EX6 ハンバーガー転生27
4年目も中頃、朝からバーナーがウキウキで俺に話しかけてくる。
「お父さま!」
「おお、バーナー、どうしたんだ?」
「僕、魔法と剣術を学びたいんです!」
「……マ(ジ?)」
「?」
とうとう来てしまったか。男の子が一度は目指す夢、世界最強!
「どうしてそう思ったんだ?」
「スパインさんが毎朝、外で剣術の訓練をしていたり! アリサ先生が魔法で憂さ晴らししてるのを見て!」
俺に手があったら目頭を抑えている。
「そ、そうだな、そのうちな」
「そのうちっていつですか?」
「そのうちはそのうちだ」
「ねー、いつなんですか? お父さま、わわ!」
背後から現れたアイナがバーナーの銀髪をとかし始める。
「ほらバーガーさまが困っていますよ、今は忙しいのですから後にしましょうね」
「むー、お母さままで!もういいです! スパインさんとこに行ってきます!」
庭に走っていってしまった。俺とアイナは目を合わせてハァとため息をつく。
「剣術と魔法くらいならいいかな?」
「はい、身を守る術としてなら……」
「やっぱり不安だよな、力を得るとセットで危険もついてくる」
アンハッピーセットだ。俺たちが勇者として課せられた使命の日々を思い出す。……あれ? 楽しかったな。
「バーナーには戦いの恐ろしさ、失う絶望を経験して欲しくないです」
「俺もそう思うよ、ハニー」
しかしながらバンズのクラウンのように蓋をするわけにはいかない。挟むのは具材だけでいい。
「最後に決めるのはバーナーだ、俺たちはバーナーの意志を尊重しよう」
「はい……」
「なに、そう考え込むことなんてないさ、魔王を討伐して世界は平和になったんだから、スポーツ感覚なんだろう、むしろ自ら習い事をしたいなんて言ってくれるなんていい事じゃないか」
そう自分に言い聞かせた。