EX6 ハンバーガー転生32
ベアハルトは再び雄叫びを上げてクロスケに殴り掛かる。なんて速さだ!しかしクロスケはカッ! と笑う。
「よしゃ! 来い!」
クロスケがベアハルトのパンチを受け止める。
「ちょっと遊ぼうぜ!」
パンチの威力を殺さず、力の方向を見事な体術で操作してベアハルトを空に投げ飛ばす。雲を穿つ。
「よっと!」
クロスケも飛び上がる。空中で殴り合う、拳と拳がぶつかり合う度に衝撃波が発生する。
「いやいやいやいや! 人の家の上で何やってんだよ!!」
「こんな退屈なおつかいにつきあってやったンだ! 少しくらい遊ばせろ!!」
クロスケはそう言うとさらにベアハルトを空に蹴りあげる。点のように小さくなるほど離れる、花火のように音が遅れてドバァン! ドバァン! と反響する。
「……護衛が飛んでっちゃった」
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人間界にあるどこかの地下洞窟。
「はぁはぁ……」
ニードルハックが息を切らしている。
「シャーー!!」
下半身が蛇の魔人がニードルハックを追い詰めている。
「どうした、次期魔王になるこのクチドューサに戦いを挑んだことを後悔したか?」
そう言ってクチドューサは大口を開ける、口の中には大きな1つ目がある。ニードルハックは目をつぶっている。
「目を合わせれば石化する、そして視覚を閉じたままで妾の攻撃を避けるのは不可能!!」
丸太のような蛇の尾がニードルハックを吹き飛ばす。
「ぐはっ!!」
悲鳴を上げたのはクチドューサだ、尾に無数の棘が痛々しく刺さっている。
「目を閉じていても、触れられたところにカウンターをいれればいい、それでお前は攻略できる」
「そんなことで妾を攻略できるわけが──」
ニードルハックは閉じた目にメキメキと音を立てて棘を生やす。
「それに敏感な棘を生やした。これで視力に頼らなくてもお前の居場所が分かるぞ!」
棘を自切して槍にする。
「棘槍!」
投擲した棘槍は加速してクチドューサの防御と鱗を貫通して地底洞窟を貫いていく。
「ガッ……ハ……」
急所を貫かれたクチドューサは即死した。
「これで大物は58体目か、次は……」
傷も癒さずに足を引きずりながら暗闇を進む。




