EX6 ハンバーガー転生9
「スーの兄貴のドラゴンカーげふんげふんが転移魔法陣を一般に公開してくれたおかげだな」
「一応言っとくけど転移魔法の使用は王族と王国魔導師に限られてるよ」
アリサ先生が補足してくれる。ハンマーが壁の装飾を終えて飛び降りてきた。ズシンと大地が割れそうな音がするが、ハンマーが作った床材は傷一つつかない(それでいて丁度いい柔らかさをしているから不思議な材質だ)
「型は作った、あとは魔法使いに描いてもらえ」
「ありがとう、まさか本当に1ヶ月で村を街にしちゃうなんてな」
「おうよ、ただ街にしたからよ、前よりも数十倍の大きさになったが、本当にこれでいいのか?」
そう、作り替えるに当たってめちゃくちゃでかくした。畑や家畜の餌となる草原地帯といったすぐには動かせないものは街の中に入れる形にしてある。
「いいんだ。これからたくさん人がくる……とみこして」
アリサが俺の肩(と思われる部分)を軽く叩く。
「もう後にはひけないよ」
「ああ、やりきるさ、バーナーが小学生になるまでには施設も充実させる」
そう全てはバーナーのためだ。バーナーのために動けば必然的にこの村、いや街の人のためにもなる。そう考えていると駅の外から喧騒が聞こえる。
「なんだなんだ!」
俺たち3人が慌てて外に出る、ここからだと何が起こってるかわからない。ハンマーがハンマーを振り上げる。
「どうやら城壁のほうだな、足場を作る俺の傍に集まれ」
ハンマーが地面をハンマーで叩くと地面が盛り上がりトッポみたいな建物が生成される。これで城壁のほうまでよく見えるようになった。
「あれは魔物か」
二足歩行をした竜型の魔物が城壁を跨いで入ってくるところだった。アリサが目を細め確認する。
「あれはドラゴンザウルスだね」
神秘とロマンを詰め合わせたいい名前だ。
「入ってきちゃってるな」
「んむ、10メートルもあればいいと思ったが、もう少し大きく作り直すか」
「そんな悠長なこと言ってる場合か、MAXソードを呼ぶぞ」
「いや、俺がやろう」
こんな遠距離からどうやって。
「ふん!」
土台を叩くと振動が下に伝わっていく、振動は城壁まで真っ直ぐに届き竜型魔物が跨いでいる部分がグニャリと変形する。
「あ! 城壁がスライムみたいに動いてるぞ!」
「俺の作ったものは自由自在よ」
瞬く間に檻となりドラゴンザウルスを捕縛する。
「一丁上がりだ」
「すご!じゃあこの街全部がハンマーの手足ってわけか!」
「まぁ、そんなところだな」