EX6 ハンバーガー転生35
家に戻って隠し事をアイナに報告する。バーナー、大丈夫だ、俺もいる。
「どうして隠して行っていたんですか?」
「反対されると思ったから」
「ふぅん……」
アイナは冷静に目を細める。助け舟を出すか。
「まぁさ、素直に話してくれたし──」
「ダメですよ」
「そうですよねっ!」
「お父さま!?」
俺の裏切りに青ざめるバーナー。すまんなこうなったアイナには勝てないんだ……
「私が怒っている理由がわかりますか?」
「それはバーナーが──」
「バーガーさま、バーナーに答えさせてあげてください」
「はいっ!!」
「……僕が隠し事をしていたから」
「そうです、例え反対されるとしても相談してほしかったです」
「ごめんなさい」
アイナはバーナーに歩み寄ると優しい手つきでバーナーの頭を胸に寄せる。
「転移ゲートの使用禁止」
アイナから発せられた言葉にバーナーが上を向く。
「冒険者ギルドの出入り禁止」
汗がダラダラとたれていく。
「ベアハルトへの接近禁止」
バーナーはわなわなと震え、大きく口を開けている。
「ど、どうしてですか!」
「ダメだからです」
「うぅ!!」
バーナーはまだ小さい手で一生懸命にアイナを押しのける。
「わーん!!」
バーナーが飛び出していってしまった。アイナは指先を宙に滑らせる。空気を操作してまだ家の近くにいるバーナーを捕まえるつもりだ。
「やめろ、アイナ」
風の操作をやめさせる。
「バーガーさま、でも」
「行かせてやりなさい」
「……言い過ぎました」
「バーナーの言い分も聞いてみよう、ゆっくり追いかけようじゃないか」
「はい!」
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俺とアイナにかかれば追跡は簡単だった。街のほうには行っていない。草原を抜けて奥のほう。
「あ、いました」
「ちょっと様子を見てみよう」
隠れるのも簡単だ、アイナが空気を操作して、バーナーの周りの音をここまで届ける。100m離れた木の後ろにいるのにバーナーの息遣いさえ聞こえるほどだ。
「ん? ちょっと待てよ、ここってたしか」
「ベアハルトの封印場所です!」
俺は跳ねて枝の上に乗る。ベアハルトが地面から頭だけ出している。バーナーはそのすぐ近くにいる。
「おはようございます。ベアハルトさん」
「……」
バーナーは来る途中に採った果実(リンゴや野イチゴ)を服の前をカゴのようにして一杯に持っている。
「本当に食べさせているのか、ベアハルトは魔物より野蛮ってアリサが言ってたのに」
俺たちは固唾を飲んで見守る。いざとなればアイナは矢を放つつもりだ。