EX6 ハンバーガー転生36
カバのようにベアハルトが大口を開ける、バーナーは果実をまとめて口に流し込む。まるでスイカを丸かじりするカバだな。
「グオオオオオオ!」
ベアハルトが雄叫びをあげる。
「あっ! ベアハルトが!」
地面からニョキニョキとベアハルトが抜け出す。
「ベアハルトでも引きちぎれない鎖で拘束してから埋めたはずだ!」
タスレ産の美味しい果実を食べたからか? いや、今はそんなことは今はいい。
「グルルル……」
低く唸りながらバーナーを見下ろしている。アイナが射撃体勢になる。
「射ます」
「待て!」
様子がおかしい。暴れないでじっとバーナーを見つめている。バーナーも動かない。
グゴゴとゆっくりと動き近くに咲いている小さな花を摘む。そしてそれをバーナーに差し出す。
「くれるんですか? ありがとうございます!」
な、仲良くなっている、だと。あの大戦争でも見境なく襲うからと遠くで一人戦わされていた彼が、まるでキングコングのように……
「グルル……」
「あ、わかりますか? ちょっと今日、お父さまとお母さまに怒られちゃって」
あれバーナー、キングコングと意思疎通してない?
俺とアイナは聞き耳を立て続ける、俺に耳ないけど。
「僕ももう5歳だし、2人の力になりたいんだ、でも早かったのかなぁ」
「ガウガウ」
「そうですか? ベアハルトさんみたいな強い方にそう言ってもらえると嬉しいです」
そうか、バーナーのやつ、俺たちのために……
「勇者の息子に恥じぬような、2人を守れるくらい強い人になりたい」
その言葉を聞いたアイナが涙ぐむ。俺はアイナの肩を掴むように優しく肩に乗る。
来た道を戻り始める。
「今日の夕食はアリサにお願いして豪華にしてもらおう」
「そうしましょう!」