言いつつも興味津々に聞いている。


 「これが最近の流行りさ」


 そして時計の針が朝の4時を刺す頃、幸子ちゃんは


 「もう隠れる時間だ」


 と、言うと体が透け始める。そして幸子ちゃんの体が見えなくなると同時に空が明るくなり始めた。

座敷わらしの絵って怖くないですか?なんか不気味というか…… でも幸運を呼び寄せるらしいから興味はある……

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