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夏が呼び寄せた友達

どもども! 昼間の風呂場で熱中症になりかけたサトマロです!

さあ今回は夏休み最初の友人ができます!

そして夜には千尋さんが!?

お楽しみください!

一晩で何事も無かったかのように風邪は綺麗さっぱり治っていた。しかし夜中のあの怪奇現象は何だったのか…… 近くに墓地でもあるのか…… そんなことを考えながら朝食のキュウリの糠漬けを口に放り込む。すると祖父が


 「信夫、今日はひとつお使いを頼まれてくれないかな?」


 予定も特に決まっていなかったので信夫は快く引き受けることにした。行き先は少し離れた場所にあるお隣の田中さんの家、渡された袋に入っていたのは大量のキュウリ、どうやらお裾分けと言うことらしい。信夫は茶碗に残った米に熱いお茶をかけて早々と平らげる。


 玄関を開けると眠りから目覚めた太陽が光輝く。鳥がいそいそと餌を求めて飛び回り、まるで朝、スーパーマーケットに食材を買いに出かける主婦のよう。セミが騒がしく鳴くその音は朝登校する時の学生のやかましい話し声…… 


 「東京みたいな一面もあるんだな」


 いつもの見慣れた光景とは違うが何処か似ているそんなことを思いながら信夫は先へ進む。


 田中さん宅に着いたのは10時頃、挨拶を済ませた信夫はお茶を飲んでいけと、半ば強引に部屋に押し込まれる。


 「最近ねぇ、イノシシが矢島さんところの畑を荒らすって言うじゃない?」


 田中おばさんの話は1時間も続いた。お茶を飲み終えて帰ろうとするもおかわりを用意され、話が永遠に続く…… すると奥の部屋から


 「母ちゃん腹へった」


 と、昼食の時間を急かす様な言葉を吐く袖無し服の男の子が姿を表す。同い年ぐらいだろうか?そんなことを思っていた信夫に男の子は


 「お前誰?」


 と、少しきつめの口調で問いかけてくる。


 「な、夏休みの間だけ遊びに来た佐々木信夫です」


 少し緊張混じりの声で挨拶する信夫、男の子はニィ! と、笑顔になり


 「俺、正樹(まさき)よろしくな!」


 遠慮しながらも昼食をごちそうになった後、信夫は正樹に連れられて釣りに出掛けていた。

信夫は釣り餌の虫に軽く引いてしまうが正樹は代わりに釣り餌を慣れた手つきで取り付けてくれた。 


 正樹が少しバカにした様な口調でこう言う

 

 「都会っ子って本当に虫さわれないんだな」


 しかし東京の同級生のわざとらしい口調とは違う、悪気のない口調だった。


 「全部触れない訳じゃ無いよ」


 「よし! なら今度クワガタ捕まえに行こうぜ」


 信夫は正樹がその約束を一刻も早く忘れる事を祈るばかりだった。


 そして結局正樹が魚を三匹釣り上げて信夫は坊主だった。


 「お前釣りやったこと無いだろ、引いてても気づかないんだから」


 「5年近くやってなかったからだよ……」


 正木に笑われながら夕日に照らされる道を歩く、すると一台の軽トラが信夫たちの側に止まる。トラックから地元の猟友会の服を着た大男が


 「正木、友達か?」


 「そう、佐々木さんとこの孫、夏休みの間遊びに来たんだって」


 「こんにちわ、正木の父の武彦です、途中まで乗ってくかい?」


 正木の父親なら信頼して良いだろう、そう判断した信夫はトラックに乗り込み途中まで乗せてもらう。ただ不満があるとしたら……そのトラックは二人乗り、三人の内一人は大男、ぎゅうぎゅう詰めの車内に充満する男の汗の臭い、とてもじゃないが乗れたものではなかった。


 「黒飴舐めるかい?」


 「い、いただきます……」


 黒飴の優しい甘さは車内の男臭でかき消されて、まるで石を舐めているような舌触りしか感じられなかった。


 武彦さんは地元の猟師で、猟師既望の人達に向けた講義をしてきた帰りらしい。流石は猟師、ガレージキットの代わりと言わんばかりの猪の牙のキーホルダーが飾られている。


 「じゃあなー、今度山に行こうぜー」

 

 正樹とまた遊ぶ約束をして夜が訪れる、信夫が風呂に入っていると事件は起こった。


 「ふぅ…… 昨日は女性と水浴びをした、今日は友達が出来た、明日はどんな事が待っているんだろう」


 丁度良い湯加減に心も体も湯に同化しそうだった。しかし睡魔が突然襲ってくる、遊び疲れた体がその睡眠欲に耐える事など到底出来るはずも無く、信夫は自然と目を閉じてしまった。


 どれ程の時間が経ったのだろうか、目が覚めるとまだ湯に浸かっていた。のぼせてしまうと思い信夫は急いで湯から出ようとする、するとドアが開いて……


 「信夫君まだ入ってる? あたしも入りたいから脱いでる間に出ちゃって」


 信夫は焦りとトキメキを感じていた。たった一枚の扉の向こうで千尋、いや女性が服を脱いでいる、未経験の中学生にはとてもではないが耐えられる物ではなかった。


 「か、体が動かない……」


 信夫の体の体温が上がってくる、そして次の瞬間だった。


 「もう入るよー、良いのねー?」


 信夫は扉が開くのがとてもゆっくりに感じていた。そして遂に扉が完全に開かれた。千尋はあるものを目撃したのだった。それは鞘に収まった新品の剣、それを目撃した千尋は申し訳無さそうな笑顔を信夫に向けてゆっくりと退出していくのだった。

夏の風呂場って入る時はモワーッとして暑く感じるのにシャワーを浴びてると何故か涼しくなってくるんですよね。それでついつい長湯してのぼせると言いましょうか、軽い熱中症と言いましょうか。気分が悪くなってめまいがしてきてこれはヤバイと思いました。そう言うときは水分補給ですね。


ブックマークや感想、大変励みになっております! ありがとうございます! それでは次回に続きます!

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