表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

15歳と田舎とあの日の出会い

どもども! 前作から来てくださった方も始めてましての方もこんにちわ! サトマロです!

このご時世里帰りや旅行が難しく、休日は家で過ごすしかない、そんな方には自信を持ってオススメ出来る作品だと思います!

あなたは15歳の頃の夏を覚えていますか?少しでもあの頃の夏を思い出すきっかけになる小説になれたら幸いです

 8月、あの日の風は何処までも続くかの様な青空に浮かぶ入道雲が大きく息を吸い込み、まるで人里に向かってそれを吐き出しているかのような強く、爽やかな風だった。


 中学生最後の夏、佐々木信夫(ささきしのぶ)は約2週間の間、宮城の祖父母の家に一人で来ていた。


 自分しか客がいない電車は、例えるならばまるで自分を異世界への入り口へと導いているかの様、そんなことを妄想しながら信夫は駅弁を食べ、見慣れぬ景色を楽しむ。そんなことをしていると信夫が降りる駅への到着を知らせるアナウンスが流れる。


 「次はー大滝ー 次はー大滝ー」


 信夫は残っていた駅弁を素早く口へ掻き込み、到着した駅で迎えに来るはずの祖父の到着を待っていた。その大滝の町は辺りを見渡すと緑豊かな木々や草花、都会では決して味わうことの出来ない空気が流れているのを直ぐに感じることが出来た。信夫は大きく息を吸い込み深呼吸をする、肺に伝わる新鮮な空気、その空気を吸うだけでも日々の疲れが癒されていく……そんな気がした。


 「遅いな…… 駅間違えたかな?」


 駅に着いて30分ほど経った。さすがに遅くないか?そんな心配をしていると一人の女性がこちらへやってくる。


 「君、信夫君?」


 その女性は程よく日焼けをしていて来年には高校生になろうとしていた男子には程良く刺激の強い露出、そして甘い声だった。


 「は、はひ! 信夫です」


 声が裏返る、信夫はやってしまった、からかわれる、そう思いながら女性の方を見た


 「良かった…… 君のおじいちゃんの弟子の佐伯千尋(さえきちひろ)です、師匠はちょっと腰をやっちゃってね? 代わりに私が迎えに来ました!」


 信夫はこれは罠なのでは? と思った。小学校では知らない人に付いていくな、捕まったら大きな声を出せ、そう教えられて来たからだ。しかし綺麗な女性に捕まったらどうなるのか……  そんな甘い妄想をしてしまうともう止まらない。


 「もしかして…… 私疑われてる?」


 信夫は小さく頷くと千尋が携帯電話を取り出して電話帳を見せる、そこには祖父母の家の電話番号が記録されており、信夫は一安心した。


 「わかってもらえた?」


 「ま、まあ…… はい」


 千尋はニコッと微笑むと軽トラのドアを開けて信夫に入るように要求する。信夫は

 

 (女性と狭い空間で二人きり!?)


 と、興奮してしまう、そして早々とトラックに乗り込むと深呼吸するのであった。


 そして着いたのは山の奥にある小さな集落、何の木かは知らないが葉っぱを擦り合わせて音を鳴らして信夫を歓迎しているかの様だった。信夫は見慣れない大自然に興味津々で目をキラキラと輝かせていた。


 「そんなに珍しい?」


 佐伯の言葉に少々ビックリした信夫、なんと返そうか戸惑っていたが


 「都会では森とか本当に無いの?」


 と、質問を投げかける。


 「僕の住んでいる所ではないです」


 「そうなんだ、確か東京に住んでるんだよね? テレビとかでは東京には自然がないとか猛暑日とか言ってるけどそれってどこまでが本当なの?」


 話が弾んできた、そう思っていると時は金なりと言うべきか、祖父母の家に到着してしまう。少々、いやかなりがっかりしていた。


 「信夫ちゃん良く来たねぇ! まあ大きくなって! 何年ぶりだい?」


 「小学校の卒業式以来だから3年だね、久しぶり」


 祖母と孫の再開である、この家は祖父の親がキュウリ農家をしていて、その畑を祖父が引き継いだ、とても広い畑で祖父が育てたキュウリはたまに東京のスーパーマーケットでも見かけることがある。


 荷物を置いて腰を痛めた祖父に挨拶をしに行く、祖父の姿は以前見た時より少し痩せていて弱々しく見えた。


 「おお信夫、良く来たね、座りなさい」


 とても嬉しそうな優しい笑顔をして見せる祖父の側に座る信夫、座ったは良い物の何と声をかければ良いか…… 緊張を交えながら必死に考えていると


 「ほれ」


 と、祖父が封筒を渡す、その封筒には中学生の期待を裏切らない一枚の五千円札、思わず顔がにやけてしまう信夫だったが、すかさず


 「困るよ! 母さんにおこづかいは受けとるなって言われてるんだ」


 ほとんどの子供は親戚や祖父母の家に泊まりに来たとき必ず狙うものがある、おこづかいだ、しかしそれを貰うときには必ず遠慮をする、なぜなら親に言う口実をつけるためである。そしてこの言葉を待つ。


 「たまにしか会えないんだから、受け取っておくれ」


 そして信夫は困ったなぁと言う顔をしてお礼を言うと早々とそれを財布にしまう。そして孫からのお返しを狙う祖父、狙っている代物は肩たたき、または腰のマッサージである。信夫は「わかっていますよ」と言わんばかりに


 「おじいちゃん、マッサージしてあげる」


 と、言う。これが孫と祖父母のお決まりの駆け引きでは無いだろうか、そして夕方の6時、夕食はお決まりのカレーだった。しかしそこには千尋の姿もあり、信夫は困惑してしまう。


 「あ、良い忘れてたけど、私住み込みなんだ」


 信夫は舞い上がるような気持ちを何とか沈めようと努力するがすぐに千尋に見抜かれてしまうのだった。


 そして夜、家から持ってきたゲームをしながら時間を過ごす信夫、しかし千尋が首にタオルをかけて薄着で入ってくる。


 「お風呂入った?」

 

 中学生の未経験には刺激が強すぎた……


 「ま、ま、まあ入りました」


 自然と目線が千尋の胸に行ってしまう、すると千尋が近づいてきて


 「お、ゲームじゃん! どんなのやってんの?」


 信夫は何と言うゲームか、どのような内容か説明するが、すぐ隣の胸にしか目線は行っていなかった。


 「ちょっとやらせてよ!」


 ゲームを奪われてしまう信夫、しかし奪って欲しいのは違う物だった。何とは言わないが……


 いつの間にか寝てしまった…… 夜中に目が覚めた信夫、隣には同じように寝てしまった千尋、その美しい寝顔から目を放す事が出来ない信夫、しかし田舎の夜は冷える、突然尿意がやって来るのだ。


 廊下は真っ暗で今にもあやかしが出そう、そんな雰囲気、ホラーゲームでは味わえない冷えきった空気、風で軋む木の音、そして何かの足音、情けないと思いつつ千尋を起こしてトイレに着いてきて貰うのだった。


 布団に入り明日から何をしよう、どんな物も出合うのだろう、そんなことを考えながら眠りに着いた。

そう言えば皆さんは夏休み、どんなことをしていましたか?学生時代の私はゲームばかりしていました。

さて、今作は1日1回投稿を目指しております。

それでは最後までお付き合いしていただけたら幸いです!

そしてこの作品をより良いものにするため、良かった点や気になった点など、感想を書いていただけるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ