第78話 大戦争4
「バーガー、俺が前衛をやってやる。好きに攻めろ」
「頼む!」
クロスケは気合武装『黄金装甲』を完全なものにする、黄金大剣の装飾も一層派手やかなものになる。魔王まで最短距離で駆ける。
「お!?」
二人の間に割って現れたのは骸骨の魔人だ。クロスケの黄金大剣を杖で受け止めている。
「魔王様。今回は向こうも多勢です。私たちも微力ながら共に戦いたく……」
魔王は肩をすくめた。
「そうだな。あまり家臣に仕事をさせないのもよくない。ホネルトンよ、三騎士の相手をせよ」
「はっ!!!」
骸骨魔人のホネルトンは、クロスケを眼球のない空洞で見つめる。中には憎悪の宿った闇が赤黒く光っている。
「九大天王が一人。『骸骨』のホネルトン。参ります」
「おい骸骨野郎! 邪魔すンじゃねぇ!」
「ならば力づくで退かしてください。得意でしょう」
二人は鍔迫り合いから弾かれるように距離を取る。
「おいバーガー、俺はあの骨のあるやつを倒す」
「わかった。魔王は俺が、勇者である俺が倒す!」
その会話を聞いたホネルトンが訝しそうに言った。
「本当に……そのあなた、失礼ですが食品ですよね? ……勇者なのですか?」
「ハンバーガー舐めんな!」
俺は魔法を発動させた。
「『魂の実体化』」
スーの羊羹状前髪を使い俺の魂を実体化させる。筋肉の精霊が俺を包むように上半身のみ魔力生成される。魔王は目を広げた。
「ほう、それはスーの魔力を使っているのか。他者を挟むことにより魔力行使できるのだな」
魔王はそう言いながら何もせずに待ってくれている。王の余裕ってやつか。甘えさせてもらう! 俺はMソードを筋肉の精霊に持たせ、さらなる魔法を発動させた。
「『魔力強化』『究極化』」
それぞれ魔力草と、ロストエイジチーズの魔法だ。魔力でできている筋肉の精霊に魔力強化が掛かる、青い肌から赤い肌に変化する。さらに俺自身も究極化により身体能力が爆発的に強化される。それを見た魔王は言った。
「ただの鬼だな」
感想はそれだけらしい。
「鬼は怖いだろ」
「ふ、鬼でたじろぐものか。我は神ぞ。神の時代に鬼なんぞ幾度も滅ぼしたわ」
規格外の化物ってことはわかってるさ。
「ふむ、それで終わりか?」
「なんだと」
「まだ強化が残っているだろ。まさかそれで我と戦おうなどと思っているのか?」
「あいにくこんな体なもんでね。できる限り盛り合わせてみたんだが不服か?」
「それすら分からぬか」
「やってみるさ。俺は勇者なんだ、みんな!」
俺は背後に呼びかける。アイナとジゼルに連携を仕掛ける指示を出す。返事が帰ってこない。
「どうした? 振り向いて確認したらどうだ」
俺は魔王から視線を外すことが出来ずにいる。少しでも気を抜こうものならその隙に残飯にされるかもしれない。魔王から放たれる危険な雰囲気が俺を釘付けにさせる。
「不意打ちなど我がすると思うのか。まあよい。それも仕方の無いことだ。アリス」
「はい。魔王様」
俺の横を優雅に歩いて現れたのはとても美しい女性だ。しかし俺の後ろにいたのは俺の仲間たちだったはずだ。
「お前の仲間たちの相手はこのアリスだ」
そう言われたアリスという女性は恭しく礼をした。
「九大天王が一人。『無限』のアリスですわ」
「俺の仲間たちをどうした!!」
「ふふ、後ろを振り向いて確認することも出来ないなんて無様ですわね」
アリスは俺の反応を楽しむようにしてから続けた。
「勇者パーティは私の無限結界の中にいるわ」
「なに!?」
結界だと、あのワッパーが使ったような技か、それを使って気付かれずに俺たちを分断したというのか。
「それでは魔王様、私はあの娘たちを始末してきます」
「うむ」
アリスが去るのを俺は見過ごすしかなかった。
「そう睨むな勇者バーガーよ。これは戦争、殺し合いだ。そしてここは我の領土であり、お主は侵入してきた敵なのだ。さあ、来るがいい。そろそろ我々も始めようではないか」
俺は跳ねた。究極化により俺の身体能力は超向上している。弾丸よりも速く魔王に突進する。早く倒してみんなを助けるんだ!
そんな俺を魔王は素手で止める。
「愚直」
「まだだ! 筋肉の精霊!」
「うおおーーッ!!」
Mソードを魔王に叩きつける。魔王はそれを指の隙間に挟んで止める。微動打にしない。魔王はMソードをマジマジと見つめる。
「これが伝説の剣か」
「くっ! 『勇者斬』」
Mソードが超密度エネルギーを放射する。直撃だ。
これならーー
「ふむ。なるほど、中々の威力だ」
「なに!?」
「驚くことではない。我の方が魔力密度が高かった。それだけのことだ」
「なら! 『時間終了』」
時が止まる。この数秒で魔王に一撃をーー
「時間操作系魔法なぞ効くとでも思っているのか?」
当たり前のように動いてる!?
「終わりか? 手の内全てを出し切ったか?」
「う、うおおおお!!!!」
筋肉の精霊が我武者羅にMソードを振るう。今度は受けも避けもしない。
「わかったか?」
「……くそ」
動いていない相手を、このMソードで何度も斬りつけた、なのに無傷だなんて。
「諦めて滅びよ」
「そういうわけにはいかないな」
「クゥ!」
現れたのは三騎士のクゥだ。クゥはゆっくりとした足取りで俺たちのところに来た。
「遅かったじゃないか!」
「お前たちがせっかちなだけだ。そうだろグレイブ」
さらにグレイブも入室。体からは湯気が出ている。
「ああ!! クロスケ!! なんで待たないんだ!! イライラするぞ!!」
「うるせぇな!」
「よそ見は禁物ですよ」
「けっ!!」
クロスケとホネルトンは玉座の間の中を所狭しと戦っている、超高速戦闘の真っ最中だ。クゥはすでに抜刀している。
「手薄すぎる。いくらネスが神クラスといえ、神々の誓約があることを忘れたか?」
「ふん。人族が言い出したルールとやらはややこしくて困る」
「クゥ、頼みがある」
「なにかな」
「これは完璧な私情、いやパン情だ」
「なら言うな、と言いたいな」
「わかってる。でもだ、俺が勇者であり続けるためにはアイナたちが必要なんだ」
「……どうやらアリスの無限結界に掛かったようだな。仕方あるまい。勇者がいなければ魔王は討てないというしな」
「すまない」
「謝るな、礼を言え」
「ありがとう」
「気にするな。グレイブ、ここは任せた」
クゥは踵を返す。空間を裂いてその中に消えた。魔王が反応した。
「理解に苦しむな人間。絶対強者を前にして、戦力を割くというのか? 」
「それが人間だ」
「お主はハンバーガーであろう」
「心は人だ」
「まあよいだろう、我としては些か不服ではあるが」
魔王が構える。
「少しもんでやるとするか」
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闇の渦巻く空間に私とアイナだけがいる。
「こ、ここは? バーガー様!!」
「慌てない。私たちは結界の中にいる」
ここで冷静さをかいてしまえば敵の思うつぼだ。あの一瞬で敵は私たちを分断。私は冷静にそう分析。
「ふふふ。うふふふ」
妖艶な笑みを浮かべて『無限』のアリスは現れた。
「お前は。アリス」
「こんなこともあるのね。あの時の子供が……今も子供だけれど、私の前に二度も立つなんてね」
状況が飲み込めないアイナも、敵を前にして戦闘に向けて意識をシフトしている。鋭い眼光をアリスに向けている。これなら戦える。
「あの人のことを知っているんですか?」
「あれは九大天王『無限』のアリス。あの女に故郷を襲われた」
「あれ呼ばわりなんて、品がないのね」
「ここから出して」
「それは出来ないわ。魔王様が勇者を殺すまで、いえ、貴女たちは死ぬまでここにいてもらうわ」
戦わないでここに閉じこめておくつもりか。脱出方法を知らない者の優先順位は低い。バーガーは孤立している。アリスまで向こうの戦闘に加われば勝機が無くなる。
「バーガー様が危ない! 早く出ないと!」
「落ち着いて。ここでアリスを倒す」
「で、ですが、バーガー様のところに行かないと!!」
「この魔女をバーガーのところに行かせたら負け。逃がしては行けない」
「う、うぅ」
アイナは迷っている。しかし出られない上に、アリスに行かれてしまえばどうしようも無くなる。決めたようだ。決断が早い。
「貴女を倒して、ここを出ます!!」
「うふふふ。正直なところね。少し味見しておきたかったの」
私とアイナだけでも連携は取れる。アイナが前衛で私が後衛だ。
アリスは私たちの準備が終わるのを待っている。強者の余裕というものだろう。こちらの陣形が整うと手を叩き技能を発動させた。
「そろそろ始めましょう『黒舞踏会』」
アリスの服が黒く染まる。服に高密度の糸状魔力を縫い込ませていくりドレスが絹よりもしなやかで鎧よりも頑丈な防具に様変わりする。両手にはそれぞれ漆黒鉄線が魔力生成される。昔見た時は魔力が上昇したことしかわからなかった。今ならどうなっているかがよくわかる。私は自分の成長を実感する。アイナに強化魔法を掛けた。
「君に幸あれ」
アイナの体が数秒光る。
「これは……」
「サイコン村でバーガーに掛けたものと同じ全能力上昇魔法」
「力が漲りますっ!!」
そのままの勢いでアイナは弓を構える。そして迷いなく射る。全部で6本。正面に2本。左右に2本ずつだ。横に射った矢もアリスに向かって起動を変える。魔法矢だ。射終わると同時にアイナは武器を細剣に切り替えて走り出す。
「ちょこざいですわね」
アリスは舞うように鉄扇で矢を弾く。アイナが細剣を突き出す。
「ふっ!」
鉄扇をクロスさせて受ける。金属どうしが衝突する音が響き火花が散る。私の番だ。
「再利用念動力」
魔力で弾かれた矢を浮かせて再発射する。
アリスは鍔迫り合いをやめて跳躍回避する。アイナは相手との距離を取ったとたんに弓に切り替えて矢を番え射る。その数5本。アリスは空中にいながらも体を回転させ鉄扇で弾く。アイナは着地地点目掛けてさらに矢を射る。それすら弾いたアリスは無傷で着地する。
しかし二人のコンビネーションによって発生した僅かな着地の隙をアイナは見逃さない。
「はぁっ!!」
細剣の鋭い突き。鉄扇を弾き飛ばした。鉄扇はカラカラと地面をスライド。消滅する。
「ふうん。中々のコンビネーションね。勇者パーティが全員揃っていたら危なかったかもしれないわね」
そう言いつつ。鉄扇を魔力生成して補充する。
「これなら」
いける。とアイナが呟く。しかし私は知っている。アリスの恐ろしさを。
「アリスの『黒舞踏会』は終わってない」
「え」
「そうですわ。舞踏会ですもの」
周囲の床から染みでるように影の水たまりが発生する。影の中から影人間が這い出してきた。
「一体一体はBクラスの雑魚。でも数が多い。気をつけて」
「はい!」
「周りの雑魚は私が相手をする。アイナはアリスを攻め続けて」
「はい!」
アイナが駆け出す。影人間はアイナを狙う。私は魔法を唱えた。
「連鎖爆裂!」
渦巻く火の玉が影人間にヒット。爆発する。それだけではない。この魔法は対象の魔力を取り込みさらに同種の火の玉を撒き散らす。連鎖式に爆発して周囲に広がっていく。
影人間はいくら倒してもキリがない。あの影の水たまりを破壊しないと無限にわいてくる。
「雹槍」
天候を整えていないため多めに魔力を消費するがそんなことは言ってられない。空から雹の槍を降らせる。槍が影人間を裂き。影の水たまりを串刺しにしていく。しかしその全てを破壊するまでには至らない。
アイナはアリスと剣戟を繰り広げている。
「貴女、エルフでしょう?」
「はい!」
「エルフ族は手先は器用だけれど力は大したことない種族のはず、どこにそんな力を隠しているのかしら?」
アリスはバックステップで距離を取る。
「貴女たちの奮闘もここまでね」
アイナは逃さないと迫ろうとするが間に影人間が割って入る。
「昔見せたものよりも召喚箇所が多いでしょう? ここは無限結界、私のお腹の中、最も力を発揮できる場所なのよ」
無限に続く闇の中から無数の影人間が現れる。
「私が手をくださずとも、貴女たちはこの子たちに八つ裂きにされて死ぬのよ。さあ、やりなさい、できるだけ惨たらしく凄惨な感じで」
アリスが話し終わると一斉に影人間が津波のように襲いかかってくる。捌ききれない。
「聖光」
影人間たちが光を浴びて消滅する。
「誰!?」
私たちの背後から誰かが現れた。後光を浴びていてよく見えない。
「どうやら間に合ったようだな」
「貴女は三騎士の……」
「クゥ様!」
アイナが呼ぶとクゥ様はこちらを向く。鎧越しだが視線のようなものを感じる。
「お前たちはそこで楽にしているといい。いま片付ける」
「舐められたものですわね」
アリスを無視して続ける。
「いつも教えていたばかりだったからな。たまには私も戦えると言うところを見せておこう」
「こっちを見なさい」
「五月蝿いな。この結界に侵入された時点で力量の差は明白だ。それに気づかないお前ではないだろう」
「結界一つ破られたからと言って負けを認めるほど私のカードは少なくないわ」
「ならばよし。戦って死ぬといい。醜悪な魔女よ」
「醜悪ですって」
「ああ。いくら見た目を見繕ったところで内面は変えられん。お前の中で練られている禍々しい醜い魔力を見れば一目瞭然だ」
「言うじゃない! 人間風情が!」
「そうだな。人を捨てたお前は人に討たれるべきだ」
クゥ様は月白の剣を片手で構える。アリスはバックステップする。そして床に手を当て魔法を発動させる。
「無限兵団」
床から無数の兵士が現れる。それぞれ役割ごとに装備も違えば手に握る武器も違う。さらに全てに魔法加工が施されている。
「無限に湧き出る兵に絶望しなさい」
「ふむ。さりげなくアイナたちも狙っているな。意地汚いお前らしい汚い戦法だ」
「……やりなさい! 無限兵団」
アリスの声を皮切りに兵隊たちが一斉に襲い掛かる。私も援護をーー
「その必要は無い。私は楽にしていろと言ったのだ。それ以上の消耗は許さん」
心を読まれた?
「読めるわけではない。ただの第六感だ、さて、あれを使うか」
クゥ様は無造作に手を横に出す。肘から先がそこだけ切り取られたように消える。実際はそんなことは無く空間に手を入れているのだ。クゥ様は空間操作が出来る特異体質を持っている。腕を抜く。その手には魔法巻物が握られている。
「光騎兵召喚」
魔法巻物が眩い光を放つ。召喚されたのは光の魔力で出来た騎士と騎馬だ。
「光騎兵」
クゥの呼びかけに光騎兵は呼応する。太い光の槍を掲げる。槍先に光が集中する。
「|夜の終わりを知らせる光」
あれは失われた魔法。光の波動が無限兵団を襲う。
「この光の波動は悪しき者のみを拘束する。当然お前もだ『無限』のアリス」
「くっ!! うう!!」
アリスが苦悶の表情を浮かべる。初めて見る表情だ。
「この魔法の影響下、光に照らされているうちは動けない」
クゥはツカツカとアリスの元にまで歩いていく。トドメを指すつもりだ。クゥ様が剣を持ち上げる。アリスはそれを睨みつけることしか出来ない。
「待ちなさい!!」
甲高い少女の声と同時に植物の蔓がクゥ様を覆う。アリスが驚いた声を上げた。
「メアリー!?」
「助太刀に来ました!」
「来ては、ダメよ、メアリー」
現れたのは植物系の魔物の子だ。メアリーと呼ばれたその子はアリスの前に立つとクゥ様を睨みつける。
「アリス様はもう戦えないわ! だから私が相手よ!」
「この光の元で動けるということは悪しき心を持たぬということ。純粋無垢な、はたまた悪が正しいと心の底から信じている者、か。どれにしても危険分子だ」
クゥ様の視線はメアリーに移っている。
「やめなさい!! 私が相手でしょう!?」
「お前以上の危険分子を見逃すわけがないだろう」
振り下ろされた月白の剣をメアリーは樹木を召喚して防御する。しかしその防御は防御になっていない。紙のように容易く切断された。剣圧でメアリーはアリスにぶつかる。小さく悲鳴をあげた。
「アリス様、ごめんなさい」
「私のことはいいから逃げなさい」
「それだけは、聞けません!」
その間にもクゥ様は詰め寄る。メアリーが怒鳴った。
「やるじゃない!」
「人類最強だからな」
クゥ様は肩を竦め、剣を構える。
「遊びは終わりだ。バーガーが待っている。グレイブがついていようと魔王は強大だからな。私がいってやらねばならん」
「ギア……」
「ん?」
「ギア! 助けなさいよ!」
メアリーは空を睨み叫ぶ。ギア、絶者と同名の名だ。
「ギア! アリス様が殺されちゃうわ! 助けて!」
静寂なる時の中でメアリーの叫びは虚しく響いた。メアリーの顔が青ざめていく。
「まさか、見捨てる気、仲間でしょ……?」
返答はない。見ているのかも怪しいくらいだ。
「ギア! そんな薄情者だったの!? そんなに仕事が大事!?」
「もういいの。ギアには勇者を殺す大義があるのよ、邪魔をしてはいけないわ」
「よくないです! ギアなら助けられるのに! こんなやつになんか負けないのに! きゃあ!」
話の間もクゥ様は問答無用で斬撃を繰り出す。メアリーを庇ったアリスは片腕を切断される。
「アリス様!」
「ほう。メアリーの影に入っている間に少しは動けるようになったか」
「……好きにできるのはここまでよ!」
しかしアリスは再び光に晒され硬直する。
「貴女を本当に愛していたわ」
空間に穴が開く。メアリーを吸い込む。
「嫌だ! アリス様! 助けられないのであれば、せめて一緒に!」
アリスは優しく微笑む。メアリーは空間の中に消えた。
「一時しのぎだ。私から逃げられはしない」
「どうかしらね時間稼ぎくらいは……カハッ!?」
アリスの胴体が切り裂かれ分断される。クゥ様は何もしていない。
「終わりだ。光騎士の放つ光は光量を上げればそのまま悪を切り裂く刃にもなる」
クゥ様は私たちに向き直る。
「行くぞ、急げ」
「待ちなさい! まだ終わってないわ!」
アリスは上半身のみでも戦おうとする。それをクゥ様は見向きもしない。
「私が終わりと言ったら終わりだ。光騎士」
「ぐぎゃ!!」
アリスの体が切り刻まれる。無限兵団が消滅していく。
「本体がやられれば能力も解除される。この空間もじきに崩壊する」
クゥ様が空間を切り裂いて出口を作る。私たちは足早に出ていった。




