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第55話 怪物の眠る森1

挿絵(By みてみん)



 翌朝。宿屋の一室。


「それでは今回の作戦会議を行う」

「はい!」


 俺たちの部屋にはアイナ、エリノア、スーがいる。俺以外の3人が丸いテーブルを囲んでいて、俺はテーブルの中央にいる、視線が集まる。


「今回の勇者パーティの一番の目的は怪物の眠る森にて『伝説の剣』を発見することだ」

「はい!」

「にゃあ、バーガー」

「なんだ?」

「伝説の剣ってにゃんていう剣にゃんだ? 名前にゃまえで呼んだ方がわかりやすくにゃい?」

「知らない」

「知らにゃいの?」

「王さまも見たことがないんだ」

「本当にそんにゃ剣あるのかにゃあ」


 アイナも言っていたな、だが俺には確証があるなぜなら。


「ハンバーガーの勇者がいるんだ、伝説の剣くらい余裕であるだろ」

「ははっ、それもそうだにゃ」

「でもでもバーガー様」

「なになにアイナさん」

「さんづけはやめてください」


 様づけしてる人に言われましても。聞きますけども。


「その運搬中に襲撃してきた『何か』というのはなんなのでしょうか?」

「さぁなぁ」


 その時、ドアがノックされた。


「開いてるぞ」

「会議なう?」


 現れたのはジゼルだ。


「ジゼル、どうしてここに?」

「王さまが。王国側から兵を出すと言っていたでしょ。その1人が私」


 そういいつつ、ジゼルはエリノアの隣に座る。


「そうか、それはマジで頼もしいな」

「大船に乗ったつもりでいて」

「ああ。そうだ王国魔導師のジゼルなら今回のことで何か知ってないか?」

「運搬隊を襲った『何か』のこととか?」

「そうだ」

「分からない。聖騎士隊長クラス以上で構成された運搬隊が全滅。その後の調べで現場で戦闘があったことまでは分かっている」

「100年も前のことだが、危険性はあると思うか?」

「ある。その事件があるまでは。あの地の魔力濃度は高くなかったと記録されている」

「わかった、何かあると見たほうがいいな」

「そう。油断は死を招く」


 そう言うとジゼルは紙を取り出しテーブルに広げた、これは……。


「目的地の地図か?」

「イエス。怪物の眠る森の地図」


 かなり鮮明に書かれているな。ジゼルが地図の一部を指さす。


「この辺りに聖騎士で編成された捜索隊がいる」

「もう出ているのか?」

「彼らが先に出て怪物の眠る森に拠点を作る。それは冒険者も利用可能」

「なるほど、万全の態勢というわけだな」

「いままで何度か探したそうだけど伝説の剣は見つからなかった。でもバーガーが来れば伝説の剣も反応するかもしれない」

「そうだよな、何せ俺は勇者なんだからな」

「にゃあ、盛り上がってるところ悪いんだけど」

「なんだ?」

「ミーは冒険者として魔力調査の依頼をしに行くだけにゃんだよね」

「ああ、そうだったな、伝説の剣を探すのは依頼には含まれてないもんな」

「ミーも手伝ってあげたいんだよ? でも、こういうところを甘くすると冒険者稼業はやっていけにゃいんだよ」


 エリノアの言葉を受けて、ジゼルが懐からずっしりとした袋を取り出してテーブルに置いた。


「ジゼルそれは?」

「エリーの意見は立場を考えれば当然のこと。だからこれ」


 エリノアは袋を開けて中を見る。


「金じゃにゃいか、どうしたのこれ?」

「バーガーの護衛をして得た報酬」

「この量、報酬すべてじゃにゃいか」

「足りない?」

「ううん、足りるけど、どうして王国が頼みに来にゃいの?」

「王国は森の調査は冒険者に。伝説の剣の捜索は聖騎士に任せようとしている」

「そっかぁ、うーん、ジゼルからは受け取れにゃいにゃあ」

魔法巻物マジックスクロール転売して儲けてるもんな」

「そうそうあれはぼろ儲け、って! ば、バーガー! にゃに言わす! もうそんにゃにやってにゃいよ!」


 ちょっとやってんのかよ!


「はぁ、分かったよ。ジゼル」

「なに?」

「伝説の剣を探すのを手伝えばいいんだよね?」

「うん。エリノアについてきて欲しい」

「バーガーを迎えにいくときとおにゃじ頼み方しちゃって、じゃあ、個人的にゃ依頼として今回はお金もらうからね」


 そう言うとエリノアはジゼルの出した袋に手を突っ込む。そして1枚の金貨を取った。


「エリー?」

「伝説の剣を探す程度の依頼にゃんて、このくらいで十分だよ」


 いつも思うけど、この2人の友情は計り知れないな。




 さらに翌日。

 準備は万端だ。学校には一声かけたし、旅慣れしているから荷造りも早い。まだ日が登って間もないが、俺たちは王都を出立する。門から出て、すぐ近くに小屋がある、それを見つけたスーが嬉しそうに駆け寄る。途中こけて頭を強打して死んだ、だがすぐに復活してトコトコと走る。


「ここにいるの!」


 小屋の中から牛のような鳴き声が聞こえる、そう我らのアイドルがそこにいるのだ。俺たちが小屋を除くと、左の角を部位破壊された魔物がいる。斧牛アックスブルのモーちゃんだ。そしてヒロインのモーちゃんでもある、肩書きの多い子だ。モーちゃんは俺たちを見つけると、草を食むのをやめて頭を擦りつけてくる。


「よしよし、ほら美味しいご飯ですよ」


 アイナが上薬草レタスをモーちゃんの口元に出す、モーちゃんはコクンとおじきをしてから、もしゃつく。お利口さんだなぁ!!


 すかさず俺とスーが背中に乗る。人よりも体温の高いモーちゃんの温もりを感じる、これが命ってやつか! 燃えている!!


 一通りモーちゃんの温もりを堪能したあと、小屋の主に多めにお金を払う。またお願いしますというやつだ。モーちゃんは主からの評判もいい。


「どうやってあの凶暴で有名な斧牛アックスブルを手懐けたんですかい?」

「ふ、一番大切なのは愛情を持って接することかな?」


 さぁ、行こう。勇者パーティ再結成だ。と、今回の旅は勇者パーティだけではないな、俺は背後に目をやる。


 エリノアと同じ魔力調査の依頼を受けた冒険者たちが、次々に出発している。あれが全員Sランク冒険者なのか凄い戦力だ。その中にメガネの位置を激しく直しまくるシャニーがいた。


「や、やぁ」

「シャニーじゃにゃいか、シャニーもいくの?」

「う、うん。丁度依頼を受けていなかったから」

「そう、まぁ、死にゃにゃいようにね」


 エリノアは素っ気なく手を振る。同業なんだからもっと優しくしてやればいいのに、


「ゆ、勇者様その魔物は?」

「勇者様ってのはよしてくれ、バーガーでいいよ」

「じゃ、じゃあバーガーさん」

「まぁ、互いの妥協点ってところか。この子はモーちゃんだ、可愛いだろう」

「か、可愛いだろうって……魔物ですよ?」

「ふっ、モーちゃんとは心と心で繋がっている、言わばソウルフレンドだ。安心したまえ、噛んだりしないから」


 モーちゃんも返事とばかりに鼻息を荒くしている。


「ひ、ひっ!」

「バーガー、シャニーは『臆病者のシャニー』って肩書きを持っているくらい臆病にゃんだから、あんまり脅かさにゃいでやってほしいよ」


 それは肩書きと言えるのぉ?


「俺は脅かしてないぞ、なぁモーちゃん」

「んもぉー!」

「はぁ、シャニー、ミーがいじるくらいのメンタルは残しとくんだよ」

「返事に困るよ……」



 旅は順調だ。


 何せ旅で危険なのが野営なんだか、俺たちが野営する際、同じタイミングで出立した幾つもの冒険者パーティが近場で野営をしてくれている。そのおかげで互いに見張り合えるのでいつもより安心して過ごすことが出来る。こういう所で協力するのは、さすがは生き残ってきた者たちと言えるのだろう。


「バーガー! これみてほしいの!」


 おやおやスーが呼んでいる。


「どうした?」

「これおとなりの人たちからもらってきたの!」


 スーが抱えているのは大きな葉っぱに包まれた肉だ。


「……こんなにもらったのか」

「スーのすごさにかんめいをうけてみついだにちがいないの!」


 俺はスーが来た方にあるキャンプを見る。一番近いところで顔も見える、こちらを向いてナイスガイがにこやかに親指を立てている。うん、貢いだんじゃない、恵んでもらったんだ。


「僕ってすごいの! こうすればお肉たくさんあつまるの! ほかの人たちからもみつがせるの!」

「もう十分だろ、やめなさい、人々が貧困で苦しむぞ」

「むー! それはよくないの! やめるの!」

「にゃんだその肉?」

「スーが貰ってきたんだ」

「そうにゃんだ、見たところ魔物の肉だにゃ。それにゃら丁度いいにゃ」

「何が丁度いいんだ?」

「バーガーにゃにか忘れてにゃい?」

「俺が忘れるわけないだろ」

「混合肉を作って合成魔法を色々試すって言っていたじゃにゃいか」

「すっかり忘れてた!」

「もうしょうがにゃいにゃあ」

「すまん」


 俺はバンズのクラウンの部分を前に出してベロベロさせる。ハンバーガーがよくやる許してほしいのジェスチャーだ。


「そこまで謝ることでもにゃいでしょ。ほら、ミーの用意した魔物肉と、スーが貰ったきたその魔物肉を使って試してみようよ」

「よし! やるか!」



 その時だ、背筋に寒気が……背筋ないけど。



 振り返れば、テントをセットし終えたアイナが、テントから顔だけを出してこちらを見ている。


「あ、アイナも一緒にどうだ?」

「結構です。私はちょっとそこまでいってトレーニングしてきます」


 アイナが行ってしまった。あわわ! こ、こんな時はどうしたらいいんだ!?


「ぷっ。バーガーの狼狽っぷりは中々(にゃかにゃか)の見世物だにゃ」

「う、うるさい。でもどうしよう」

「そんにゃの簡単だよ、疲れて帰ってきたアイにゃにうまい料理を出してやるだけだよ」


 うまい料理を作る。それは簡単なことではない。食材の質、料理人の腕、そして食べる側の好み。それら全てを網羅して、初めてうまい料理が作られる。


「ふんふんふふふふーん」


 エリノアは鼻歌交じりに軽快にフライパンを振る。魔物の合挽き肉が宙を舞う。エリノアが片手に3つの小瓶を持ちフライパンの上に振るう。小瓶からはそれぞれ粉が飛ぶ、調味料(スパイス)だ。


「ジゼル火力をもう少し上げてほしいにゃ」

「オーライ」


 この釜戸も、火もジゼルの魔法でできている。土魔法で土台を作り、水だって水魔法で魔力生成している。旅には魔法使いが一人は必要だな。


「料理には色々あるけど、結局は肉料理が最強にゃんだよねー」

「ねー」


 隣のスーがよだれを垂らしながら返事をする。


「そろそろできるよー、アイにゃを呼んできてーー」

「ここにいますよ」

「にゃ!?」


 暗闇から赤目を光らせてアイナが現れる、かなり汗をかいている。短時間ながらにハードなトレーニングをしてきたようだ。


「どれだけ鍛錬したんだ」

「ちょっと熱が入りすぎちゃいました、すんすん、この匂いは」

「にゃはは、食欲は三大欲求の一つと言われるほどに強い欲望にゃのよ。それに逆らえる人間にゃんていにゃいよ」


 アイナの腹が鳴る、それに共鳴してスーの腹も鳴る。


「さ、できたよ。飯にしよう」


 これまたジゼルの作った石の椅子に腰掛け、焚き火を囲んで食器を持つ。俺は食器の上に乗る。


「ほいほいほい」


 エリノアがナイフで切り分ける、切断面から肉汁が溢れ出す。


「じゃ、頂きまーす」

「頂きます!」


 みんなの幸せそうな顔を見てから、俺も自分の皿にあるハンバーグを挟む。久しぶりの解析だな。


 『混合肉を確認。

 奇面鳥オッドサーフィスバード

 笑う人形スマイルドール

 般若蛙ウィズドムフロッグから、

 変顔ギャグフェイスを生成、10回使用可』


「解析は済んだかにゃ?」

「ああ」

「どんな呪文だYO」

変顔ギャグフェイスだって、聞いたことあるか?」

「ない」

「にゃいにゃ」


みんな知らないのか、いきなりレア魔法が出たな。


「試しに唱えてみてはどうですか?」

「そうだな。一応、反対方向を向いて唱えるか、行くぞ。……『変顔ギャグフェイス』」


 女神の声が呪文を詠唱する。とくに目の前には何も出ないな。


「にゃにか変わった?」

「変化無し」

「おかしいですね、バーガー様の魔法が失敗したことなんて一度もないのに」

「だよな、何が起きてるはずなんだが」


 俺は振り返る。俺を見る皆の目が一瞬ギョッとする。そして……。


「あははははははははは!!」


 大爆笑だ。なに? なんでそんなに笑ってはるんですか?


「あははっ!! くっ! あはははは!!」

「おい、なんでそんなに笑ってるんだ?」

「ご、ごめんなさっ、あはははは!! ひっーー!!」


 過呼吸になってるじゃないか。俺はコップの水で自分の体を確認する。一体何が起きてーー。


「だっははははははひははあーー!!」


 俺の顔がめちゃくちゃ面白くなっていた! 笑いが火山の噴火のように爆発する! さ、逆らえない! 幸いなことに俺はハンバーガーだ! 過呼吸で死ぬ事は無い! 俺は顔を地面に擦り付ける、汚れちゃうけど構ってられない!土をつけて顔を隠すんだ!




 10分後。


「はぁはぁ。し、死ぬかと思ったにゃぁ」

「すまない。まさか俺の顔があんなに面白くなるなんて思わなかったんだ」

「その魔法まだ使える?」

「あと9回使える」

「すぐに吐き出して。その魔法は危険。安易に使用してはならない」

「あ、ああ、わかったよ」


 危うくパーティが全滅するところだったからな。







 王都を出て1週間。


「ここが『怪物の眠る森』か」


 草原地帯を進んでいると、緑の壁が見えてきた。背の高い木々がその境界線から鬱蒼と生い茂っているんだ。あれでは馬車も通れないだろう。


「明らかにあそこから魔力濃度が異常に高くなっている」

「分かるのかジゼル?」

「魔導師なら魔力にも敏感になる」


 魔力は魔物だけではなく、樹木の成長も早めるというのか、魔力の性質も関係しているのか。シャニーが走り寄ってくる。


「ば、バーガーさん、向こうに聖騎士たちが作ったベースキャンプがあるよ」

「おお、助かる」


 これからどれくらい時間が掛かるか分からないからな。安全地帯(セーフティーゾーン)がどれだけ重要なことか。ベースキャンプはすぐ近くにあった。7、8メートルはある丸太でできた柵に囲われている。施設内の建物が全て木製なのは、きっとこの森から材料をとっているからだ、現地調達は基本だ。この森の木は魔力をたっぷりと吸っているから太く頑丈に育っている。柵より大きな高台もあり、魔物の接近にも気づくことができる。ベースキャンプの前で聖騎士の1人が冒険者を集め、説明をしていた。


「このベースキャンプ内にある施設は無償で提供している。ここで存分に英気を養い、この森の調査に励んでくれ!」


 王さまも太っ腹だな、あっけらかんとしているがやることはやってくれるようだ。


「ここで一息つけるな」

「でも長居にゃがいはしたくにゃいよ」

「だよな、エリノアも色々忙しいもんな」

「そうだよ、あんまりモタモタしてるとミーが掛け持ちしてる依頼が他の奴らに取られちゃうよ」

「まったく、どれだけお金が必要なんだよ」


 借金でもしてんのかな。


「あればあるだけいいにゃ、とにかくたくさん稼がにゃいといけにゃいの」


 エリノアはそう言うと荷物を持って一足先にベースキャンプの中に入っていく。


「ま、どんな魔物が来ても俺には変顔ギャグフェイスがあるからな」

「バーガー様、あれは味方すら殺しますよ」

「ですよねー」


 俺たちも中に入る、見知った顔がいた。


「これはこれは勇者様!」

「オショーさん」


 聖騎士大隊長のオショーさんと遭遇した。


「オショーさんが派遣されていたのか」

「いかにも。なにせ伝説の剣の捜索ですからな、大隊長クラスも出てきますぞ!」


 ふと疑問がよぎる。聖騎士大隊長って偉いのか? サガオが聖騎士隊長だから、それより一つ上なのは分かるが。俺は小声でアイナに話しかける。


「なぁアイナ」

「ん……耳元でくすぐったいです」

「あ、ああ、ご、ごめん」


 ビクッと反応したアイナさん。顔を赤らめておられる。そなたは美しい。


「聖騎士大隊長って偉いのか?」

「あれ、知らなかったんですか?」

「親からは愛情しかもらってないからな」


 俺の体は愛情100%だ。


「勇者様、私から説明を致しましょう」


 オショーが巨体をかがませて俺たちに視線を合わせる。聞こえていたか。


「ああ、頼む」

「はい、ではまず王国の戦力図から」


 オショーは大きな木製のテーブルに紙を広げる。そこに筆でスラスラと文字を書いていく。ちなみに墨汁はテーブルの端にいる魔物、小型化した陸蛸グランドオクトパスが提供してくれている。頭をつつくと墨を出す。脅威度はCクラスにも満たない、殺傷能力が限りなく低い改造魔物だ。


「では下から説明しましょう。まず聖騎士たちがいます。彼らは王国で一番多い戦力で、強さは幅広くAランクからCランクほどです」


 ヒマリもこれからここのクラスになるのか。


「そして数は一気に減りますがAランクからSランク程の使い手を聖騎士隊長として任命、その下の聖騎士たちをまとめているのです」


 あのサガオや、キッドがそうか。

 確かに彼らは強いな。


「そしてそしてその者たちをまとめるのが私たち聖騎士大隊長。ランクは当然Sランク、総勢10名です」


 指で数えるほどしかいないのか。


「どれくらい強いんだ?」

「そうですな。単体でSクラス上位の魔物とも戦えるくらいには」


 あのエリノアより強いかもしれないのか。そりゃあ、数えるほどしかいないな。天才中の天才だ。


「そしてそしてそして、その全ての上に立つ者が3名います」

「まだ上がいるのか」

「はい、王国が誇る最強戦力ですな。名を三騎士と言います」


 三銃士ならぬ三騎士か。


「それぞれ、月白騎士(げっぱくきし)紅蓮騎士(ぐれんきし)金色騎士(おうごんきし)と言って、纏う武装の色の名でそう呼ばれています」


 ここに来て初めて聞く名前ばかりだ、月白って白か? あと赤と金、縁起のいい色合いだな。


「あとは強力な固有魔法ユニークマジックを使える王国魔導師たちと、冒険者ギルト連盟が我々の総戦力となりましょう」


 なるほど、いざとなればエリノアたち冒険者も戦場に駆り出されるわけか。国が無くなれば冒険も何もないもんな。





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